2016年09月06日 バンコックの土産話
![]() いくつか気になった点があった。一つはテロへの不安である。さすがに空港に着いてしばらくは空港周辺をキョロキョロし不審者がいないか気になった。次に軍事政権による国政の安定度である。軍政への移管前に頻繁に起こった、国論を二分するような激しいデモは今や影を潜めている。3番目が国民の尊敬を集める国王の健康状態。すでに国王と王妃は加齢により長期入院中であった。 バンコックは広い平野が極端なほどの低地のため、2011年の大水害で日本を含む多くの企業が洪水の被害にあっている。今回は水産加工品を全量日本へ輸出している合弁企業を訪問した。驚いたのは、作業員の9割がミャンマーからの出稼ぎ労働者であり、最低日給が300バーツ(日本円換算で約900円強)という点である。現時点では、むしろ中国よりも人件費が割安になっていないかという疑問が起こった。 バスで街を通り抜ける度に見かけたのが多種多様な屋台である。決して清潔とは言い難い屋台が多く、ガイドからは屋台で食べる事を厳に戒められた。ということで、皆で食事をした後は何もすることがなく、ホテルの部屋で時間をつぶした。おかげで滞在中に6枚のスケッチと3句ほどの俳句ができたのはタイに行った甲斐があったというものである。 今回は団体旅行のために、トム・シンプソン宅や骨董街に行けなかったのは残念だったが、象に初乗りすることができたのは良い思い出となった。 象使い足裏白き残暑かな |
2016年08月30日 物に執する
![]() 今日の絵は木製のオルゴールを描いたものである。曲はSpinnig Reel が入っている。木馬の一つには乗り手がもういない。廃品すれすれの品物だが、少し手入れをしたら曲が流れ木馬が回転するようになった。このオルゴールを手に入れるまでの忘れ難い体験がある。 あれは、かつて勤めていた銀行の調査部時代のこと、自身初めての海外出張をした時のことである。調査テーマは「アメリカにおける日本企業の不動産投資」であり、西海岸は大手会社の幹部と同行、東海岸は単身出張となった。ロサンゼルスからニューヨーク行きの飛行機の中で機内誌を読んでいると、首都ワシントンにあるオルゴール店の記事が目に入ってきた。ニューヨークの次は、ワシントンの日本大使館を訪問する計画だったので、そのオルゴール店に行こうと決心した。 ところが、ワシントンの店を一人で歩きながら探していると、黒人に至る所で話しかけられて怖い事といったらなかった。それでも根性を振り絞りオルゴール店を探し当てるとドアは二重三重の鍵で閉まっている。呼び鈴を押してやっと中に入れてもらい、必死の想いで手に入れたのがこの小さなオルゴールという訳である。 こうした経緯がある品物だから、たとえ壊れて動かなくても曲が流れなくても私にとっては大切な宝物なのである。身近な物をスケッチするという行為は過ぎ去った過去の記憶を取り戻す行為と相似している。 |
2016年08月24日 俵万智さんに会う
![]() 「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 「また電話しろよ」「待ってろ」いつもいつも命令形で愛を言う君 蛇足ながら、俵万智さんには小学生の息子さんがいて、息子さんとの会話がツィッターで紹介されている。その一つ。 俵万智 今朝の息子との会話。「おかあさん、寒いね」「うん、寒いね」「・・・こたえる人がいても、やっぱり寒いね」「う、うん!?」 |