芭蕉林通信(ブログ)

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2019年02月25日 傘がないことはない話

井上陽水のよく知られた歌に「傘がない」がある。歌詞の第2節は、以下の通りである。   

テレビでは 我が国の将来の問題を
誰かが 深刻な顔をしてしゃべっている   
だけども問題は今日の雨 傘がない

上京して上野を歩いていたら小雨模様になったので、慌ててコンビニエンスで雨傘を購入した。ル・コルビジェ展を見て国立西洋美術館を出ると雨はすっかり止んでおり、羽田空港にまで傘を持っていく必要はない。そこで、傘立てに傘を置いておくことにした。安価だが寄付したつもりである。そして山の手線で浜松町に向かった。

空いている席に座るとそこには置き忘れられた傘が一つ。傘を置いてきたばかりなのに、さらに傘に出会うとは傘に縁がある日だなと心の中で思った。同時に、この傘は私の傘と勘違いされ、手ぶらで下車する時には誤解を生むのではないかと憂鬱になった。果たして浜松町駅で降りようとした時に、真向かいに座っている男性から親切にも傘を忘れていますよ、と声をかけられた。欲しい時には傘がない、欲しくない時には傘がある。人生なかなか上手くいかないものだと思った。

2019年02月12日 なまたまご問答

 かつて兄妹4人で一つの生卵を四分割するのに苦労した経験を綴った記憶がある。その解決法を約50年振りに発見したというのが本日の話である。

 それは朝食を取っている時のことだ。小5の孫が僕は片手で卵を割れると自慢して生卵を割ったが、もろくも失敗し黄身は器に白身はテーブルの上にこぼれた。私がそういう時は白身をテーブルの上で滑らせると回収できると教えた。その瞬間どういう訳か四分割の方法が閃いたのである。

 答えは生卵ご飯を作ってから四分割にするということ。つまらない問題を解くのに50年もかかったのかと苦笑されそうだが、恥ずかしながら内心感激した。発想転換、こだわりを捨てる、多面的に見る、頭を無にするなどと言うが、生卵の問題を解くのにこれほどの時間がかかるとは、私は頭が固いと痛感させられたのである。

2019年02月05日 火吹き達磨と雲竜水師

 明治18年と言えば今から130年余り前のことだが、その当時の熊本の業種別一覧表が残っている。その名は「熊本市街 玉尽くし独り案内」と言う。現在で言えば、NTTが発行しているイエローページと言ったところだ。そこには明治2年に創業した我が社が、乾物と椎茸及び茶問屋の欄にそれぞれ亀屋の屋号で記載されている。当時の職業には今に続くものもあるが、今となっては職業として成り立たないものや正体不明のものもあって興味深い。中には歴史的な痕跡として貴重なものもある。

 順不同だが、まず歴史的なものとして気づくのは「相撲司 吉田」である。これは全国に唯一の相撲の総元締めであり、当時の横綱は必ず吉田家から免状を頂いていた。その後一家の金銭問題があり吉田家は消滅したが、熊本の宝を一つ失ったに等しい。さらには固い職業では陸軍御用、汽船取扱問屋、仏師、武力細工などがある一方、庶民派職業として軍談、とりもち、開花餅、琉球物品などがある。遊興的な職業では長歌、琴、小鳥売買、上等高貸座敷などがある。上等貸座敷の筆頭に東雲(しののめ)があるからはこれは遊郭のことと想定できる。このように各種の業種を並べてみただけで、当時の熊本の雰囲気が窺われて面白い。

 さて問題は正体不明の職業だ。例えば、火吹き達磨と雲竜水師。火吹き達磨についてはネットで調べた結果、火を熾す時にその脇に置いて発火を良くする道具を知った。ネットオークションでは人気があるらしく、その希少性ゆえにまだ手に入れられずにいる。一方雲竜水師については、文字から推測して昔の消防道具の一種で、手ポンプのごときものではないかと推測した。果たしてネットでは、昔の消防道具として竜吐水又は雲竜水が紹介されている。先日大河ドラマ「いだてん」の金栗四三さんの生家を訪ねた際、蔵に置いてあったものが雲竜水(または竜吐水)ではないかと想像している。であれば雲竜水師というのはその道具を作る人という意味だろうか。歴史を学ぶには想像力を駆使する必要がありそうだ。

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