芭蕉林通信(ブログ)

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2018年02月05日 世代交代

 今、国内の中小企業が後継者難に陥っている。少子化により会社を継ぐべき人がいないという理由以外に、事業継続のための資金手当、時代の変化に合わせた大きな投資などがネックになっている。相続税も面倒な課題だ。政府は相続税の緩和措置を法制化しようとしているが、一部の中小企業を助けるぐらいしかできないのではないかと心配である。

 企業のトップが後継者を見下して世代交代が進まないという例も散見される。トップが実績や見識、経験、人脈を誇るならば、若手の出る幕はないであろう。そういう人は死ぬまでトップであり続けて自己満足できるかも知れないが、若手の成長の機会を奪うことは間違いない。陽明学者の安岡正篤氏の「出処進退の法」を学び実践しなければならない。

 日本は第二次世界対戦で敗戦し、GHQの占領下国家的解体を経験した。その際戦争責任を追及された人は公職追放の対象となり、政治家、行政マン、企業トップが辞職に追いやられた。その穴埋めした30代から40代の青壮年が戦後日本の復興と高度成長を実現したことを忘れるべきではない。長老は心配する前にその席を次の世代に譲る勇気が必要なのである。

2018年01月29日 立ち往生した講演会

 日本経済新聞にリーダーの本棚というコーナーがあり、大学の同級生が7〜8冊の本を紹介していた。そのうちの一冊が庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」だったので、読み直してみた。我々は東大入試中止という事態に翻弄された学年であるが、本は当時の雰囲気をよく伝えており何だか懐かしい感じがした。

 芥川賞を受賞したこの本には、主人公の薫ちゃんが中村紘子さんのような美人ピアニストと結婚したいと言う文章があるが、そのことがきっかけとなり著者が本当に中村紘子さんと結婚した逸話を思い出したりした。そして、学生時代の私は下宿近くにあった津田塾大学の文化祭に庄司薫氏の講演を聞きに行ったのだった。映画寅さんシリーズの山田洋次監督の講演も翌年かにあった。そして、どちらかが講演の最中に立ち往生したのである。

 人気講師ということで、会場は満員の盛況ぶりだった。そして講演を始めたのは良いが、15分程度話すと突然に話を中断したのである。講演原稿を書いてこなかったので今から少し時間をくださいとか何とか言って、来場者が呆気にとられている中で壇上で原稿を書き始めた。中断は二度にわたった。その立役者が庄司薫氏か山田洋次監督かどうしても思い出せない。いくら推理しても、講演を中断したのはどちらか結論が出ないのである。うろ覚えの記憶は身体に良くないとはいえ、印象に深く残ったという点では講演は成功したのかも知れない。

2018年01月23日 嫉妬について

 道路脇にある浮気調査の看板を見るたびにいろいろと想像を働かせる。ある時、男は死ぬまで浮気する、女は死ぬまで嫉妬するという格言を作ったが、賛同を得られる訳がない。浮気調査を2万件(ほんとだろうか?)したと言う私立探偵の講演を聞いた時は、事実は小説より奇なりと心底面白かった。

 嫉妬は女の特権ではない。女の嫉妬はまだ可愛い。男の嫉妬がもっと根深い。男の嫉妬の対象は、男女関係にとどまらず、権力、地位、資産、上下関係など広範囲であり、報復は陰湿かつ長期に亘るからである。県民性によって違うという分析もある。例えば、熊本では「出る杭は打たれる」と言い、少しでも目立つと嫉妬の対象になる。一方、鹿児島では「薩摩の芋づる」と言い、立身出世した人が後輩を引き上げる。成功者は嫉妬の対象ではなく、自分にチャンスを与えてくれる貴重な存在となる。

 京都の冷泉家は千年の歴史を誇る歌の家である。藤原俊成の子である定家は、「紅旗征戎(こうきせいじゅう)は我事(わがこと)に非ず」として、権力争いから一線を画した。歌で世の中を変えようとしたのである。その定家といえども夢を果たせるほどヤワな時代ではなく、公家として出世が遅れて嫉妬したこともあったようだ。それでも、「紅旗征戎は我事に非ず」という姿勢には清々しさを感じるのである。

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