芭蕉林通信(ブログ)

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2025年11月25日 目からうろこの本2冊

 読書の秋だからという訳ではないが、たまたま手にした本が目からうろこ級の名著だった。もっとも時事に関する本であるから、古典として数十年読み継がれるというものではない。それでも、今日の世界を見る目を大きく開いてくれたのである。

 まず1冊目は、元中国大使の垂(たるみ)秀夫氏の「日中外交秘録」。外務省のチャイナスクール(語学を学んだ中国外交の専門家)の一員として活躍された同氏は、日中外交の裏表を余すことなく披露していく。この日本が政治家・公務員の志や見識、決断力にいかに依存しているかが分かる。日本は主権(あるかどうか曖昧だが)を守るためにも、特定の国(どことは言わないが)への過度の依存を続けるべきではあるまい。

 2冊目は、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏の「西洋の敗北」。ソ連の崩壊やイギリスのEU離脱を予想したことで有名な同氏は、この本でアメリカやイギリス、フランスの国力の著しい低下を指摘している。その背景には、新自由主義とグローバリゼーションがあるのだが、もっと重要なのは家族の崩壊・宗教の衰退・拡大する貧富の格差にあるようだ。果たして日本は?という問いかけにどう答えるのか、新しい高市政権の政策から目を離せない。

2025年11月06日 石破前総理がブログを読んでくれていた

 一昨日の4日、食品産業功労賞の贈呈式に出席するために久しぶりに上京した。受賞自体突然のことであり、熊本で冬眠の準備をしていたらいきなりたたき起こされた感がしていた。審査員代表からこの賞は候補者86名いる中から16名が選考されたとの報告を聞き、さらには他の立派な受賞者の顔ぶれを見るにつけ身に余る光栄だと思った。

 贈呈式は食品業界の重鎮が列席する中厳かに執り行われた。その後は懇親会に移行したのだが、そこでは懐かしい人たちと旧交を温めたり、高校の一年後輩の農林水産省の元幹部と話ができるなど貴重な時間を過ごすことができた。その時、サプライズが起こった。

 国会が終わり駆け付けて挨拶されたのが石破前総理だ。そして突然、「熊本の方がローカルに徹すればグローバルになると意味深いことを言われていた。」とおっしゃったのだ。一瞬のけぞるようにびっくりした。あとで石破前総理にご挨拶に行ったらば、あれはどういう意味かと質問されてしどろもどろに説明したものの、ああ緊張した。前総理の母上は玉名出身だそうで、それがきっかけでブログを読まれたとも考えられないし、これは謎だと思った。ただ一流の政治家は類まれな努力家であるという事実を実感できたのは望外の幸せだった。

2025年10月23日 ローカルに徹してこそグローバル

 先日のロンドンでの大相撲興行は、チケット完売で連日満員の盛況だった。横綱や関取がしこ名を覚えられ声をかけられて喜んでいる姿は微笑ましいものだった。彼らにとってもいささか意外なほどの歓迎ぶりだったのだろう。

 ということで思うのは、もし相撲がレスリング化していたならばあれほどの人気は出なかっただろうということである。中途半端な西洋化は単なる物まねだと誤解されるだけである。相撲取りの髷とまわし、行事の昔ながらの衣装、神事とも言われる相撲の所作などに異国の人は興味や関心を持つのだ。ジャポニズム(日本趣味)にしても、北斎や歌麿の浮世絵に日本独特の美意識や技術が詰まっていたからこそ引き起こされた。明治維新後に油絵を習った日本人画家の作品は、今なお国内では評価されても世界的には通用しないのはそうした理由がある。

 我々地方で仕事をしている者にとっても、ローカル性は重要である。全国で同じ物を同じように扱っていては、規模の利益を追求する全国企業とは太刀打ちできない。地域でしかできない事を徹底的に極め、その普遍的な価値を見出し訴えて初めて、地域らしさが発揮され評価されるのだと思う。県知事が熊本の地下水のことを「土着の宗教」と失言したこととはまったく違った発想である。(郷土力士の正代もロンドンではリラックス)

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