芭蕉林通信(ブログ)

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2016年08月01日 人生は80才から。

 先月市内のホテルで「ガンバレ熊本。人生は80才から。」というパーティが約200人を集めて開催された。主催したのは一昨年傘寿の会を開いて地元の80歳を80人以上集めた人だから、その企画力と実行力には改めて脱帽した。しかも目玉として80年前に生産されたワイン、つまり1936年ものワインを10本提供すると言う。食い意地の張った私はそのワインを急に飲みたくなって参加したのである。彼の日頃から口癖は「これからの人生は思い出づくり」である。最愛の奥様を失くしているにも関わらず、元気で前向きな姿勢にはいつも圧倒され、真似をしたいものだといつも思っている。

 ところでつい最近日本人の平均寿命が発表されたが、男性はまさにほぼ80歳である。80歳を人生の到達点とするのではなく、人生のスタート地点とする着眼点は実に素晴らしい。そういえば一昨年の傘寿の会では、80歳参加者を代表して、ある医師が「皆さん、傘寿の次は米寿、その次は白寿、その次は大還暦です。大還暦とは還暦の2倍、つまり120歳。大還暦までは後40年間もありますから、大いに人生を楽しみましょう。」と挨拶されたのには度肝を抜かれた。

 人生は山あり谷ありとはよく言う台詞だが、逆境を乗り切る一つの手段がプラス発想である。ポジティブ思考といってもよく、経営者はネアカでなければならない。年齢にしてもポジティブ思考で捉えるのが良いのであろう。  それにしてもお年寄りは元気、若者はおとなしいというのは困ったものである。そして、肝心の1936年産のワインは甘く美味しく熟成した味がした。味覚の思い出が一つできた。

2016年07月27日 好漢自重せよ

 中学生時代に一緒に英語を勉強していた後輩のN君が突然死亡した。まだ64歳という働き盛りの企業トップの死を聞いた時には心底驚いた。そして生前のN君の仕事ぶりを思い出している内に、やはり無理をしていたんだなと思い当たる節があるのだった。  私は還暦を過ぎた時に内心思う所が会って、社外の仕事のほとんどと辞めさせてもらった。例外はないということにして、無理やり辞めさせてもらった役職もいくつかあった。それに比べてN君は還暦を迎えた頃になり俄然社外活動に目覚めたかのように、多くの要職を受けたのである。他人が敬遠するような多忙かつ責任重大な役割を同時に複数掛け持ちするN君には目を見張る思いがしていたし、同時に心配もしていた。と言うのはN君が自ら私的な勉強会で明かしたことだが、5年前に根を詰めて散歩とか運動とかをしている時に突然心筋梗塞(あるいは脳梗塞だったか)を起こし、危うく一命を取り留めるという事実があったからである。そしてN君はその無謀な運動をひどく反省していたのだった。

 ちょうど3ヶ月前、市内の本屋でN君に偶然に出会った時には「社外の仕事を多く引き受けて大丈夫か?」と声を掛けた。その時は、いつもの爽やかな笑みを浮かべ「大丈夫ですよ。」とN君は短く答えたのである。しかしもし、あの時に少しでも長く話しをすることができたならば、N君には5年前の病気を思い出させ、「好漢自重せよ」という言葉を投げかけることができたのにと今は残念な気がしてならない。  好漢とは爽やかな好ましい男を指すが、自重とはつい調子に乗るとやり過ぎたり、話し過ぎたりすることを戒めた言葉である。亡父が生前に私に投げかけた言葉でもあった。その亡父も63歳で死んだことを思うと、経営者が自らの健康を維持することの難しさを感じる。「好漢自重せよ」というのは、今の自分にも十分に当てはまる真実であると思う。ただ実行はすこぶる難しい。  今はただ、地域のために命を削ってまで頑張ってくれたN君の冥福を祈るだけである。


2016年07月20日 三島由紀夫賞を読む

 三島由紀夫賞を受賞した「伯爵婦人」の著者蓮實重彦さんの記者会見は前代未聞のやりとりとなり相当に面白かった。80歳の蓮實さんは、記者会見で三島由紀夫賞を受賞したことについて「まったく喜んでいません。はた迷惑なことだと思っています。」と語った。けんもほろろの蓮實さんに記者達が終始たじろぎ、本人に「他に質問がないことを望みます。」とまで言われて顔色を失っていた。  そこまでの本ならばと俄然興味を覚え、さっそく本を購入し読んでみた。これまた驚天動地のストーリーで口をあんぐり開けたまま読了したのである。この本については市内の本屋で次のような目撃談がある。(これは本当にあった話)

 70歳を越えていると思われる老婦人が本屋の店員に話していた。 「こないだの本は本当に面白かったわ。」 「もう、エロエロばっかし。」 「次の本はないの?」

 確かに屁理屈を捏ねたごとき小説ではなく、登場人物に自由奔放に語らせ行動させているその破天荒さ。伯爵夫人の謎めいたキャラクター。 昔のエロ・グロ・ナンセンス路線とは言えないまでもかなり危ない、だからこそまた次も読みたいという癖になるような魅力を感じた。そして性に対するあっけらかんとした奇想天外な物語展開に最後まで読み止めることができなかったのである。  そして目下の悩みは、私がこの本はハチャメチャだけど面白いと言ったばかりに、娘(ちゃんと成人し子供もいる)が本を貸してくれと言っているのに対して、どう対応するかということである。少し刺激が強すぎないかなあ。

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