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何かをきっかけにふと記憶が呼び覚まされることがある。朝刊の書評欄を読んでいたら、突如学生時代の下宿のオバサンを思い出した。大学から歩いて2分ほどの所にある下宿には3年半ほどご厄介になった。未亡人のオバサン・渡辺さんは未婚の娘・陽子さんとの二人暮らしで、家の2階に下宿生4人がいたのである。 渡辺さんは70歳代で、若い人の世話をすることを余生の使命と考えていた。従って、食事は朝晩家族と一緒に食べるので手抜きがない。下着の洗濯、部屋の掃除までしてくれた。 ある宗教団体に無理矢理入信させられ翌日に脱会した時には、下宿に宗教団体の地区幹部が押し掛けて来た。私が2階で息をひそめていたその時、陽子さんが立ちはだかった。「亀井さんがそんな人ならば、ここから出て行ってもらいます。」江戸っ子の啖呵に幹部はあきらめて帰っていった。後で陽子さん曰く「ああでも言わなくっちゃ。しつこいんだから。」厳しい仕送りに頼っていた学生時代、渡辺さんは私達下宿人にとってのスーパーボランティアだったのである。
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紅葉を見んと京都ツアーに参加した。参加者は九州からのわずか6人。私たち以外は90歳前後の老夫婦と80歳代の男性二人。この二人は高校の同級生で共に奥様を亡くしておられる。この4人と旅をご一緒するうちにそれなりに親しくなり、いろいろと考えさせられることになった。 老夫婦はご主人の闘病生活を経ての久しぶりの旅行だった。奥様は闘病中の老老介護の苦労を語られた。しかし、ご主人は今では毎日畑仕事に精をだし頭も身体もお元気だ。高校の同級生二人はウマが合っているのが傍目にも分かる。共に配偶者を亡くしたという点で戦友の趣がある。 そのうちのお一人は耳鼻咽喉科の先生だが、今は引退し息子さんが後を引き継いでおられる。奥様が白血病で余命わずかと診断された時に、夫婦一緒に思い出作りの旅行を繰り返したそうだ。その時の心境を想像すると胸が痛んできた。つまり4人の方々に自分達の未来を見る心地がしたのである。歳をとるということは美しくもありまた残酷なことなのだろう。
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死ぬ間際であれば惚けて死ぬのも結構良いのではないかと思っている。人生でやり残した事、後悔、後顧の憂い、死への恐怖などに悩まないでいいからだ。ピンピンコロリができなければ、周りに迷惑をかけない程度に惚けて旅立ちたい。 とはいえ、仕事の現役中であればまだ惚けるわけにはいかない。衰えつつある記憶力と判断力を一定以上に維持する必要がある。かつては百人一首を丸暗記することに挑戦した。今は読書を除けば、クロスワードで頭の体操をしている。 新聞の日曜版に掲載されるクロスワードを解くことが習慣化している。結構難しい問題が多いが、タテ・ヨコの升目を埋めて行くうちに、突然正解を思いついた時は嬉しいものだ。先日は、「◯◯の教えと冷や酒は後で効く」という問題があり、亡き両親を思い出して少し心がジンとした。
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