2024年04月30日 季節のあしらい
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ただマンションの特徴として和室や床の間がない場合が多い。谷崎潤一郎が著書で指摘した日本的美意識「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」であるためには、住居には縁側や障子、床の間などが備わって欲しいところだ。しかし残念なことに床の間のない家が増えた結果、掛け軸などの需要が激減しているらしい。 とはいえ私にとって床の間は季節を演出するには必要不可欠なものだ。茶道では季節ごとに茶道具の組み合わせを変えるが、私の場合は自由気ままに床の間を飾り季節の移り変わりを楽しんでいる。今は5月の節句に合わせて、能面の「平太」と古い刀掛けをあしらっている。「平太」とは平安時代の源氏の勇ましい武士の面(おもて)であり、男の孫二人の成長を願う気持ちを込めたつもりである。さて次は何をあしらうとしようか。 |
2024年04月25日 現代人の三つのリスク
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二番目のリスクは薬物被害。オランダのようにマリファナなどを合法化した国もあるが、麻薬や危険ドラッグなどの蔓延は常習者の健康を間違いなく害する。これまた習慣性があるだけに、最初からこのリスクに近づかないように教育することが重要だ。 最後のリスクとはニセ情報である。すでにオレオレ詐欺にように甚大は被害を出しているケースもあるが、これからは生成AIの発展により、なりすましはより容易にかつ巧妙に行われることになる。しかもニセ情報はネットにより広範囲かつ瞬時に拡散する。EUがAIにより作成したものにはAI作成のマークを記入しなければならないと法律制定したのはこの虞(おそれ)による。こうしたリスクに巻き込まれなくする手段は限られている。要は不断の注意力と自己抑制を心がけるしかないことが目下最大の不安だ。(絵は「不安」と題した抽象画のつもり) |
2024年04月17日 春の空 引き綱落とす グライダー
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この週末は、春の陽気に誘われほぼ半年ぶりのロードバイクを挙行した。コースは一番のお気に入り熊本新港までの往復である。未熟者であった時には、午後に出発して日没に会い死にそうな目にあった苦い経験があるので、朝10時に自宅を出発。期待通りの新緑に目を奪われ、さまざまな緑色に染まる山を見ては、まさに季語でいう「山笑う」を満喫した。 その時である、頭の上を一つの大きな影が通り過ぎた。はっとして見ると、それは白い機体を輝かせたグライダーだった。トキメキのチャンスとばかりに、滑走路となっている河川敷に寄り道した。グライダーの離陸や着陸を間近に見るのは生まれて初めてである。強い向かい風に二人乗り、あるいは一人乗りのグライダーが綱に引かれ、あっという間に春の空に浮かぶ様は優雅そのもの。引綱から自由になった機体が音もなく滑空する有様を小一時間飽きずに眺めた。 |