2022年01月06日 火吹達磨
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それからしばらく経ったある日、和水町の「いだてん 金栗四三」の生家を見学したが、そこの納戸に残されていたものが雲竜水師なのであろうと推測している。それは、水鉄砲を大きくしたような木製の消火器である。ネットにも情報がないので推測に過ぎないが、確かに当時の人にとっては必要なものだったに違いない。問題は火吹達磨の方だが、これはネットですぐに何であるか判明した。が、残念ながら実物を目にすることが長年できなかった。そうしている内にネットオークションで偶然発見したのはつい最近のこと、躊躇せずに落札した。念願叶って手に入れた火吹達磨が説明のとおりに実際に火を熾す手伝いをするかどうか、近々実験することを楽しみにしている。 |
2021年12月20日 クリスマスギフトの選び方
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ドイツ人はクリスマスを盛大に祝う国民だが、今年は新型コロナの感染再拡大により街に賑わいが見られないとのニュースが流れ気の毒に思っている。それにしてもロマンチック街道を旅行した時の日本人ガイドから聞いたドイツ人の生活習慣は興味深かった。彼女はドイツ人の旦那さんとドイツに住んでいるのだが、数々のカルチャーショックのエピソードが大変面白かった。窓ガラスが汚れている時に近所のおばさんから抗議された話、厳冬の時にもご主人が朝から窓を全開する話、毎日の質素な食事の話など思い出すことは数限りない。 その中でも披露したい話はクリスマスシーズンにふさわしいクリスマスギフトの選び方である。ドイツでは家族一同集まるクリスマスパーティーの主役は、ゴッドマザーと呼べる高齢のお母さんだそうである。彼女に対して贈るギフト選びには半年ぐらいかけると言うから驚いた。彼女は何を持っていて何も持っていないか、最近何に興味も持っているかなどを丹念に調べるのに時間がかかるのである。万が一考えあぐねて現金でも渡そうものなら、私に関心がないのねと叱られるとのことであった。その話を思い出すたびに、人にギフトを贈る難しさを感じる一方で、ギフトを何にするか考える時間自体がその人へのギフトになっているのではないかと感じるのである。 |
2021年11月30日 ぎこちない観劇
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劇団四季が新型コロナ感染の拡大により活動を大幅に削減され経営危機にまで追い詰められた経緯は、NHKの特別番組で知っていた。それだけに、ミュージカル「キャッツ」の上演は、劇団員や観客双方にとって待ちに待ったものであった。 劇場内ではマスク着用は当然として会話もしないように係員から注意があり、何か見えない緊張感といったものが漂っていた。上演自体は期待に違わない素晴らしいものであったが、見せ場での観客の拍手は遠慮がちで終始ぎこちなかった。しかし上演が終了した瞬間、観客はそれまでの憂さを晴らすかのように一転してスタンディングオベーションで出演者を称えたのである。カーテンコールは4回に及び、劇団員の一人一人のはじける笑顔に私も思わず涙ぐんだ。雌伏2年、どういう気持ちで劇団員は今日を迎えたのであろうか。くじける気持ちを強く持ち続けることは決して容易なことではなかっただろう。新型コロナ感染の終息をがいまだ見えない状況下にあって、演劇文化を始めとして日本のさまざま文化をこれからも残していくには、自分たちに何ができるか自問自答する機会にもなった。 |