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時々、大学に入学するために上京し、下宿生活が始まった頃を思い出します。大学が学生ストに突入したため一度の授業もないまま市中に放り出されたのですから、友達ができる訳もなく突然にひとりぼっちの寂しさに襲われました。郷里では、祖父母と両親、それに妹・弟ら8人家族でわいわいがやがやの生活をしていたのですから、一人暮らしが始まった途端に、寂しくなったのは当たり前です。
当時は、大勢の家族で住むのが当たり前の時代でした。が、それから日本が高度成長期を迎え、農村から都市部へ人口の移動が始まり、核家族化が一挙に進んだのです。さらに、今日では少子高齢化によって、独身者や配偶者を亡くした人らを中心に、一人当たり世帯の増加が顕著になって来ています。大家族から核家族へ、そして独居へと時代の針が進んできたことが分かります。
こうした時代背景の影響があるのでしょうか、一種の揺り返し、反動のごとき話があり、興味深く感じたことがありました。それは、今の若者に、「マイルドヤンキー」と呼ぶ傾向があるというNHKの特集番組での話です。
マイルドヤンキーの特徴は、五つあります。
1 「絆」「仲間」「家族」という言葉が好き
2 地元(家か5km)から出たくない
3 車(特にミニバン)が好き
4 ショッピングモールが好き
5 EXILEが好き
この中で、EXILEについて考えてみますと、多くのメンバーが集っているグループだからこそ、共感を得ていると考えられます。そういえば、AKB48だってそうです。
確かに、最近の学生は、生まれ育った地域、つまり郷里で就職する志向が強いように見受けられますが、彼らこそマイルドヤンキーであるに違いありません。
そして、私自身も今、子供や孫に囲まれた生活をしていると、かつての大家族主義の良さを実感するようになりました。つまり、高齢者は若い人からエネルギーをもらいながら、彼らの将来性を楽しみにしながら生きていくことができます。一方若い人は、特に幼児は、祖父母という人生の経験者から、深い知識や慰め、愛情を得ることができるという訳です。
生活実感として、大家族に囲まれた幼児は、日々、複雑で多様な知識を四六時中得ていることが分かります。マイルドヤンキーの出現が、これからの大家族主義の流れを作ることを期待する所以です。
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