芭蕉林通信(ブログ)

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2017年12月04日 モノからコト消費へ

 中国の爆買い現象がEC市場を急拡大させているが、日本国内ではモノからコト消費へ移行していると言われている。しかし、コト消費とは一体何なのかイメージが今いち掴めないというのが本音だった。そうした時、地元百貨店をぶらぶらしていてハタッと思い当たった。

 それはカメラショップに行った時にカメラ教室の案内をもらったのである。また婦人服売り場ではフャッションショーに出くわした。さらには、クラシックサロンというオーディオルームではLPレコードの奥深い音色を味わうことができた。これらはモノを直接に売るのではなく、モノに付随する楽しみ方や時間の過ごし方、モノの活用法を教えてくれる行為であり、それ自体が豊かな経験となるのである。

 高齢者にとっては、積年の買い物により家はモノで溢れている。最近は、ゴミを出すのにも選別という手間がかかる。モノにはうんざりしている年齢層にとっては、モノよりもコト消費の方が感動を得易いのであろう。今晩は熊本までわざわざ来てくれるゲルギエフの音楽会に行ってみようと思っている。

2017年11月27日 50年前の現金出納帳

 家人が古い箱の中から2冊の現金出納帳を見出した。それは約50年前、私が19歳で上京し仕送り生活した時の記録である。下手だが几帳面な字で綴った一行一行が、当時の物価と学生生活の一端を垣間見せてくれ興味深い。

 当時の仕送りは月3万円であり、アルバイトをしない決意の身では100円でもないがしろにはできなかった。で、ある一日の出費は以下のごとくである。  
某月某日
牛乳       35円
y君へ貸す      50円
夕食       150円
映画       100円
電車代       70円

 なんとも慎ましい生活ぶりである。現金出納帳を眺めてみると、文化活動の出費としては本代、映画チケット代、ごく稀にディスコ代・ダンパ代などがある。共産主義関係の本を購入しているのは時勢からだろう。大学紛争の時代が懐かしくもまた苦々しく思い出される支出だ。

2017年11月20日 秋の贈り物

 いつも歩く道に6本の楓の木がある。急な冷え込みで端にある1本の木が紅葉を始め、落ち葉が舞い降り始めた。美しい色の落ち葉を拾うようになったのはいつの頃からか思い出せない。時には新聞紙に挟んで押し葉したこともあるが、今年は拾ったばかりの葉っぱがあまりに奇麗なだけにその一枚をそのまま窓辺に置いた。

 ところが葉っぱは翌日には新鮮な色を失い、乾いて縮れ始めたのには驚いた。葉っぱは紅葉しても木に引っ付いている限りは、幹から僅かではあっても水分を供給してもらっていたに違いないのである。ということは、紅葉することは即生命の終わりではなく、幹を離れて初めて生を終えると言えるのであろう。

 「ゆずりは」という木がある。自らの葉を落として次の生命に道を譲ることから、「ゆずりは」というらしい。生命の循環を見る想いであり、輪廻転生を一枚の楓の葉っぱから教えられるのである。だからこそ、はかなくて美しいと感じるのかも知れない。

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