芭蕉林通信(ブログ)

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2018年08月14日 忘れられない客室乗務員

 未だに忘れられない客室乗務員がいる。ブラジル移民100周年行事のため熊本県の訪問団の一員としてブラジルを訪問した時のことである。日本を立ったデルタ航空の飛行機は中継地であるアメリカに向かっていた。アトランタは東海岸寄りにあるので10時間を超える長旅である。その間一人のアメリカ人客室乗務員が我々を担当してくれた。年齢は50歳前後、細身で浅黒い肌を持つ理知的な女性だった。

 彼女の話し方はささやくようであり、立ち振る舞いは流れるようであった。そして痒い所に手が届かかんばかりに気を使ってくれた。機中皆が寝静まっている時にふと見ると、彼女は席に腰を降ろして本を読んでいる。その横顔は静寂そのものであり、読書に没頭していることが分かった。

 その時の彼女の動きは日本の茶道に似ていると感じた。無駄口はたたかず洗練された所作でおもてなしをする。その動きは侘び寂びに通じるものがあった。そして、典雅な所作とは日本の専売特許ではなく、例えば教会で聖職者がミサを行うことと似て、世界でもまた賞賛されるべきものだと思ったのである。

2018年08月06日 5万4千枚の写真

 いつの間にかパソコンに保存している写真が5万枚を超えた。昔は写真はネガで保存するしかなかったが、デジタル社会の到来で写真の保存法が一挙に変わった。私の場合は、カメラにしろスマホにしろ撮った写真は必ずパソコンに保存している。保存の難しいネガは、ある時点で特殊な装置ですべてをデジタル化した。しかしネガの変色が著しいのは、きちんとした保存法を知らなかったのだからやむを得ない。

 むしろ問題は5万枚を超える写真をどう整理し活用するかである。海外視察では平均千枚ぐらい撮影するので、これはと思った国については写真を厳選し1冊限りの写真集にしている。海外では南アメリカ、イギリス、フランス、中国、トルコ、国内では熊野、牛深、五島列島などが一冊の写真集となった。写真集にすると分かることは、写真の質はもちろん、選択とレイアウトにもセンスが必要ということである。うまくいった時は何度も見たくなるが、出来損なった時は反省頻りである。

 とはいえ編集を待っている残りの写真は膨大。なお毎日新たな写真が付け加わっていることを考えれば、今の内に写真整理法を開発しなければならない。写真1枚1枚を修正するとなるとかかる時間は検討もつかない。まるで膨大な情報に溢れている現代社会における悩みと共通しているようだ。

2018年07月30日 祖母と洪水

 昨年、今年と2年続けて梅雨の終わりに豪雨被害があった。限定されたエリアに、短時間でバケツをひっくり返したような雨が集中したことにより甚大な被害となった。地球温暖化が影響しているのだろうが、最近の天災には「かつてない」とか「未曾有の」とか形容詞が付くのが恐ろしい。さらにこの夏の35度を越える猛暑は、「災害と言って良い」と気象庁のトップに言わせるほどだ。

 聞くところによれば、世界はこの100年大きな天災に遭わずに済んだが、これからの100年は天災に次々と襲われるとのことである。国内で相次いだ大地震の発生は、その始まりかと思うと空恐ろしい。

 豪雨被害では、家や町に流入した土砂の撤去に皆さんが苦労している。そこで思い出したのが祖母に関するエピソードである。今から65年前、熊本を大水害が襲った時、家業の店舗も床上浸水し全員で品物を避難させなければならなかった。その時祖母は疲れた家族に向かって、水が引くのに合わせて土砂を外に出しなさいと𠮟咤激励したそうである。そのお陰で、翌朝近隣の店が土砂の撤去に苦心している時に、いち早く店を再建できたというのである。高齢化社会は、きっとおじいさんやおばあさんの知恵がどこかにいっぱい詰まっているはずである。それらを活用しない手はない。

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