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新年の誓いの通りに読書録をつけ始めたのはいいものの、対象が増えるに従って早くも息切れがしてきました。
理由は大きく分けて二つあります。
一つは、書評自体書くのに時間を要する事。
二つ目は、いい加減な読み方では、到底読書した本の内容まで言及できないことです。
そうして眼で、他の人の書評欄を読みますと、その巧みなワザに感嘆するばかりです。今回は、苦労して書き溜めている一冊を事例として紹介させていだだきます。
そういえば、古典と呼ばれる本は、特殊な漢字が出てきますので、漢字変換するだけでも一苦労ということが分かりました。
ご紹介する感想文は、本来公表するものではないので、雑な表現になっていることをご容赦ください。
少しずつ上手になるというか、本を真剣に読めるようになれたならば嬉しいなと思っています。
中国古典兵法書「三略」
2014年NHK大河ドラマ「黒田官兵衛」が始まったが、1月5日の第一話では、幼少期の官兵衛が「三略に曰く、謀は密をもってすべし」と言っていた。原典に当たろうと思い本棚を探したら、果たして、「三略」を見つけた。随分読まないままに買い置いていた本だと知れた。
さっそく該当するものがあるかと探したら、17節に「将の謀は密ならんと欲す。」とある。ドラマでは、勉学に目覚めた官兵衛が蔵の中で古典を勉強する場面があったが、チラッと見えたのは漢文そのままである。当時は日本語に翻訳されないまま原文のまま勉学したのかと感心した。
「三略」は、兵書7部をもって「武経七書」と呼ばれるものの内のひとつである。因みに、他は、「孫子」「呉子」「司馬法」「尉繚子」「六鞱」「李衛公問対」である。我が本棚には、「三略」「六鞱」「呉子」の三冊と写真本「孫子」が見つかった。
この「三略」は道教の教えを色濃く反映しているらしい。上略、中略、下略をもって三略と称しているが、この三分割法はあまり厳密な分け方ではないような気がした。本文は、武経七書では一番短いが内容の質は高く、簡潔に表現されていて読みやすい。
賢人を集め如何に遇するか、人民を豊かにして初めて国力が付き、戦いにも勝てるといった単純化された物言いは、エッセンス集の如くで長い間人気があった一因であろう。
解説には、この本は策士で著名な張良や日本の源義経までもが学んで、実戦において活用し勝利を得たとの逸話もあり、まことに興味深い。遡って、「六韜」にいたっては藤原鎌足が愛読していたというのだから、歴史の転換点にこれら兵法書が重用されたというのだから驚く。
現代のビジネス界で言うならば、ドラッガーやコトラーを勉強するのと同じだと思うと、親しみさへ感じさせてくれた一冊であった。
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