芭蕉林通信(ブログ)

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2023年08月22日 キャリアの成り手不足

 銀行マンになって広島支店で4年目を迎えた1976年の夏、突然建設省(現国土交通省)に行くよう命じられた。寝耳に水の異動辞令に慌てて紀伊國屋書店に行き、官庁シリーズの一冊「建設省」を入手してにわか勉強した。

 配属先は霞ヶ関の本省大臣官房政策課という省全体の政策を調整するところである。当時の私が勤めていた銀行は中央官庁との人事交流が盛んで、常時20〜30人の行員が各種機関に派遣され、国策と金融業務の一体運営に尽力していたのである。

 そのわずか2年間の出向経験から類推するに、昨今のキャリア(国家公務員上級職)の成り手不足の原因は次のように考えている。もちろん、世上言われているブラック企業化したキャリアの職場環境とは別の視点である。その第一は、政治家主導によりキャリアの活躍の場が大幅に減少したこと(優秀な政治家もいればそうでない政治家もいよう)。第ニに、キャリアのトップである事務次官の意思表明の場が全くなくなったこと(かつては大臣と事務次官が一緒に記者会見していた)。最後に、その結果としてキャリアの誇りややり甲斐がなくなったこと(これは民間企業にもありえることなのでトップは要注意)。この見解は一時的なキャリア経験者の偏見かも知れない点、ご容赦のほどを。

2023年08月16日 額の裏に隠されていた物

 先日、架けていた版画が落ちて額が壊れたと一人の社員が申し訳なさそうな顔で報告に来た。それは明治17年当時弊社が乾物問屋をしていた様子を銅版画にしたもので、額と一緒に落下したらしい。原本ではなく複製であるから心配せずに持って来るように言った。私自身で行きつけの額縁屋に持ち込み、新たな額装を依頼しようと思ったからである。

 その版画を何気なく見ている内に、裏に一枚の紙きれが挟まれていることに気付いた。折りたたまれている紙切れを広げると、それは明治28年9月19日付の九州日日新聞(熊本日日新聞の前身)の一部であった。誰が何のために版画の裏に紙切れを隠していたのか推理することにした。シャーロックホームズか灰色の脳細胞を持つポアロになった気分である。

 そこで判明したのは、当時の新聞には物価欄があり、主要な乾物については弊社が相場を発表していたという事実である。新聞の欄には「乾物類(新三丁目亀屋)」とある。亀屋とはまさに明治時代の屋号である。さらに記憶が呼び覚まされたのは、明治時代には乾物の相場を新聞紙上で発表していたと父が教えてくれていたことである。とすれば紙切れを額の裏に隠していた犯人は父であり、額が落下したことにより154年の歴史を彩る一級資料が発見できた訳で、今回の偶然に驚きかつ感謝しているのである。  

2023年08月09日 ゾッとした話

 猛暑の夏になった。庭の植木に水遣りするだけで汗びっしょりになる。それはやぶ蚊の攻撃から身を守るために、頭の上から足の先まで完全武装しなければならないせいでもある。やぶ蚊以外にも嫌いな虫がナメクジやゴキブリ、ムカデの類だ。都会ならぬ自然いっぱいの田舎暮らしではやむを得ないことではあるが、ゴキブリが家を這いずり回っていたりすると殺虫剤を持ってひたすら追いかけることとなる。

 そのゴキブリの一匹と遭遇したのが先日のこと。それも意外な所で。それはある朝のこと洗面所で歯磨きをしようとしたら、なんと一匹の大きいゴキブリが私が立てかけて置いている歯ブラシのブラシの部分を舐めているではないか。それも心なしか嬉しそうな顔をして。驚くやら腹が立つやらしたが、最後には今までゴキブリが舐めていた歯ブラシを気づかないまま使っていたかと思うとゾッとした。殺虫剤をふりかけるわけにもいかず、ゴキブリを手で追い払いその歯ブラシは捨てた。

 「知らぬが仏」とは言うものの、歯磨き粉の味が好きなゴキブリがいるとも知らず、今まで歯磨きをしていた自分がいやになった。そして新しい歯ブラシには当然のことブラシキャップをつけるようにしたのである。さて、猛暑に苦しんでいる方には少しはゾッとしていただいただろうか。だとすれば、私の怖い体験は少しは世の役に立ったと思うのだが。

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