芭蕉林通信(ブログ)

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2018年01月10日 自然の脅威

 年末から年始にかけて、福島二郎氏の代表作「現車(うつつくるま)」上下二巻を読了した。小説の舞台は私が生まれ育った熊本市新町界隈であり、時代は明治から昭和にかけての一家族の叙事詩である。新町を始めとして身近な場所で繰り広げられる家族の愛憎劇や当時の世相に再三瞠目させられた。

 渡辺京二さんが推薦文で指摘されているように、登場人物らが語る熊本弁は土俗的な趣を醸し出しおり、読者の私にも多いに親しみを感じさせてくれた。私が忘れていた熊本弁の宝物に出会ったと感じたほどだ。もっとも、家族の物語としては栄枯盛衰の連続であり、悲惨な思いを拭えなかった。そして、戦時中の空襲の様子、26年に熊本を襲った大水害の描写は迫真の文章であった。空襲では火に追われ、水害では水に襲われるのである。

 そしてふと気が付いたのは、宮本武蔵が著した「五輪書」の各巻の表題のことである。「空」を除いた「地」「水」「火」「風」はまさに自然災害の元凶になり得るものだと。五輪とは密教思想から来ているそうだが、「地」は土砂崩れとなり、「水」は水害を引き起こし、「火」は火事として広がり、「風」は台風となり人間を苦しめる。まさに大いなる自然の力なのである。一昨年から昨年にかけて九州を襲った地震や豪雨被害を後世の人はどのように表現するのであろうか。痛ましい出来事だっただけに時間と共に風化することが懸念されている。

2017年12月25日 好きな数字

 再来年の大河ドラマはいよいよ熊本が舞台になる。マラソンの父と言われる金栗四三(かんくりしそう)さんの物語である。これまで地元としてはNHKに対し、細川三代や細川ガラシャ、加藤清正などを売り込んでいたので意外な主役の登場という感が強い。

 それにしても、今年は将棋の加藤一二三さんなど名前が数字の人が気になった。一二三は一歩ずつ着実に歩むようにとの願いが籠っているらしいが、四三は金栗さんのお父さんが43歳の時に産まれた子供だから命名されたという。

 ネット社会の到来により暗証番号を要求されることが多くなった。その際に数字を書き込まされるが、つい身近な数字を思いつくのはしょうがない。簡単なのは自分又は家族の誕生日だがこれは危険だと言われたりする。そこで私だけのこだわりの数字を思い浮かべれば、黄金律の1618、アルセーヌルパンの小説の題名にある813などがある。フランスの著名な構造学者レヴイ・ストロースがやはり813に拘っていることが知れた時は、世紀の碩学と仲間になったような気がして嬉しかった。

2017年12月18日 バンジージャンプの値段

 時々社員と昼食を一緒に食べるが、会話の中から若者の生態が分かることがある。先日は休暇の過ごし方を話題にしていると、一人が五木村でバンジージャンプをしたと話し出した。五木村は五木の子守唄で有名だが、熊本市内から狭い山道を離合車が来ないことを祈りながら運転しなければならない秘境である。したがって山は深く、清流川辺川を見下ろすバンジージャンプの高さは66mあるという。

 高所恐怖症を自認する私としてはバンジージャンプをするなど狂気の沙汰としか思えない。本人に怖くなかったのかと質問すると、跳ぶ前は怖いけれど跳んだら爽快だったと言うが、あっそうかいと笑うしかなかった。

 そこで幾ら賞金を出してくれたならばバンジージャンプをするかという話になった。私ならば仮に1千万円をくれると言ってもジャンプしたくはない。気絶して心臓麻痺を起こしたならば、賞金を使えないではないかと思う。父が戦前海軍兵学校で訓練していた時に、軍艦の舳先から飛び降りろと言われた時ほど嫌なことはなかったという話を思い出した。

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