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今年のお盆休みはコロナ感染のリスクから移動を自粛する動きが強まった。九州新幹線の利用が半減したと聞くと、影響を受けている企業の苦労が偲ばれる。それに加えて連日の猛暑である。気象予報士は危険を伴う暑さであると警告をならし、熱中症の患者が激増している。熊本県について言えば、4年前の熊本地震、今年のコロナ感染者の増加、球磨川の氾濫、そして危険な猛暑と悪いことが続いている。 同年輩や年配者と会うと、昔はこんなに暑くはなかったという話になる。気象庁のデータを調べてみると、東京の8月の平均気温は明らかに上昇している。主な年の平均気温を抜き出してみる。私が生まれた1950年は26.2度。200年は28.3度。昨年は28.4度。そして今年は8月半ばまでの平均で29.2度を観測しているから、70年前に比べて3度も上昇している。異常な高温が日本列島を襲っているのは疑えない事実である。「昔はこんなに暑くなかった」とは本当のことだった。 もしもこれが地球温暖化の影響ならば、この異常な高温は常態化する怖れがある。インド洋などの大洋の海水温が上がり、結果として来年以降もゲリラ豪雨が日本の河川を氾濫させ、さらには台風を巨大化するかもしれない。世界のリーダーが地球温暖化の抑制に舵を切らなければ、若い世代は厳しい自然環境に対峙せざるを得なくなると懸念している。
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例年のごとく今年のお盆は球磨郡水上村の民宿に赴いた。高速道路を経て人吉インターで降りるとそこからは人吉の中心市街地は近い。球磨川の氾濫で大きな被害を被った九日町通りに行くと、災害ゴミはほとんどが撤去されており、報道で惨状を知っているだけにその復旧ぶりに驚かされた。とはいえ、仔細に見ると、行きつけの民芸の店、鰻屋、定宿としていたホテルなどは洪水の傷跡を残したまま閉鎖されている。あの豪雨が襲った僅か一日のことで住民の方々が大きな被害に会われたとは、何という運の悪さかとも思う。 一方、被災地の上流域に当たる水上村は幸いにして被害は少なかった。ただ洪水時にぎりぎりまで緊急放水を検討した市房ダムには大量の流木が放置されていた。人里離れた民宿ではしばしコロナを忘れることができたが、エアコンのない部屋では思いがけない暑さに死にそうな気がした。 それでも二泊する間に、地元で取れた山野草の料理、天の川とペルセウス座の流星、著名なロシア語翻訳家の隠遁したかのような住まい、着替えの下着から出たきたクワガタの子供、田の神に捧げた供え物など野趣豊かな時空を経験できたのは幸せだった。例年だとこの時期に開催される村の盆祭りはさすがに中止であったが。
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2020年08月13日 ドイツ・ハイデルベルクの洪水対策
熊本の経済団体の団長としてドイツ視察を敢行したのは15年ぐらい前のこと。観光振興の参考例として、ミュンヘンで開催される「オクトーバー・フェスト(地ビールメーカー10社ほどが巨大テントを設営して、ビールや料理、音楽を楽しむ一大イベント)」を見学することにした。そのついでに、熊本市と姉妹提携関係にあるハイデルベルクを訪問したのである。この街は、文豪ゲーテが愛した古都であり、歴史ある自然豊かな城下町という点では確かに熊本に似ていた。高台にあるハイデルベルク城、哲学者が思索しながら歩いたという「哲学の道」、ノーベル賞受賞者を多数輩出しているハイデルベルク大学(大学ゆかりのノーベル賞受賞者はなんと33人)などが有名である。 この街で驚いたのは横を流れるネッカー川の洪水対策である。要するに洪水対策をしないという洪水対策なのである。美しいネッカー川は20〜30年に一度ぐらいの頻度で氾濫するという。しかし、護岸を補強したり堤防を作ったりして美しい景観を損なうぐらいならば、あえて洪水により街や店が泥水に侵食されることも辞さないという覚悟なのである。古いものや自然をこよなく愛するドイツ人らしいなと思う一方で、果たして日本の治山治水はどうあるべきか考えさせられた。何しろ、大雑把に言えば、ドイツは石の家、日本は木の家だからである。(古地図はネッカー川とハイデルベルクの町並み) 本年7月、熊本の人吉・球磨地区は球磨川の氾濫により未曾有の被害を出した。一度は建設中止になった川辺川ダムを作っておくべきだったという新聞記事が気になった。私自身安易に川辺川の清流を守れというつもりはないが、ただダムがすべてを解決するという考え方に違和感を感じるのである。地球温暖化や森林の伐採、大規模なリゾート開発などが川に大きな負担を掛けてきたことを忘れてはならない。ネッカー川の例にならい、日本人はこれから大河とどう向き合うか新たな知恵が求められている。
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