芭蕉林通信(ブログ)

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2023年05月26日 木から落ちる

 先日、作庭を依頼している植木職人から木から落ちてけがをしたとの連絡が入った。4メートルの木から地面にあった鉄パイプの上に落ち肋骨2本を折ったとのこと。そこで不謹慎ながら思い出したのが、兼好法師の徒然草の一節「木のぼり名人」である。木に登って作業する弟子に対して名人は高い所にゐる時は黙って見ているが、弟子が飛び降りてこれそうな高さに差し掛かった時に初めて「気をつけろ」と声をかけるというのである。高い所では自ら気を付けるが低い所では油断しやすいからというのがその理由だ。我が植木職人はいかにして落下したのか次回聞きたいと思っている。

 さらに徒然草には「囲碁名人」の一節もありこれも私の好きな話だ。そこでは、名人は負けないように負けないように石を打つことが大事だと言っている。一見して消極的な石の打ち方のようにも思えるが、企業経営にも相通じるモノがあるような気がする。つまり企業経営においても成長を期するあまりに積極的に投資をしたり事業展開をして過剰投資に陥ることがある。あくまで慎重な判断と引き際が大切だ。囲碁名人にように、つぶれないようにつぶれないように手を打っている内に企業が知らず知らずの内に成長するのが理想だ。

 亡き父からは「損切り」という言葉を教えてもらった。損を取り返そうと深追いするのではなく、思い切って損を確定させ事態を収束させるということだ。振り返れば、これまでに犯した仕事上の失敗は数知れない。そのたびに損切りして生き残って来た。改めて、兼好法師や亡き父には感謝しなければならない。

2023年05月16日 ディスカウント列島

 いつの間にか日本という国はディスカウント列島と化してしまった。円は安くなり、実質賃金は上がらず、超低金利が続き、物価も昨年までは低く推移した。日銀の2%のインフレターゲットは失敗した。海外資本による企業や不動産の買収が盛んなのは、日本全体がディスカウントしているように見えることによる。

 地方の企業は、低生産性・低賃金で生き残って来た。その代わりに雇用は守るという訳である。しかし、物に限らず人の動きもグローバル化した今日では、この地方企業の生き残り策は危うい。

 現に、地方におけるブランド企業と自他共に認めてきた企業群が試練の時を迎えている。経済の変化に対して構造的な問題が表出したからである。これらブランド企業といえども、仮に収益を上げ得ないならば、優秀な社員や幹部の離脱を招き、採用難に陥ることを避けられない。この点よくよく吟味しなければならないと自戒している。

2023年05月08日 5月の天草にて

 連休中に19歳の若者4人と出会った。一人はヨットハーバーに面したレストランで。天草の女性は素朴で素直、働き者との評判があるが、ホール担当のその女性もハキハキしてメニューの説明は堂にいったもの。地元愛が身体全体から迸り出ていた。

 あとの3人とは日帰り温泉の服脱ぎ場で出会った。一人が私の母校である熊本高校のTシャツを着ていたので思わず声をかけた。聞けば今年入ったばかりの大学の仲良し3人組で旅行中とのこと。初々しい態度に好感が持てた。質問されたので、天草四郎ミュージアムと三角西港の見学を薦めて別れた。

 長女は嘗て上京した大学で「イモ」と呼ばれていたらしいが、私は陰で「田舎のキャデラック」と呼ばれていたとは卒業後に教えられた。都会人にとっては我々親子は垢抜けしていないように見えたのだろう。しかし私だけでもこれからも田舎者で通そうと思っている。いや当時の私には単に19歳の彼らや彼女に感じた瑞々しさや素直さがなかっただけだったのかも知れないが。

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