芭蕉林通信(ブログ)

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2021年08月10日 ナポリを見てから死ねー「思いやり」

 イタリアのナポリに行ったのは30年ほど前のこと。観光ガイドからは、ナポリはミラノやフィレンツェなど北イタリア諸都市と比べ貧しい地域であり、スりが多いので持ち物が盗まれぬよう厳重に注意された。確かに、路上駐車している自動車はいつ盗まれてもいいような古く汚いものばかりなのにかえって感心した。

 そのナポリが8月9日のNHK「世界ふれあい街歩き」という番組で再放送されていたので、興味津々思わず見入ってしまった。そこでナポリ市民の意外な思いやりに感動したのである。

 老舗カフェの客が帰りしな、出口でレシートを1枚、2枚と残していく。それは貧しい人が一杯のコーヒーを無料で飲めるようにと客が寄付したものと言う。また、年金暮らしの年配の女性がニコニコ顔で美容室から出てくる。先客がカット代を寄付してくれていたので、無料で美容室を利用できたと言うのだ。下町の人情を垣間見る気がして、ナポリの負のイメージが一挙に雲散霧消した。ところで、日本国内ではこうした試みはされていないのだろうか。あれば寄付してみたい気がする。

2021年08月02日 気まずい自画像

 新型コロナの感染拡大によりリモートワークの機会が増えている。在宅勤務をする場合はZOOMというオンライン会議ソフトを利用している。パソコン画面に東京や福岡から画像に顔を出しながら参加できるので、とても便利で出張旅費の節約にもなっている。

 ところがZOOM会議をする上で思いがけないことに気がついた。それは会議に参加すれば自分の顔を自分で見る事になるということ。自分の顔を見ながら発言することに慣れていないので、自分の表情が気になって仕方がない。結論から言えば、自分で自分の顔を見ることに耐えられないのである。しかしよくよく考えれば、自分で自分の顔を見るのは初めてだとしても(鏡や写真は別として)、聞く方からすればそれは日常見慣れた風景のはずである。自分で自分の顔を恥ずかしく感じること事態が独りよがりなのであろうか。

 とはいえ、録音した自分の声が聞きづらいのと同じで、自分の動く顔を自分で見ることに慣れるのは難しい。だからこそZOOMの中の自分を少しでもよく見せようと、髪型やカメラの角度、照明の当たり具合にまで気を使うことになる。テレビなどに顔を出すことの多い政治家や芸能人、タレントの皆さんは、仕事柄そんなことはへっちゃらなのであればそれはそれで大変うらやましい。

2021年07月29日 お世話になった大家さん

 社会人になってからは独身寮と社宅に住んだので、生涯で大家さんにお世話になったのは大学4年間だけである。上京して半年間は立川に下宿した。が、大学すぐ近くに好条件の下宿があると聞いて、入れてくれるよう頼みに行ったのが大家さん渡辺百合子さんとの出会いである。

 開口一番された質問が「どこの国の方ですか?」だった。当時はテニス部で練習に明け暮れており、真夏の太陽でこんがり肌を焼いていたから留学生と間違えられたようだった。そうとは気づかない私は「故郷(くに)は熊本です」と答え見事入室を許された。

 渡辺さんは当時70歳ぐらいで独身の娘陽子さんと二人暮らし。自宅の二階を4人が下宿できるように改装していた。大家さんのすごさは、朝晩家族と下宿人は同じ料理を一緒に食べ、かつ下宿人の洗濯を引き受け、週一回部屋の掃除までもしてくれたことである。自分の余生は、前途のある若い人の面倒を見ることと言い切っていた。卒業まで居続けたのだから情が移るのは当たり前。別れの日には、バス停まで見送りに来てくれた大家さんと涙の別れになった。その後社会人になってからも連絡は欠かさず、家族を連れて会いに行ったりもした。今日があるのは渡辺百合子さんという大家さんのおかげであることは間違いない。

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