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衣替えの度にうんざりする。秋の今ならば夏物を片付ける訳だが、一夏に一度も着なかった服があまりにも多い。しかも新規の夏服を買い足しているのだから話にならない。今年は思い切って30着ほど処分したが、今度は秋冬物が床にうずたかく詰まれてしまった。 周りを見渡すと、衣服に限らず本、陶器など趣味に関する物が整理されないまま溢れかえっている。増やすべきでないと分かっていても、集める癖がなかなか治らない。誰もが欲しがらない物を愛おしく思うのはゴミ屋敷の住人と似ているかも知れない。 心理学者フロイトの机の上は世界から集めた美術品で溢れていた。スイス人画家パウル・クレーは拾って来た石や貝殻を机の上に無造作に並べていた。彼らはきっと脳を休めたり発想のヒントを得ようとしたのだと思う。しかし世界の偉人と比べても仕方がないので、凡人の私は人生の区切りとして周りにあるものをいつから捨てようかと悩んでいる。
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先日ある人から、古代ギリシャ語では風、息、魂は同じ一つの言葉だと教えてもらった。さっそくネットで調べてみると、プシュケーPsycheとは息・呼吸を意味し、そこから生命・生きる、そして心・魂につながるとある。ヘブライ語のルーアハRuaghは風・霊の意味。なるほど、風・息・魂は同一か近い語源を持っているようだ。 そこで思い出したのが、フィレンツェのウフィツィ美術館にあるボッテチェリの大作「春」である。神が息を吹きかけると花が咲きほころび、そこにビーナスなど三美神が集い春を謳歌する。かつて「千の風に乗って」という歌が流行ったが、亡くなった方が千の風になって大地や海原を駆け巡るというのも、風・息・魂が一つであるのならば納得できる。 試しに、風にそよぐ幟を見ながら「魂が幟を揺らしている」と独り言を言ってみた。息を吐きながら、「魂を吐いている」と言ってみた。すると、突如大自然に包まれた感覚に襲われた。しかし冷静に周りを見渡すと、そこには都市ジャングルに囲まれた自分がいた。
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もう10年ぐらい前のことだろうか。釜山市内の観光が終わって夕食まで2時間ほどの空き時間ができた。ホテルの部屋で休むのももったいなく、韓国の骨董品を見つけに行くことにした。と言ってもどこに何があるのか知っているはずもなく、ホテルのフロントのかすかな記憶を頼りに、ある店まで単身タクシーに乗り込んだ。熱意は見知らぬ国の見知らぬ言葉をも障壁にならなかった。 それらしい店をやっと見つけ、ほっとしつつも内心は不安な思いで店内に入った。そしてその店内は、古物がまさに山のように積み上げられ、一山を成していたのである。店のオーナーとおぼしき老年の女性は、適当に山から物を探せと合図を送ってきた。ここまで来た以上は引き下がれないという思いで、古物の山に分け行った。山頭火風に言えば、「分け入っても分け入っても古物」。 そしてやっとの思いで購入したのは3点。朝鮮時代の貴族が使った帽子、落ち葉を掃き集める針金製の籠、そして金属製の蝶番。いわゆる民具の類いなので、随分安かった。今では、朝鮮半島の歴史や民族の生活を思い浮かべながら、これらの古物を日々眺めている。
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