芭蕉林通信(ブログ)

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2020年04月15日 野戦病院の思想

 韓国のコロナ対策が世界の賞賛を浴びている。楽観的な言動に終始し国民の信頼を失いつつある日本政府とはえらい違いだ。最近の報道では、WHOが韓国のコロナ対策を評価し、ムン大統領に講演してくれるように要請したとの報道があった。韓国の民族としての特異性は日本が嫌うところだが、ことコロナ対策の早さは注目に価する。

 国力や経済規模においては日本が韓国の優位に立っているが、個別にみると日本が韓国に劣後している分野が出てきている。サムスンの躍進などはまさにそうだ。また現今のコロナ対策においてもしかりである。なぜこういう状況になったのか考えていている時に、ふと韓国の強さの一つを思いついた。それは韓国には野戦病院の思想があるのではないかということである。

 野戦病院とは戦時下において傷ついた兵士を治療するために、戦場近くに開設する病院のことである。北朝鮮との有事に備えて徴兵制を敷く韓国は、いざという時の臨戦態勢を整えているように思われる。ドライブスルー方式や隔離型のPCR検査により日本とは比較できないほど検査数を一挙に増やした。それに比べて、平和ボケした日本の政府や官僚が、前例主義、手続き主義、既得権益の擁護に終始しているように見えるのは錯覚かあるいは私の目がかすんだせいかよく分からない。

2020年04月13日 刻字を調べる

 少し印鑑を集めている。その中には西安の印鑑屋に刻してもらった蔵書印や敦煌の夜店で買った木印などがある。最近見つけたのが鶏血の小さな小さな印鑑。鶏血とは鮮血が混じったような印材であり、珍しいものと言って良い。そういえば、北京で鶏血と称する印材を購入し日本で馴染みの古美術商に見せたら、まっかな偽物と言われて慌てたことがあった。素人には印材の真贋は難しいと思わされた事件だった。

 その鶏血の印鑑であるが、「箸句難 上但自娯」と刻字がある。そこで中国から日本に帰化した同僚に相談すると、宋の詩人・陸游の漢詩のようだと調べてくれた。その漢詩の全文を意訳すると次の通りである。 「初夏」 淡い靄(もや)と霧の出る夏の初め、窓を開ければ新緑の中で鳥たちはさかんに囀(さえず)っている。 外に出て疲れて帰りいつもように家で横になり、食べ物もなく箸を持つことも叶わないが、一人で畑を耕しては娯(たの)しんでいる。 花を飛び回る蝶はさかんに花の蕊(しべ)を落とし、人の姿が消えた酒屋にはただ壺が残るのみである。 福建産の特選のお茶を朝早くから飲むと、肺が潤い、良い気持ちが長く続くのである。

 この漢詩の内、刻字に該当するのが漢詩の二節の後半部分「食べ物もなく箸を持つことも叶わないが、一人で畑を耕しては娯しんでいる」である。かくして小さな印鑑から大きな宇宙が広がった。

2020年04月07日 完成した図書室

 熊本地震が発生した時には書斎の棚から多くの本が落下し、大事な物がいくつか壊れてしまった。ちょうど本の収納スペースに限界があると思っていたことでもあり、身近に置いておきたい本を除き大半を会社に移動させた。総量の三分の二ぐらいに当たる本を移動させたのである。

 そうしてようやく地震後4年が過ぎ、図書室の整理が一段落した。その段取りは以下の通りである。不要な本を段ボール箱2個に詰めて古本屋に売却(わずか4千円)。その後に本棚に何を置くか決めるために大まかな分類に着手した。郷土本、熊本や九州の関連本、経済・経営・商業、歴史は日本・中国・その他地域に、好きな作家コーナーとしては塩野七生、村上春樹、小林秀雄など、その他詩歌、小説、絵画、写真、書などに分類して本を並べていった。並び終えた後、別の所に保管していた本と入れ替え戦を実施。良き本は図書室に移動させ、そうでない本は納戸へ移動させた。

 その結果、まあまあ落ち着いた図書室が完成した。完成して本棚を見渡してみると、読むべくして読んでない本、一度読んでいるがもう一度読みたい本が数多くあることに気づかされた。読書中に関連する本を探すことも容易になった。一例を挙げると、瀬戸内寂聴の「奇縁まんだら」の加藤唐九郎欄を読んでいたら、白洲正子と加藤唐九郎の焼き物対談が紹介されている。その本も図書室にちゃんとあり、さっそく見つけ出して再読すると有名な永仁の壷事件が話題に出てくる。そこで村松友視著の「永仁の壷」を図書室で見つけ出すといった具合だ。コロナのおかげで家にいる時間が多い昨今、読書が読書を呼ぶのもいいかなと思っている。

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