芭蕉林通信(ブログ)

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2014年09月01日 改築されるホテルオークラの思い出

   8月18日の日本経済新聞朝刊の「春秋」欄に、ふと目が止まりました。記事は、ホテルオークラ東京の本館が老朽化のために立て替えが決まったこと、日本の伝統的な意匠を施し評価の高いメインロービーがなくなるのは残念だということが書いてありました。そこで私が昔、偶然に体験したことがこつ然と思い出されたのです。
 いきさつはこうです。今から30年ほど前に、地元紙である熊本日々新聞の紙上で約1年間に亘り、毎月「肥後の守」という随筆欄を受け持ったことがあります。その頃は、会社を売り出すための資金がなく、署名記事であれば会社の宣伝になると判断して、連載をありがたく受けたという次第でした。
 ある月は、「一期一会のサービス」というタイトルで、ホテルオークラ東京に宿泊した時の感想を一文にまとめました。ホテルスタッフの行き届いたサービスに感動したことを書いたのです。それから日を置かずして上京しホテルオークラに宿泊した時、突然部屋に副支配人という方から電話があり、明朝食事を一緒にしたいという申し出を受けたのです。
 翌朝食事を共にしながら副支配人から伝えられたのは、熊本のある方が私の随筆のコピーをホテルオークラに送られたこと、ホテル側はその文章を読み感謝されたという事実でした。そしてその折に副支配人から記念としていただいたものが、非売品である「日本の文様とホテルオークラ」という写真集でした。

 さっそく本棚から久しぶりに取り出して写真集を見たのですが、なるほど世界から来る観光客や要人のために、日本の素晴らしい文様や意匠がホテルのインテリアや装飾にふんだんに活かされているのです。例えば、富士山、銀杏、辻が花、藤、蘭、松、竹、芸術家の作品では富本憲吉、野々村仁清、俵屋宗達、棟方志功、さらに曲水庭、石庭があしらわれているという具合ですから、取り壊すのがもったいないとなるのは当然と言えるでしょう。
 もっとも、日本経済新聞の「春秋」欄には、改築される新館も日本の伝統美を受け継いだものになること、基本計画には本館を設計した谷口吉郎氏の息子さんが参加すると結ばれていました。私自身も一期一会のサービスがこれからもホテルオークラに引き継がれて行く事を確信しています。


2014年08月25日 蝶の羽化と「人」の湯文字

 雨続きの今年の夏ですが、それでも我が家の虫かごにいたサナギ二つは相次いで羽化し、きれいなアゲハチョウになりました。羽化した後に残されたサナギは、鮮やか緑色を失うと共に、軽い小さい物となってコロコロと転がったりしています。羽を広げたアゲハチョウを見ていますと、この小さなサナギの中でどうやって細胞分裂をし、広い羽を折り畳んでいたのか、言いようのない不思議さに心が捕われてしまいました。
 先日のテレビ番組では、宇宙に放出する人工衛星は太陽光発電するために大きな面積の羽を広げなければならない、そのためには羽を小さく折り畳んでロケットに載せねばならないがその知恵を昆虫から得ていると説明があっていました。まさに、アゲハチョウにも該当する自然の知恵だと感心しました。

 ところで週末に山の温泉に入っていた時のことです。湯船から出て体を冷やしていた床に、飛び散った湯でできた模様が目に入ってきました。それは「人」という字に見えるのです。とても立派な字に見えましたが近くにカメラがありません。仕方がないので必死に形を記憶し、再現を試みたのが今日の写真の「人」という字です。本物は適当に飛沫もありもっと心を打つものでしたが、今は蒸発して「もののあはれ」となっていることでしょう。改めて、自然は大芸術家だと思いました。


2014年08月18日 家の近くにあるもの

 今、私は東京を離れ、いわゆる地方都市の旧住宅街に住んでいます。南面が川、北面が高台ですので、陰陽でいうところの「陽」にあたる場所です。台風シーズンになると、風の通り道になりますので結構心配したりしています。ただ旧住宅街のせいか、家の近くには個人食堂や八百屋、公園、小学校、中学校などがあり、さらにその周りには豊かな自然が残っていますので、田舎暮らしを満喫していると言っても過言ではありません。
 とりわけ、特筆すべきなのは、歩いて7分の所にあるS美術館です。ここは、宮本武蔵ゆかりの品々を多く保存している点で著名なのですが、さすがに武家文化の展示品だけに、いつも入場者が多いという訳にはいかないようです。しかしここには立派な庭があり、又しゃれたカフェに加え、催事スペースでは多彩な企画展が年中開催されていますので、私自身は最低でも週一回は足を運ぶことにしています。

 今は、ある昆虫コレクターが収集した昆虫展が開催されています。先日訪問した時には、大勢の子供連れの家族がいたのには驚きました。どうやら子供達にとっては夏休みの宿題を果たす絶好のネタなのでしょう。そういう私も昆虫達の色彩や造形の美しさ、奇妙さに引き込まれてしまいました。日頃から親しくしている館長夫人からは、コスタリカにいる日本人昆虫研究家のブログを教えられていたのですが、先週のTV「世界不思議発見」に当の本人が出演しているのには感激しました。
 夏休みを利用して高松に行っていた孫二人の土産も、カブトムシ、クワガタ、蝶になる前の芋虫などでした。捕まえた蛇を持って帰っていいかという問い合わせが高松からあった時だけは、必死にまた断固として拒絶しました。


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