2023年03月13日 一瞬の全国デビュー
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懐かしい気持ちいっぱいでその雄姿を眺めているうちに、O君がつけているネクタイに目が釘付けとなった。それはO君が転勤報告に来た時に、私が餞別の品として渡した「辛子レンコンネクタイ」に間違いないのである。地元ふるさとである熊本の食文化を題材にしてプロデュースしたネクタイは10種類以上、延べ5千本以上売れたがそれも昔の話。ノーネクタイの普及やコロナ感染の拡大によってネクタイ需要も急速に落ち込んだ。 それなのにO君は在庫処分の安いネクタイをわざわざはめて全国放送に登場してくれたのである。日本中でそのネクタイに気付いた人は私一人であろうが、彼の心の中にしばらく勤務した熊本の思い出が残っていることを感じ何やら嬉しくなった。そして、プロデュースしたネクタイが一瞬であれ全国デビューしたということに一人感激に浸ったのである。自己満足もいい加減にせいとお叱りを受けたとしても。 |
2023年03月06日 能面と読書
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趣味というものは深入りするものである。病を抱えた能面士の先生に申し訳ないとは思いながら、新たに小面、慈童、大べしみの三面の制作をお願いした。弟子を総動員して制作してくれるそうだ。これからまたどのような時空が産まれるのか今から楽しみである。 |
2023年02月28日 掘り出し物
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私がいつも感心するのが盆栽コーナーである。大小の鉢に丹精を込めて育てられたいろいろな木のたたずまいがあたかも小宇宙のように思えるのである。中にはアート的なものもあり、長年盆栽を育ててきた苦労の一端を垣間見る気がする。しかしながら私自身は、盆栽を買っては枯らしてきたトラウマがあり、これまでは新たに購入する気がしなかったことは以前にも書いた気がする。(くちなしの小さい鉢植えは別として) ところが今年は掘り出し物の盆栽を見つけて心変わりがした。形が良い上に値段が安い、これならば万が一枯らしても悔いは残らないといった盆栽に出会ったのである。値札の桁が一桁違っているのではないかと店主に聞けば、これは特売価格とのこと。思い切って購入したものの、あまりの重さに自宅で車から降ろすのに一苦労した。この黒松の盆栽は幹が真っ直ぐなために安かったとも思えるのだが、我が家出入りの植木職人にいくらと思うか尋ねてみたところ、一桁高い価格でないかと言ってくれただけで自己満足しているのである。さあ枯らしたら大変だ。 |