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現在の家に住み始めて23年になる。設計家は実家が木材を扱っていたらしくやたら樹木に詳しかった。庭の植栽計画も彼が作ってくれた。しかし23年が経つと、枯れたり大きくなったりした草木が混在し雑然な庭になってしまった。 そうした中、一人の庭師にひょんなと所で出会った。こうして書いていると能面士A先生ともひょんな所で出会ったことを思い出した。気心の知れる人との出会いは大概は偶然によるものらしい。さて話を戻すと、その庭師は春の植木市に苔庭を作庭して出展していたのである。わびさびを感じさせる庭に心惹かれて声をかけると、真っ黒に日焼けした男は意外と若い青年だった。そしてその青年に庭の改造を依頼したのである。 依頼してみて、庭師が興味深い提案と完成度の高い庭を造ることに驚いた。かくして狭い庭にはこけら葺きの待合ができ、水盤や灯篭が出現し面目を一新した。主庭の改造が控えているので、しばらくは彼の作庭が見られることがうれしい。
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(財)阿蘇グリーンストックとの関係は全国のリゾート開発が叫ばれていた約30年前に遡る。当時の財団は阿蘇の外輪山の一角にモンゴルのパオを設置し、馬を飼い来訪者に乗馬体験をさせながら阿蘇の原野や草原を守ろうという目的でスタートした。私もいつの間にかその運動に巻き込まれていくうちに、イギリスで盛んなナショナル・トラスト運動のことを知った。 そして2010年8月に念願が叶い、その運動の聖地であるイギリスの湖水地帯を熊本の企業経営者仲間15人ほどと一緒に訪れたのである。運動の中心人物であるビアトリクス・ポター(絵本ピーターラビットの生みの親)の家ヒルトップ農場も往年の姿のまま大事に保存されていた。 今阿蘇は世界農業遺産として認知され、地元自治体はもとより財団やそれを支える多くのボランティアからサポートされている。まさにイギリスで学んだ自然や生活文化、そして素晴らしい景観を守ろうとする運動がこの阿蘇の地で芽生えつつあることに感動している。私も今までささやかな支援をしてきたが、これからは周辺の仲間を巻き込んで草原を守る活動にさらに積極的に参加したいと夢見ている。(写真は私の会社で作った赤牛カレー・私の下手な絵付き)
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人には心の内にある哀しみをあえて吐露しなければおさまらない時がある。2歳年上の能面士Aさんが亡くなった。二日前のこと、久しぶりの酒食に誘うために電話したが繋がらなかった。虫の知らせか安否が気になり、知り合いに訊ねたが事情は知らないと言う。Aさんと初めて会ったのは昨年の10月だから1年にも満たない付き合いだったが、その間無理を承知で好きな能面を数面打ってもらい、その度に食事をした。何度聞いてもAさんの話は面白かった。 たった一つの懸念がAさんの身体が癌に侵されているという事実だった。それでも私の希望に沿って素晴らしい面をいくつも打ってくださった。生涯独身だったので静かに旅立たれたのか、お亡くなりになったのは2週間も前のことだった。Aさんらしい最期と思った。 それにしても人間は死んで何を遺すのだろう。少なくともAさんの場合は、能の舞台で使われる能面や修復された古面など確かな形の物が長く世に残るはずである。私の手元にはAさんが精魂込めて打った能面が遺された。私は幸せ者だと思っている。それらの能面を観る限り、Aさんはまだ生きいると思えるからである。ご冥福を心から祈りたい、良い出会いに感謝しながら。(写真は最後の作・慈童)
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