2018年09月18日 第410回御能組
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この祭りでは、地元の人にあまり知られていない奉納能が段山御旅所(だにやまおたびしょ)能楽堂であった。藤崎八幡宮の神様に奉納する能であり、人間はついでにご相伴に預かるのである。加藤清正の時代から始まり、今日まで400年を超える歴史は郷土の誇りでもある。 「御能組」という呼び方からして、能役者が祭りに参加している感覚がある。その「御能組」の今年の演目は、「翁」「高砂」「田村」「舟船」「半蔀(はしとみ)」「竹生島(ちくぶじま)」と豪華多彩。はしたないがこれらが無料で見られるのである。かくいう私もすべての演目を通して見たのは初めてであり、改めて各演者の磨かれた技にいたく感動した。 |
2018年09月10日 北海道地震と方丈記
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そこで天災を随筆にしたことで知られる鴨長明の「方丈記」を改めて読んでみた。冒頭から、京を襲った火災、つむじ風、飢饉、地震、そして平清盛の福原遷都という人為的な災難まで一気呵成に書いてある。飢饉では京の都の半分で死者を数えたら四万人を超えたとあるぐらいだから、その悲惨さは半端でなものではなかったはずである。まさに、日本列島は天災を宿命づけられた風土なのだろう。 世界の大河としては、黄河、インダス川、チグリス・ユーフラティス川、ナイル川、ミシシッピー川、アマゾン川があり、前の四つの大河ではいわゆる4大文明が花開いたが、後の二つの大河では文明が生まれなかったと歴史学者トインビーは言っている。文明を生んだ四大河では氾濫があり、二大河では氾濫がなかったのである。だとすれば、天災と無縁ではない日本という国は、天災を乗り越えて来た歴史の中で、強靭な生き残りの知恵を育んで来たと言えるのではなかろうか。素晴らしい文化も一緒に。 |
2018年09月05日 上海と蟋蟀(コオロギ)
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中国に蟋蟀を戦わせる遊びがあることは現地ルポで知った。強い蟋蟀の見分け方、取り方、育て方、育てる入れ物、餌、戦いの会場など知らないことばかりであり興味を覚えた。映画「ラストエンペラー」の冒頭部分には、幼い溥儀の飼っている蟋蟀が出てくる場面がある。 そうした事情があり、上海で蟋蟀を入れる容器を探し回ったことがある。そして、ある店でやっと一個見つけた時には感激した。その後に旅行会社に勤める同好の氏にお土産として容器を二個もらったりした。蟋蟀が冬を迎えると、飼い主は戦いに疲れた蟋蟀をその容器に入れて懐で温めて感謝の気持ちを伝える。私も庭で蟋蟀を捕まえてみたが、すぐに逃がして飼うに至らなかったのは手間暇を考えれば当然の選択だった。 |