芭蕉林通信(ブログ)

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2014年10月14日 社員食堂と花嫁修業

  会社の若手社員と社員食堂で時々中食を供にしますが、仕事を離れて様々な情報交換ができて楽しいものです。今日は、3人の女性社員相手に「女子力アップ」の話をしました。と言ってもこれはNHK番組「女子力アップ講座」で、国生さゆりさんが話していたことを覚えていただけのことですから、いわゆる受け売りです。国生さんは、まず新聞を購読して分からない事は辞書で調べて知識を増やす、次に一流の物を買うと丁寧に扱うので所作が奇麗になると指摘していました。
 ここまで説明している内に、昨晩聞きに行ったゲルギエフが芸術監督しているマリインスキー歌劇場管弦楽団のコンサートが思い出されました。演奏されたのは、プロコイエフ・バレエ「ロミオとジュリエット」、ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」、チャイコフスキー交響曲第6番ロ短調「悲愴」でしたが、あまりにも美しく荘重な音色に聞き惚れたことを3人の女性社員に披露したのです。音楽も一流のものは違うと・・・
 そしてさらに思い出したのは、若手チェリストがアンコールで弾いた独奏曲の素晴らしさでした。彼のチェロが響きわたると、突然にアーウーという声明のごとき声が重なり、また別の旋律に移るというまるで幽玄の世界に彼は誘(いざな)ってくれたのです。休憩時間になると、劇場のCD売り場に直行したのですが、チェリストに感激した観客が私同様CDを買い求めていたのは当然でした。(因に、彼のCDは発売されていませんでした。)

 さて、別のNHK番組で面白いのは、全国各地で繰り広げられる中食の様子を取材した「サラメシ」です。中井貴一さんが素っ頓狂な声で解説するのもおかしいのですが、まさに地域ならでは中食風景や各人それぞれのこだわり弁当などがあり、見る人を惹き付ける番組です。我が社の場合は、コンビニ弁当で済ます人とお母さん又は自分で作った弁当を持参する人が半々といったところです。最近のコンビニ弁当の進化を見ていると、簡便で美味しい弁当がすぐに買える現代社会では、若者が焦って結婚しようとは考えないはずだと納得したりします。
 これは私流に言えば、「嫁いらず」の時代です。老婆心ながら、独身でいれば料理下手な新妻の料理を無理して食べなくてすむなどと考える青年が多いのではないかと心配になるほどです。昔は、嫁入り前の女性は料理や華道など花嫁修業をしたものですが、今ではこれも死語なのでしょうね。


2014年10月06日 マッサンの余市

  私は旅の専門家という訳ではないのですが、経験から言って、点より線、線より面が大事と思い旅の日程を組んできました。短い日程で多くの国や場所を巡ろうとすれば、自ずと飛行機や車での移動が多くなり、訪問地の数はこなせてもその国やその地の事情がよく分からないということになりがちです。
海外のホテルでは、欧米の観光客がプールサイドの寝椅子に寝転がって、一日中本を読んだり肌を焼いたりするシーンを散見しますが、日本人はそうした滞在型の観光は苦手のようで、いつもコマネズミのように名所旧跡を巡り歩いています。しかし、生まれて初めて行く所は、できるだけ見てやろう味わってやろうという気持ちも尊い訳ですし、何より好奇心と経済効率を考えての結果ですから一概に悪いとは言えないのは確かです。

 今回は、お取引先が設営した北海道二泊三日の旅でしたが、過去に10数回は行った所ですから、過去繰り返した点や線の観光を補えたという意味では大変有意義な旅となりました。
札幌は雪祭りと旭山動物園を視察した以来の来訪でした。雪のあるなしでは、札幌はまるで違う街です。そして特筆すべきは、二日目に行った小樽と余市です。小樽も過去に複数回来ていますので、運河のある小さな街はよく歩いた所でもあります。そこで、今まで行く機会がなくどうしても見たかった「石原裕次郎記念館」と「鰊御殿」、「青山別邸」に行く事にしたのです。とりわけ、ニシン漁で得た巨万の富(当時の金で31万円)で建てた「青山別邸」の贅を尽くした邸宅には驚かされました。最高の素材を全国より集めて、手練の職人が技の限りを尽くして造作しているのです。
その後、余市の「ニッカウイスキー工場」に行ったのですが、その日がNHKの朝ドラ「マッサン」の初日という偶然にこれまた感激して見学しました。ここは少し説明が必要ですが、マッサンとは日本にウイスキーの製造技術を招来させた先駆者、竹鶴政孝のことです。赤いとんがり帽子(パゴタ屋根)のような空気抜きを持った建物群が広大な敷地に配置されている様は、日本というよりスコットランドを思い出させるに十分の雰囲気でした。もっとも、ウイスキーの専門書には、スコットランドには明るい色の屋根はないそうですから、これは竹鶴政孝の妻リタさんの好みだったのかも知れません。
これからの朝ドラの展開に目が離せません。

2014年10月01日 シンガポール陥落のあれこれ

 ネットオークションで戦場スケッチを落札しましたのは、絵になっている題材と画家の力量に興味を覚えたからです。そのスケッチにシンガポール陥落記念の切手が貼ってあるのも面白いと思いました。その絵というのは4枚一組となっています。「遁走の敵輸送船」「ジョホル水道 敵前上陸」「セレター軍港」そして当時の蒸気機関車のコラージュです。戦時中に海軍中尉であった私の父が今生きていたならば、すぐさまそれぞれの絵に注釈をしてくれただろうにと今では残念です。 
 そうした気持ちでいた時に、古美術商の随筆に目が止まりました。そこには、思い出深い酒杯として、電力の鬼と呼ばれた松永安左衛門氏の遺品処分の話が載っていました。その酒杯は、同氏がシンガポール陥落を記念した茶会で見い出した物と書いてあるのです。数時間を置かずにして体験した、シンガポール陥落の二つの出来事に、偶然とは言え大いに驚かされたました。戦場では画家がスケッチをする一方で、国内では茶会が催されていたというのですから、戦争の矛盾の一端を感じたのです。 

 そういえば、先日元国会議員が自ら所有しているという東条英機氏の色紙の話を興味深く聞かせてもらいました。それは、戦争犯罪を追求された同氏が、戦後開かれた国際裁判中に親しい人に送った辞世の句というものです。それは、「絵踏みして 生きるもくやしき老桜 散ると知れや 風さそうまま」というものです。
 同氏をウィキペディアで調べてみると、辞世の句というものが列記してありますが、どちらかと言うと品がよく無難なものが多い気がしました。しかし、今回教えてもらったものは、同氏の肺腑をえぐるような叫びが入っているようで、その迫力と生々しさに圧倒されました。この句は、一般には知られているのかどうか気になっています。
 


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