芭蕉林通信(ブログ)

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2015年09月09日 沖縄で7割のこと

 久しぶりの沖縄は秋雨前線の影響か、一日目二日目共に曇りか小雨のあいにくの天気でした。おかげで涼しさは感じたのですが、三日目に晴れ間が覗くと一転南国の日差しが帰ってきたのはさすが沖縄と痛感したのでした。
 現地に赴いて思い出した事があります。それは、私が初めてパスポートを取って旅行したのが50年前の沖縄であったということです。当時中学2年生であった私は、熊本市内の中学十数校から選抜された同級生約30名と共に、地元新聞の友好使節団として鹿児島港から那覇港まで船旅に出発したのでした。
 船旅の苦しさは省きますが、当時の沖縄は日本に返還前で米国の統治下にあり、至る所に星条旗が旗めき、ドルでの買い物では、絵はがきが1ドルとは安いなと勘違いしたものです。つまり、それから50年間に40カ国を回る海外旅行の原点は沖縄にあったという訳です。

 
 今回の沖縄では、現代の問題点とでも言う現実が「7割」という数字で表せることに気がつきました。もっとも、沖縄の人それぞれに聞いた話なのですから、大体の感じと捉えてもらえれば幸いです。
 @耕地面積の7割は、サトウキビの栽培
  (米や果物など換金作物が育てにくい農業だと思います。)
 A米軍基地の7割が沖縄に集中
  (タクシーの運転手は、今や基地経済は5%程度と基地の存在に憤慨していました。)
 Bアウトレットモールの売上の7割は中国旅行者
  (相次いで、大型客船が入港していました。)

 生活しやすいとのことで内地からの移住者が増えている沖縄ですが、上記のような構造問題は、今なお解決が難しいのかなと改めて知らされた今回の旅でした。

2015年09月01日 牙を磨く

 夏休みは毎年、人吉市の先にある球磨郡水上村で農家民泊をすることにしています。都会の喧噪を逃れ、山の懐に抱かれたような自然環境は、心と体を浄化してくれます。ただ今年は激しい雨に見舞われたこともあり、屋根を激しく打つ雨の音、農家の前を流れる濁流、朝5時の雄鶏の刻の声に眠りを妨げられ、檻のイノシシの強烈な悪臭には肝をつぶしました。まさに、五感が新しい刺激に悲鳴を上げていました。
 さて、今年の発見はイノシシの牙です。毎年お世話になる農家のご主人がお土産にくれたものです。初めて見る牙は、湾曲し尖っており、人間がイノシシに襲われたならば大ケガをするという意味が一目でよく分かりました。しかも、ご主人が教えてくれたことには、イノシシは上下の牙を擦り合わせながら自ら牙を磨いていると言うのです。確かめてみると、確かに上下の牙には擦り合わせた後がナイフのようなエッジとなって残っています。牙は敵の肉に食い込み引き裂く役割を果たすようです。
 常套句の一つに牙を磨く、というのがありますが、まさにイノシシこさが言葉そのものだと思い知りました。イノシシは遠く犬の声を聞くと、犬が近づくまで牙を磨き、摩擦熱まで持った牙で戦うというのですから、野生の動物の恐ろしさを知りました。

 翻って社内の人間を見渡せば、牙を磨いているような野性味満点の幹部社員は見当たらず、甘噛みを繰り返している有様です。少し厳しく部下を指導すれば、世間で言うところのパワハラになるという時代ですが、せめて私だけでも牙を磨き、狼王ロボのように遠吠えをしたいと思っています。


2015年08月26日 白洲正子さんの松上げ

 今年の盆休みは、長年の夢を叶える旅となりました。それは、京都北の山中にある八枡の火祭り「花背の松上げ」を見学できたからです。
 この松上げを広く世に知らしめたのは、白洲正子さんの本「隠れ里」です。その神秘的で勇壮な火祭りを見たくて、花背の宿「美山荘」に予約をしたものの、僅かな部屋しかないので5年先まで予約で一杯。ところが、春に京都に行った際、美山荘で中食を味わっていると、とても上品な女将さんが無理をすれば一部屋用意できますと話をしてくれたのでした。元気な内に松上げを見る事はできるのかなと不安に思っていただけに、女将さんの話は奇跡に思えました。
 

 8月14日がその日ですが、万が一雨であれば松上げは中止になりますから、約一週間前から天気予報とにらめっこです。そして、当日は天気に恵まれ、見事な松上げを見る事ができたのです。因みに、松上げとは松明を放り投げて20mの高さにある大松明に火を付けることです。松とは松明の松のことなのです。
 会場の広河原には辺り一面松明が点され、男衆総勢50名ぐらいがやおら火の付いた松明を藁紐の遠心力を利用して放り投げるのですが、ハラハラドキドキの連続です。やがて一つの松明が20m先の松明に乗り、さらに別の松明が続くと暗がりにある大松明は夜空に大きな火炎を立ち上らせるのでした。
 思えば、地元でも阿蘇神社に古式豊かな火祭りがあり、早乙女の行列があります。来年は、阿蘇の幻想的でロマンに満ちたこれらの祭りを見て、京都との歴史的なつながりなどに想いを馳せたいを思っています。
 
 


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