芭蕉林通信(ブログ)

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2016年05月06日 地震予測マップ

 7年ほど前に、行きつけの古本屋で何気なく買った本がナショナル・ジオグラフィックの2005年1月号でした。それは「阪神・淡路大震災から10年 震災の教訓」という特集記事に興味を持ったからです。1995年1月17日午前5時46分に起こったこの地震では、死者数6433人、負傷者4万3729人、家屋の全壊・半壊24万8412棟に及ぶ大惨事となったのです。生々しい被害状況の写真を繰りながらふと目を留めたのが58〜59ページに掲載されている地震予想マップでした。

 このマップは政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会が発表している長期評価をまとめた図です。マップ上の数値は、地震の規模(マグニチュード=M)と30年以内の発生確率を示すとあります。このマップ上には阪神・淡路大震災を引き起こした活断層の表示が見当たりませんので、当時はこの地域では地震の可能性が低いとされていたのではないかと想像できます。さらに注目したのが三陸沖合に広がる地震の震源地です。マップには、宮城県沖M7.5 99%、三陸沖南部海溝寄りM7.7 70〜80%、三陸沖から房総沖の海溝寄りM8.2 20%と今後起こる可能性の高い地域を明示してあります。これを見てまさに2011年3月11日午後2時46分に起こったマグニチュード9.0の東日本大震災を予見していたと思ったのでした。

 さらにマップには南関東M6.7〜7.2 70% 東海M8 いつ起きてもおかしくない、とあり危険度が極めて高い予測値となっています。一方九州では布田川・日奈久断層帯(中部)M7.5 〜6%の表示のみです。このマップを初めて見た時は、発生確率や日頃の報道からして、次回大地震が起こるとすればそれは関東方面であろうと思ったのは当然のことです。しかし現実には、確率的には低い九州で大地震が発生したのです。大学時代に統計学を学んだ記憶がかすかに残っていますが、確率というのは高い順に起こるとは限らないということを教えてもらった気がします。  現在は気象庁により、より詳細は地震予測マップが発表されているようですが、私に取ってはいささかアバウトなこのマップの方が概略であるからこそ正確なのではないかと毎日眺めながら考えています。

2016年04月30日 復旧作業の過程で

 地震発生から二週間が過ぎたと言うのに、毎日続く余震にうんざりしつつも内心不安に襲われながら仕事と生活をしています。震度1以上の地震が1000回を越えてなお余震が頻繁に起こっていますので、群発地震と呼びたいぐらいです。今日は地震後初めて被害の大きな益城町を通りましたが、倒壊した住宅やビルが連なっており、町全体が活断層の上にあったからこその被害と思いました。

 この町に隣接する我が社の物流センターは幸いにも建物に大きな被害はありませんでしたが、多くの従業員が益城町在住で出勤できない人が多く、いまだ人手不足で苦しんでいます。被災して分かったことは、仕事をしている主婦は小さい子供や年老いた両親がいる場合はその世話があり会社に出勤できないということです。地域の小・中学校は5月連休明けまで休校ですし、幼児を預ける保育園や幼稚園は休園していますから子供はどこに行くこともできません。自然、お母さんが一日中その面倒を見なければなりません。

 こうした事態に対応して、車中泊や避難所生活を強いられている家族には会社での宿泊を、子供を預ける所がない人には子連れでの出勤を認めました。多い日には10人の子供達がお母さんと一緒に会社に来ましたので、集会所に子供達を励ましに行きました。するとそこには、70歳ぐらいの女性が子供達といます。聞けば社員のお母さんとのことでしたが、まるで保母さんのようで大変良い雰囲気だと感心しました。 また幼児や子供が余震がある度に怖がるのはかわいそうでなりません。大人はこの余震は次の本震かと身構えて疲れが溜まるのですが、幼児は地震のメカニズムが分かる訳はなく、ただ本能的に怯えたり泣いたりするようです。地震が子供らのトラウマにならないようにその収束を願っているのですが、同僚とは地震を終わらせるために大地に潜む大ナマズを二三匹釣り上げようかと話したりしています。

2016年04月25日 大地震発生から10日間

 未だ余震収まらず、いつまで続くかと不安な日々を過ごしてきました。本震の後には一週間程度の余震に注意すれば良いとの希望的観測は無惨にも破られてしまいました。この落胆と憤りを誰に向ける事もできず、ただひたすら余震に耐え、希望を失わない様に心を奮い立たせています。  過去に例がない地震という気象庁や地震学者の説明は私たちの不安を一層募らせていますが、一人一人あるいは企業各社はそれぞれが受けた苦難を乗り切ろうと立ち上がっています。実は今朝も震度4の地震があり、いい加減にしてくれとうんざりする一方で、耐震力というより神経が麻痺している感覚に陥っています。震度1以上が800回を越えたのですから、揺れに対して鈍感力が養われたのでしょうか。

 今回の地震で一番被害が大きかったのは益城町と南阿蘇村ですが、実は熊本市の西部に位置する熊本駅近辺でも古い家屋が全壊したり立ち入り禁止の赤い札が貼られたりしている家が数多くあります。城下町の一画でもあるこの地域にはお寺が集中しており、歴史あるお寺は建物が古いだけに被害は甚大です。この写真は熊本駅から歩いて15分ほどのお寺の楼門ですが、崩れた楼門に挟まった車を見ると車に乗っていた人に怪我はなかったかと心配になります。  周りの人と会話をしますと、身近な所でこれだけの被害が出ているにも関わらず、なぜか現実感がなく、夢を見ている気分だと異口同音に話します。私自身がその一人ですが、今回の地震が想定外であったのは当然としても、その規模と範囲の大きさに身体感覚が付いていってないのが原因です。このところ、過去に起こった阪神・淡路大震災や東日本大震災をしょっちゅう思い出します。過去を教訓にしたいとは思うのですが、当事者に体験を聞かない限り想像するだけでは限界があると分かりました。

 街を車で走行しますと、今日だけでも他県から災害普及の応援として駆けつけてくれた自衛隊、警察、ガス会社、水道局の車列とたびたびすれ違いました。県民でさへ毎晩自宅に寝る事ができない人が6万人を越えているというのに、こうして支援に入って来てくれた人たちはどこで寝て、どういう食事をしているのだろうかと心配になりました。そして、自然に頭が下がる思いがしました。

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