64件〜66件 (全 722件)
<前の3件
・・・
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 ・・・
>次の3件
水墨画に興味がありネットオークションで画賛の掛け軸を落札した。と言っても、入札参加者が誰もおらず最低価格の6500円で入手した。大分の平野五岳という寺の住職が描いたもので文人画風なのが気に入った。その数日後に自宅に届いたので開けてみると、なぜか力に欠ける感じがして正直がっかりした。安かった理由が分かる気がした。 ところが週末に、大分の日田市にある広瀬淡窓の私塾・咸宜園(かんぎえん)に行った時のことである。幕末から明治にかけて延べ4〜5千人の門弟を抱えたという広瀬淡窓は儒学者で思想家、そして偉大な教育者であったことを改めて知った。残された私塾の建物には興味深いものとして、当時の教育プロブラムや成績表に加え、私塾が排出した著名人の一覧表が掲示されていた。その仔細を見ると歴史上知っている名前が散見された。例えば高野長英、大村益次郎、上野彦馬、帆足杏雨などがおり、他には熊本が生んだ唯一の首相経験者清浦圭吾の名前も。そして何とネットで購入した掛け軸の作者平野五岳の名前もあった。 咸宜園の近くには豆田町という昔の天領(孫によると、今の学校では天領ではなく幕領と教えているということにもびっくり)の名残を留めた古い町並みが残っている。昼ごはんに立ち寄った蕎麦屋には平野五岳の書が掲げられており、日田では平野五岳は普通に有名な人だと感心した。そして帰った自宅で改めて彼の書いた水墨画を見たが、面白いもので今度はなぜか価値あるものに思えて来たのである。要するに、知らぬが仏だったのである。人間の感覚は当てにはならない、いや自分だけのことかとおかしくなった。
|
鍋島藩の藩士が書き残した「葉隠」は、「武士道と云うは死ぬ事とみつけたり」の一文で有名である。そこで一度全文を読破したことがある。なかでも印象に残ったのは、鍋島の殿様が行った部下の4分割評価法だった。部下は指示に対する対応によって「早」と「遅」に分けられる。すなわち、「早」は理解と返事が早い。「遅」は理解ができないか返事が遅い。また実行段階においては、「早」は行動と成果が出すのが早い。「遅」は行動が遅く成果もなかなか出ない、となる。 そうすると部下は次の4つに分類される。@早・早 A早・遅 B遅・早 C遅・遅。そして鍋島の殿様は、@が最も良い部下だが、家中にはそうした人物はただ一人のみと言われたそうだ。そして一番困るのはCではなくてAだと。多分Cだと最初から当てにしないですむ。Bだと期待していないのに結果を出してくれる。問題のAは期待しているだけに裏切られる気がするのだろう。 これを現代に置き換えるならば、@は有言実行 Aは有言不実行 Bは不言実行 Cは不言不実行となろう。確かに多くの有言実行の部下に恵まれたならば、祖父が書き残していた「済々たる多士、文王もって寧(やす)んぜり」(周の文王には優秀な部下が多く、文王は心安らかだったとの意味)となるのだろう。
|
中学生の頃鼻中隔湾曲症と診断され、決まっていた手術を直前になってキャンセルしたことは既述した。理由は顔の表面をベロリと剥いで鼻の骨を削ると聞いて恐れをなしたからだ。そのせいか、金木犀の香りが風に漂って来るとかコーヒー豆をドリップした時甘くて苦い香りがするなどという素敵な体験は今もって縁がない。 考えてみればこの病名もしかりだが、意外と難しい言葉は一度記憶すると頭から離れないことが多い。かつてサンヨー食品が九州限定で発売したラーメン「とっぱちからくさやんつきラーメン」や大塚製薬の商品コンセプト「ニュートラ・シューティカル」などがそうだ。簡単な言葉は記憶に残らない一方で、努力を要した記憶は長く残る。職人の技にしても、そうした過程を踏んで初めて本物になるのだろう。いわゆる体得というやつだ。 問題は古希を迎えて昨日のことが思い出しにくくなっていることだ。特に休日は自宅に籠って何ら特別なことをしていないというせいもあろう。クレジットの利用案内が金額だけだった場合は、どこで何を買ったか思い出せずに焦ってしまう。クレジットの不正使用もあるとか聞くと、それこそ灰色の脳細胞(アガサクリスティーの小説に出てくる私立探偵ポアロの口癖)が欲しくなる今年の秋なのである。
|
64件〜66件 (全 722件)
<前の3件
・・・
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 ・・・
>次の3件