芭蕉林通信(ブログ)

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2014年09月22日 随兵寒合(ずいびょうがんや)を迎えて

 今年の「藤崎宮 秋の大祭」は、今月21日がクライマックスの随兵行列と馬追いの日となりました。私の生誕の地は熊本旧城下にあたる新町の問屋街ですが、新町は祭りに獅子舞を奉納する栄誉ある地域です。祭りの行列は必ず問屋街を通って行きますので、家の前を通る随兵行列や獅子舞、それに続く馬追いを見るには昔の私の家は絶好の場所だったということになります。
 それだけ子供の頃から親しんだ祭りですが、最近は行列に参加することも見学に行くこともなくなったのは、我ながら情けないことだと思っています。とはいえ、ちゃんと言い訳も用意してある訳で、富山の「風の盆」を見た以上は、熊本の祭りは品が悪くてしょうがないと言うことになるのです。
 もっとも、藤崎宮自体は、天皇からの勅額や重要文化財の神像があるほどの由緒がありますし、祭りでは神が一時的に休憩される御旅所で能が奉納されるなど深い歴史があることも事実です。先日から県立美術館で開催されていた「藤崎宮の宝物展」では日頃は見ることのできない勅額や神像を直接目にすることができましたし、御旅所での能の奉納は例年よく見学に行ったものです。

 ところで、熊本において最も季節感を表す言葉は、樟若葉(くすわかば)と随兵寒合(ずいびょうがんや)の二つだと思います。前者は5月になり、県木でもある楠に一斉に若葉が芽生え、サクラの季節とは又ひと味違う、新鮮かつ美しい季節の到来を知らしめてくれます。また、後者は「藤崎宮 秋の大祭」(昔は通称ボシタ祭りと呼ばれていました)の随兵行列が練り歩く頃に、熊本は急に秋めき朝晩が寒くなると言われて来たのです。この感覚は私自身身に染み付いており、本当によく当たるというのが長年の実感です。
 さて、異常気象続きであった天候は、秋から年末にかけてどうなるのでしょうか。低成長時代の下では、気象条件が消費行動に大きな影響を与えるだけに、長期予報や台風の影響に一喜一憂する日が続きそうです。


2014年09月16日 県知事室のくまモン

 私がくまもと「食」の大地親善大使に任命されて早11ヶ月が過ぎました。その間、取引をいただいている食品メーカーでは、カゴメがデコポンジュースを、三井農林が阿蘇の健康茶を、テーブルマークが県産米森のくまさんを使った無菌パックを相次いで開発し販売が開始されています。そして、今回はAGFが新たに晩白柚スティックティーを開発してくれました。AGF社長は私の年来の知人であり協力を要請した結果、予想を越えるスピードで新製品開発を進めてくれたのです。
 熊本県蒲島知事も自ら歓迎の意を伝えたいということになり、今月11日に知事室にてトップ会談が行われました。AGF社長には私も同道しましたが、県知事室には知事を始め農政関係の幹部が多数同席し、県の営業部長である「くまモン」までが出迎えてくれたのには驚きました。「くまモン」は相変わらずのお茶目ぶりで、最後は知事の指示もあり、テーブルに着座し大いに愛嬌を振りまいてくれました。

 この「くまモン」は、知事が「くまモンの政治経済学」というタイトルで講演した東京大学やハーバード大学にも付いて行っており、その後にパリに行ったことを考えれば相当の海外出張経験者となるようです。天皇皇后両陛下が来熊された時には、両陛下にくまモン音頭を披露するぐらいですから、世に数多くあるゆるキャラの中でも、特別に光り輝く存在であることは間違いありません。
 テディベアを作るシュタイフ社が1500体限定の「くまモン」を作り、深夜12時に売り出した際は、僅か5秒で完売したのですから、その人気恐るべしと言うべきでしょう。何を隠そう、私も2体買うように挑戦したのですが、見事に1体も買えませんでした。熊本県民としては、くまモン人気がこれからもずっと続いてほしいと思っているところです。


2014年09月08日 思い出の長崎次郎書店

 私の本籍地は現在住んでいる場所ではなく、生涯変わらずに新町という所です。そこは私が産まれたというだけではなく、現在の会社が明治2年に創業した地でもあるからです。また遡れば、安土桃山時代から江戸時代にかけて、加藤清正が商人の住む町として整備したのが新町であり、その新町の川に面した一画だけは「瓶や町」として、瓶や壷の職人が住んでいました。私の先祖がどうやら、瓶や町で「かめや」の屋号で瓶や壷を作っていたようなのです。
 その新町に歴史的建造物として登録された「長崎次郎書店ビル」があり、新町の近代化遺産として、ひときわ輝いた存在になっています。数年前には、オーナーから書店としての経営が難しいので知恵を貸してほしいと頼まれたことがありました。この書店には、個人的には強い思い出があり、それは人生の岐路ともなった出来事でした。従って、どうしても歴史と伝統のあるこの書店は存続してもらいたいと密かに思っていたのです。

 ところで、その出来事とは私が高校3年生で受験勉強真っ只中に起こったことです。自宅で数学の勉強をしていた時に、行列の問題がどうしても解けません。いわゆる問題先送りにして他の問題にかかれば良いのに、その時だけは解けないことがどうしても気になり、即座に自転車で長崎次郎書店の参考書売り場に行ったのです。果たして、参考書に同様の行列問題を見つけ、解き方が簡単に分かったのです。
 さて、その数ヶ月後に上京して、大学受験を受けた時のことです。数学の問題用紙の中に、あの行列の問題がほぼそのままで出題されているではありませんか。その時は心底驚き、かつまたラッキーと思いました。配点が多いであろうこの数学の問題が解けたことが、奇跡的な大学合格を勝ち取った最大原因だと今でも信じています。運が良かったといえばそれまでですが、自宅で問題が解けなかった時にすぐさま行動を起こした自分自身も褒めたいと思います。
 その思い出深い長崎次郎書店が、先月新たなコンセプトで再オープンしました。私ももちろんすぐさま馳せ参じたのですが、歴史ある町にふさわしい文化の香りする本が集められていて感激しました。40数年前の立ち読みのお詫びと大学合格の感謝の念を込めて、白洲正子の「ほんもの」と高峰秀子の「瓶の中」を、同行した孫には「科学事典」を購入しました。休みの日には、またふらっと訪れたい店ができ幸せな気分です。
 


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