芭蕉林通信(ブログ)

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2015年03月02日 地元南関の手延べ素麺

 昨年は夏の長雨と冷夏で、夏物商品の売上はさっぱりだったことが思い出されます。特に、広島では大規模な土砂崩れがあり、多くの人が命を落とした年でもありました。
 さらに冷夏は4月の消費税増税後のことでしたから、熊本の名産品の一つである南関素麺の売れ行きが悪かったのはやむを得ないことでした。盆地型の気候である熊本市は、夏は暑く冬は寒いので、特に真夏の熱暑の中では食欲は減退し、「素麺でも食べるか」が例年の合い言葉です。ところが作年は、そう言って素麺を食べたのはただの一回だけだったのですから、素麺がいかに売れなかったかわかるというわけです。
 ということで、今年は例年とおりの暑い夏が来ることを前提に、南関素麺の販促を昨年以上にしようと考えているのです。
 素麺と言えば全国的に素麺の産地として有名なのは兵庫県の揖保地方です。かつて揖保地方を車で移動中に見た、安全運転の看板は今でも忘れられません。
 「ゆっくり走ろう揖保路」
揖保路とは、きっとイボジと読むのだと思います。ここまでいくと、今人気のあるサラリーマン川柳の世界に近いものがあります。その時、お尻がむずむずしたことを覚えています。

 今回は、地元の歴史ある素麺の産地、県北の南関に行ってまいりました。南関は、古来から交通の要衝であり、豊臣秀吉が薩摩征伐の際に通っていったのが南関であり、江戸時代は細川の殿様がこの地を通って参勤交代をしたという由緒ある地でもあります。
 従って、南関周辺には装飾古墳や殿様が立ち寄った南関御茶屋、小代焼の里など見所が多い所です。
 お訪ねしたのは、ご主人が御年80歳でなお現役として、手延べ素麺を作り続けている製麺所でした。麺を捏ね、二本の棒を使い長く引き延ばし、天日で干して作るまでの全てが手作業という、根気と熟練の技が必要な作業であることを改めて確認できました。
 約300年の歴史のある南関素麺を、これからも数量限定の貴重な県産品として、大事に扱っていきたいと思っています。


2015年02月23日 漱石と老婆

 地元紙である熊本日々新聞に、今月から夏目漱石の「草枕」が連載されています。冒頭の有名な一節である「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」が昔から順番通りにうまく言えませんでした。が、最近やっと、知情意の順番だったのだと分かり、暗唱しやすくなって嬉しく思っています。こんなつまらないことで喜ぶのはおかしいと人様からは言われそうですが、思い出したくても思い出せなくらいいらいらすることはない訳で、こうした経験のある方ならば、納得していただけると思います。 

 ところで、話が随分と脱線しましたが、この「草枕」では、漱石自身と思われる主人公が峠の茶屋に寄って、たまたま応対してくれた老婆を写生しようとする場面があります。漱石は、老婆がすぐに動き出したことで写生を諦めるのですが、写生の対象としての老婆は、人生を生き抜いて来た人物として、漱石は味わい深く感じたのでしょう。
 というのは、最近見つけたバーナードリーチの書画が、まさにその老婦人を写生し、その時の思い出を書き記したものだったからです。リーチは綿を編む老婦人を写生した上で、その時の静謐な雰囲気に感動したと言っているのです。
 民芸運動を主導した柳宗悦との親交も厚かったバーナードリーチは、今まさに、前述した地元紙の連載小説「リーチ先生」(原田マハ著)の主人公でもあるのです。彼の日本の婦人に対する暖かい眼差しを感じるこの書画は、峠の茶屋の老婆を写生しようとした漱石の心に通じるように感じるのは少し考えすぎなのでしょうか。


2015年02月16日 司馬遼太郎記念館の菜の花

 久しぶりに大阪に行った機会に、司馬遼太郎記念館にまで足を運びました。司馬さんの自宅の敷地内に、安藤忠雄さん設計の記念館がありましたが、目を引いたのが庭のあちこちに飾られた菜の花でした。
 菜の花は、司馬さんが一番好きだった花ですし、著書「菜の花の沖」の題名にもなっているぐらいです。その菜の花に飾られた司馬さんの書斎が圧巻でした。

 書斎には、執筆する机を囲むように本棚があり、縁側には柔らかそうな椅子が別に置いてありました。ここから、季節ごとに変わる雑木林の庭を司馬さんは眺めていたのだろうなと思うと、もう既に亡くなられていることが信じられない気がしました。生前の司馬さんはこれといった趣味はなく、ただ様々な本や資料を読む事が大好きだったということですから、庭を眺めながら好きな本を読み、気分転換をされていたのでしょう。

 以前、白洲正子さんの武相荘を訪ねた際、その書斎を見たことがありますが、名著はこうした書斎から生まれるのだと想像すると感慨無量の感があります。次は北九州にある松本清張記念館に行ってみたいと思っています。

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