芭蕉林通信(ブログ)

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2023年07月03日 今が一番幸せ

 美術史家の気谷誠著「西洋挿絵見聞録」を読んだのは新聞の書評欄で紹介されていたからである。大体読む本の半分くらいは書評欄で、あとは本屋や古本屋の店頭で見つけることが多い。この本で学んだことは、18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパでは、愛書家とは仮綴の本を買っては自前で豪華な革装を施し、世に一つしかない本を愛蔵したということである。それに比べると、私などはただ大衆向けの本を集めているだけだと分かり少しがっかりした。

 ただこの本の短いあとがきには別の衝撃を受けた。気谷氏は55歳で急逝したが、あとがきはその5日前に書いたものだったらからである。そして、「今までの自分の人生を振り返り、こんなにも幸せなひとときは無かったような気がする。」と記しているのである。

 そこでふと思い出したのが、約15年前の友人の奥様の葬儀である。友人が葬儀の最後の挨拶で、「妻は、いつも仕事が忙しくて家にいなかった夫からこうやって看病されている今が一番幸せ」と言ったというのである。その時その状況になれば、私もそうした心境になれるのか、しみじみ考えさせられた。

2023年06月28日 コロナ感染始末記

 6月初旬のこと、コロナ感染の5類への移行に合わせて地元料亭で久しぶりに宴が催された。約3年間外出を自粛していた上に、熊本出身で赤坂芸者として活躍している育子さんの踊りが見られるということで家人ともども喜んで参加した。県知事はじめ県内各界のトップも参加しており、旧交を温める良い機会となり大いに鑑賞し食べ飲み楽しい時間を過ごしたのである。

 それから週明けの4日後のこと、家人が突然発熱し病院でのコロナ検査で陽性になったとの連絡が入った。同時に私も至急検査されたしということで、おっかなびっくり病院に行き検査を受けると幸いにも陰性。ほっとしたのもつかの間、その日の午後から突然発熱し、体温は38.6度まで上昇した。かかりつけの先生からは、とりあえず家人に処方されている薬を分けてもらうように指示があった。

 その後は発熱、咳、鼻水、倦怠感、食欲不振などの症状が出て、3日間はただひたすら寝るという有様だった。ところがよくしたのもので、特効薬が効いたのか5日目にはほぼ平常に戻ったのには驚きかつ助かったと思った。振り返って考えてみると6回目のワクチン接種を伸ばし伸ばしにしたのが良くなかった。そしてその後日談である。宴会で隣に座った知人から写真が送られて来たので同封の手紙を読んでいると、最後の追伸欄に、宴会を機にコロナに感染したが亀井さんはどうもなかったか、と書いてあるではないか。やはりあの宴で感染したのかと思い、さっそく電話してこれまでの経緯を確認したが、その知人とは一瞬のうちに同病相哀れむという同盟関係が生まれたのはおかしかった。

2023年06月06日 山鳥の尾

 人吉を越えて行く先に水上村があり、行きつけの民宿では奥球磨の自然を満喫することができる。民宿のご主人は蜂蜜を採取するために敷地内に巣箱を10個ほど設置しているし、前を流れる小川では水遊びしたり小魚を釣ったりできる。裏山で切り取った竹を使い流し素麺を食べるなど野趣に富んだ経験ができる。五右衛門風呂も一興。

 ご主人からいただいた雄鹿の頭蓋骨、イノシシの牙、チェーンソーで作った魚のオブジェなどは都会人の私には珍しい物なので大事に保管している。山鳥の羽もその一つ。ただ短い羽だから胸の羽か。茶道では様々な鳥の羽で作った羽箒を使用するが、その山鳥の羽も茶道の先生が興味を持ってくれた。

 ところが先日阿蘇のゴルフ場でプレイ中の私に野生の山鳥が近づいて来たのには驚いた。しかも逃げるどころかまるで攻撃するかのように接近して来たのである。そのおかげでかの有名な山鳥の長い尾羽を観察できたのは嬉しかった。それは万葉集の代表的歌人柿本人麻呂の歌「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」というもの。まさに山鳥の尾は長く立派のものだった。

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