芭蕉林通信(ブログ)

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2015年04月24日 集字に挑戦

 書の勉強をしていた時に、集字というものがあることを知りました。古今の名筆から好きな字を選び組み合わせて、題や文章を作るというものです。今までは、何となく面倒で集字を実行するまでには至らなかったのですが、今回だけは仕事上の必要に迫られて挑戦してみました。
 やってみれば意外と簡単です。まず対象になる書から、好きな字をスマホで撮影。それを写真編集機能を使って、字を切り取りしズームで拡大して調整すれば終わりです。
 今回は、江戸時代の禅僧仙高ウんの書から3文字を集字しましたが、一字一字にして見ると、仙高ウんの書の素晴らしさが一段と分かる気がしました。仙高ウんの短い漢詩の中には、例えば「無」という漢字が3カ所使われているのですが、全てが違った表現で書かれています。

 ここに紹介するのは、その中の「無」の一字ですが、よどみない筆の動きが縦横無尽に動き、そして最後には静かな佇まいを見せていることに感心します。他の「無」の字は、まったく違う躍動感に満ちた書体で、これまた魅力あるものです。
 何気なく眺めていた書には、こうした字の隠れた魅力があることを発見するいい機会となりました。


2015年04月14日 「そうだったかのう」

 朝の食事時に、子供の「はいっ」という返事はいいねと話していましたら、家人が面白い話を披露してくれました。それは江戸時代の禅僧白隠さんの逸話です。
 信心深い父親が娘を連れて白隠さんのお寺に行く内に、娘が悪阻(つわり)となったために、父親は白隠さんを疑い、白隠さんに娘に悪いことをしただろうと詰め寄ったのだそうです。その時の白隠さんの返事が「そうだったかのう」。
 父親は赤ちゃんが生まれると白隠さんにその子を預けたので、それから白隠さんの子育てが始まりました。赤ちゃんに米汁を飲ませ、托鉢には赤ちゃんを連れて行きました。そうした白隠さんを見ていて、母親はたまらず父親に真実を話したそうです。父親が白隠さんに平謝りしたのは当然のことです。
 
 家人は、白隠さんの「そうだったかのう」という答えが素晴らしいと言うのです。私もその話を聞いていて、相手を非難するでもなく肯定するでもなく、そのまま受け入れる態度が素晴らしい、誰にでもできることではないと感心しました。

 先日は現代の世界で大変に影響力のあるというベトナム人の禅僧ティック・ナット・ハンのテレビ番組を見ました。特にインター・ビーイング(相互依存制)という師の教えに感銘を受けました。今週号の日経ビジネスに掲載されていた松下幸之助さんの言葉「相手が生きれば自己も生きる」に相通じるなと思いました。人生を極めた人の言葉は、同じものに収斂されていくものなのだと感じた次第です。


2015年04月06日 留学するタクシー運転手

 春の京都でタクシーに乗った時に聞いた話です。この会社では、増え続ける外人観光客に対応するために、毎年数名のタクシー運転手を英語習得のために留学させるそうです。従来はロンドンへ、最近はオーストラリアに留学させているそうですが、人材育成に努力するこの会社の姿勢にいたく感心しました。
 というのは、タクシー運転手はどちらかと言うと定職に付く機会がない人が選ぶ職業だという先入観があったからです。留学させるとなると、渡航費や授業代、留学中の給与の保証、帰国後の仕事継続の有無など経費面に限らず経営上の難問が多くあると思います。

 さすがに世界の京都です。そうした考え方はもはや古くさいとばかりに、タクシー会社が留学制度を運用している訳です。社員の教育は、会社側に人材を育成したいという強い意志とそのコストに堪えるだけの余裕があるという証です。将来を見据えて先行投資をしていく会社の姿勢は素晴らしいなあと思いました。
 さて、我が社においては将来を見据えていかなる教育制度を作り運用すべきか、新しい課題を与えられた京都の旅でした。


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