2016年12月05日 ミューズ(知の女神)の存在
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	 さて本の整理をしている内に、未だ読んでない本が相当あることに気がついた。その中の一冊に、三島由紀夫の若い時の恋愛を取り上げた「ヒタメン」という本があり、今回は一気呵成に読了した。それほどの面白かったのである。三島由紀夫が30歳頃に出会った19歳の女性との3年間に亘る恋は、俗っぽく言えば灼熱の恋であった。何しろ3年間にほぼ毎日会い、私が換算したところでは年間5千万円ほどのデート費用を費消したのだから常識外である。それに答えるかの様に、彼女も一日として同じ着物を着ることはなかったというのだからもう驚愕しかない。それらができた背景・事情も興味深いものがあった。そして、三島由紀夫の傑作はその恋愛の期間に集中して生み出されたのである。二人が別れた後に三島由紀夫は別の女性と結婚するのだが、作家としては不幸な結婚だったようだ。つまり、それからの作品はおよそ傑作とは言えないものばかりだったからである。 そうした事情を知れば、別れた彼女こそが三島由紀夫におけるミューズであったことが分かる。彼女から触発され、作品の材料を得て、三島由紀夫は面白いように筆が走る時代を迎えたのである。そこで思い出すのが、画家ダリにとってのミューズであったガラである。ダリも最愛の妻ガラが死んだことにより芸術を生み出す力を突然失ったのだから。そして、芸術家でない私たち男にも人生のミューズが必要であると思う今日この頃である。 | 
2016年12月01日 今年の師走
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	 私にとっても愛着があり、懐かしい人達がいた地域や店が今なお復興できずに苦しんでいる。関係者の人達は、挫ける気持ちに負けることなく、復興の道を探っていただきたい。貴重な歴史的、文化的遺産をこれ以上失なくたくないのだ。 ささやかな試みとして、関連する地場食品メーカーから「熊本城復興祈念カレー」を発売することにした。一個売れる度に熊本市に50円を寄付しようと思っている。自分の仕事を通じて熊本地震からの復興活動に参画できれば、これ以上の幸せはない。きっと全国の人達から多くの善意が届けられると信じている。 | 
2016年11月21日 タテ社会からヨコ社会へ
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	 社会人類学者の中根千恵さんが「タテ社会の人間関係」を出版したは1967年のことだから私の高校卒業の頃だ。その5年後に社会に出て、それ以来タテ社会にどっぷり浸かって生きて来た気がしている。しかも団塊の世代の末席にいる年代のため、いつも競争にさらされてきたし、今でも競争心は一種の習い性と感じている。かつて社外の団体に所属して活動したこともあったが、それらもタテ社会の一部であったのだ。 定年の時期を迎えて、タテ社会からヨコ社会への転身を夢見ている。ヨコ社会とは、中根千恵さんの指摘する場(個人が属する地域、所属機関、職業集団など)から脱して、それらを横断して成立しているものである。タテ社会に中にのみ生きてきた私などは、いつの日か会社組織を離れた時に、家庭に閉じこもることしかないことを恐れている。今からでも遅くないので、私だけのヨコ社会を作り出せるよう日常の発想と行動を変えてみようと思っている。 |