芭蕉林通信(ブログ)

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2018年11月13日 二人の歌手生命を分けたもの

 「流星ひとつ」は歌手・藤圭子へのロングインタビューを纏めた本である。藤圭子が28歳の若さで突然引退した理由を赤裸々に語るところが痛々しい。即ち声帯のポリープを切除したことがきっかけだと言う。深みのある声が手術により澄んだ声に変わり、藤圭子は歌いながら耐えられなくなったのである。

 最近封切りした映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。英国のロックバンド・クイーンの活躍を映画化したものだが、リードボーカルのフレディが主役である。彼は上顎の歯の数が他人より多く、いわゆる出っ歯だった。しかし声が変わるからとして絶対に歯列矯正しなかった。

 藤圭子とフレディの選択の違いが歌手生命を左右した。声の質が感動を与えるか否かはかくも微妙なのであろうか。それにしても藤圭子は62歳で自裁し、フレディ(自分を歌手とは言わず、パフォーマーと称した)は45歳でエイズで死去した。天寿をまっとうしなかったという点では、二人は不思議と相似しているのである。

2018年11月06日 大学卒業45周年の同窓会

 同窓会のおかげで、久しぶりに上京し藝術の秋を満喫した。二日間で見たものは順に、五島美術館「東西数寄者の審美眼ー阪急・小林一三と東急・五島慶太のコレクション」、古道具坂田、ギャラリー鈴木、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎・隅田川続悌法界坊」、上野の森美術館「フェルメール展」、根津美術館「新・桃山の茶陶」。そして最後を締めくくったのが、竹橋の如水会館で開催された大学の同窓会であった。

 卒業生700名強中全国から参集したのは235名だったので出席率はまあ高い方と言えよう。同窓生の有名人並び出世頭は、新日鉄住金の進藤社長、NHKの上田会長、任天堂の君島前社長、金田勝年元法相、竹中平蔵元大臣、歌手の山本コータロー氏らである。ただこの1年間で死亡した仲間は9人とかで、古希を迎えつつある年齢を再認識させられた。

 当然のことながら、卒業後の45年間は同窓生の人生を様々なものにしている。勤めた企業によっては運不運がつきものだ(そういえば、私が勤めていた銀行も今はもうない)。同窓生の顔つきや体型の変化も人それぞれである。家族関係に至ってはさらに異なっていると言わざるを得ない。そういう点では、30代になって早々と故郷に帰り、今なお会社経営を緊張感と喜びを感じながら続けている私は恵まれていると思った。

2018年10月29日 町内運動会とパブロフの犬

 わが町では年に一回秋に地区対抗の運動会が開催される。最近私に出場要請がないのは15年ほど前の醜態が尾を引いているからに違いない。それは一周100mの徒競走に出場した時に起こった。参加者が少ないので指名されての参加だった。

 スタートラインに並んだ時、同年輩の隣の人と「日頃運動していないのに参加させられて迷惑ですね。」「無理しないでゆっくり走りましょう。」といった趣旨の会話をした。そしてスタートの号砲がなったのである。その瞬間、数秒前の会話はすっかりどこかに飛んでしまい全速力で走り始めた二人がいた。

 その結果は無惨なもの、ゴールラインを目前とした私は足をもつれさせ頭から前に突っ込み倒れた。さらに吐きさえもしたのである。地区の人から心配されるたびに自分の不甲斐なさに心の中で涙した。食べ物を見せればヨダレを出すパブロフの犬さながら、私も一発の号砲で我を忘れたのである。

(注)条件反射とは、動物において、訓練や経験によって後天的に獲得される反射行動のこと。ソビエト連邦の生理学者イワン・パブロフによって発見され、パブロフの犬の実験で有名になった。(ウィキペディアより)

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