芭蕉林通信(ブログ)

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2020年03月16日 コロナウィルスと黒死病

 「あぶないっー」と叫んで歩行者が見上げた二階から糞尿が投げ落とされる。通りの両側に糞尿が積み重なっている町は中世のパリ。こうした衛生の悪さゆえにペストの大流行につながったのである。ペストに罹った患者は身体が黒ずんで死んでいったので誰もが黒死病として怖がった。この黒死病の流行によりヨーロッパの人口は40%にまで減少した。おかげでそれ以後ヨーロッパの大都市では公共下水道のネットワークが広がることになる。

 さて現代、今イタリアのコロナウィルス感染者が急増していることに驚いている。しかも経済的に豊かな北部諸州、とくに何度も訪問した美しい街ミラノやベネチアが感染拡大の震源地である。イタリアは長寿を誇る村が点在することで知られてきた。ある疫学調査チームはその長寿の原因を「親しい人間関係」とし、坂の上り下りも身体を鍛えていると報告した。そして、その人間関係の濃密さゆえにコロナウィルスの感染が拡大し、高齢者が多いゆえに死亡率に高いと考えるとやるせない思いに襲われる。

 報道はしきりにパンデミックの中心が中国からヨーロッパに代わったと伝えている。一帯一路の感染ルートがヨーロッパにつながり、イタリアやフランス、スペイン、ドイツ、イギリスでは想像を超える勢いで感染者が増えている。中世において黒死病を大きな犠牲を払いながらも乗り越えたヨーロッパが、再び輝かしい英知を発揮し見事にコロナウィルス禍を乗り切ることを心から祈るばかりである。

2020年03月12日 すっかり巣ごもり

 このブログを書き続けているが、WHOによるコロナウィルスの「パンデミック」宣言が出た今、コロナウィルス以外のテーマで書くことがとても困難な感じがする。この問題を避けて書けば能天気と言われるばかりか、周りの人の関心とずれると懸念されるからである。

 だとすれば、大きな痛手を被っている観光産業や外食レストランのように一時休業宣言をすべきかとも思うが、この場を自己表現の機会として、あるいは日記代わりに書いてきた身としては、自然と指がキーボードに向かうのは避けがたい本能であり、いつの間にか生活習慣と化しているのである。

 ということで近況を述べれば、今や生活はすっかり巣ごもり化してしまった。行く所はない、会う人はいない、外食する機会もない。自宅における圧倒的な時間に押しつぶされないように、生活習慣再構築中と言うべきであろう。頼みの綱は家にある運動補助機械とTV、それに読書である。読み残していた本に挑戦できるのが数少ないメリットだ。そしてやっと読み通した「ドクドルジバゴ」には感動した。YouTubeで久しぶりにラーラ役を演じた女優ジュリー・クリースティにも再会したが、まるで天使のように美しかった。

2020年03月04日 小説「1984年」に酷似する世界

 コロナウィルスの感染拡大が深刻かつ身近な問題となってきた。多くの食事会や会合が相次いでキャンセルとなり、フィットネスにも行きづらくなり行動範囲は極端に狭められた。運動と食事のバランスをうまく取ってきた生活スタイルは変更を余儀なくされ、ウェイトコントロールが困難になっている。仮にコロナウィルスが収束したとしても、元の生活スタイルに戻るのは難しいのではないかと危惧している。

 中国政府が新型肺炎発生の初期段階で、情報統制の愚を犯したという見立ては当たっていると思う。そこで思い出して読み返したのが、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの書いた「1984年」という小説である。1949年に刊行されたので、当時からすれば35年先の未来小説の類になるが内容が凄まじい。主人公ウィストン・スミスはビッグ・ブラザーが支配する国家にあって、情報操作や思想教育する国家体制に疑問を持ち行動を起こすのだが、ある日逮捕され拷問され徹底的に洗脳された結果、体制に忠実な国民になる。

 この小説はネット社会で情報が一見自由に行き来する現代においても、気がつかない内にフェイクニュースなどにより国民が洗脳されている可能性があることを示唆している。デマがトイレットペーパー不足を煽り消費者を混乱させる。中国ではウィグル族が多数拘束され思想教育されているという噂がある。トランプ大統領は差別を助長して国民を分断することを意にも介していない。人間がお互いを「信頼」するという感情を持ち得ることが難しい時代になっているとつくづく思う。

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