芭蕉林通信(ブログ)

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2017年07月10日 米国ギャラップ調査の衝撃

 5月26日付けの日経記事、日本では「熱意ある社員は6%のみ」というギャラップ調査には衝撃を受けた。アメリカの32%に比べて大幅に低く、調査対象である139カ国中132位という低さ(ほんと?)なのである。日本国内で日本の企業同士の戦いならば問題はないが、今日のグローバル社会にあっては、他国の企業と戦えばやる気のある社員の数で負けることになる。と同時に、自分の会社で熱意ある社員が少ないのであれば大問題だと思った。

 そこで気になるのが日本の教育行政のいい加減さである。一時はゆとり教育により生徒の個性や創造力を養おうとしたが見事に頓挫した。日本では親子に甘えの構造があり、欧米のように生徒の個の確立が進んでいない。つまり、子の親離れ、親の子離れがなされていないのだ。そうした家庭環境の下で生徒に自由に羽ばたけと行っても、生徒は何をして良いのか迷うだけだったのではないか。

 さらに、内田樹さんは講演録「日本の覚醒のために」の冒頭で、日本の大学の質的劣化は、世界の注目を集めるほど著しいと述べている。多くの大学は単に卒業単位を取るだけの教育機関に成り下がっており、真にエリート教育がなされていないのではないかと不安になる。こうした大学から学生を社会に送り出しても、知の基礎体力や社会的責任感を持ち合わせていない学生ばかりでは受け皿の企業が苦労する。冒頭のギャラップ調査は国家の一大事だと思った。

2017年07月03日 バブル始末記

 永野健二著「バブル 日本迷走の原点」の副題には、住友、興銀、野村、山一・・日本を壊した「真犯人」は誰か、とある。興銀に9年間お世話にになった身としては否応なく購入し読むこととした。永野氏が示しているバブルの熱狂期間が1980-1989だとすると、私が興銀を退職し帰郷した1982年はバブルがすでに始まっていたことになる。そして株価が大納会に日経平均で3万8915円のピークをつけた1989年は、私が37歳で社長に就任した2年後であり父を失くした年である。つまり、私が故郷熊本での新しい仕事にとりかった30歳代の大半は、日本経済のバブル真っ最中だったことになる。

 そこで私がバブルとどう付き合ったか思い出してみた。幸いだったのは当時は地域の食品問屋である本業が大変な時期であり、また賢明な父も健在であり、不動産や株式に投資する考えは毛頭なかったことである。しかし、父が亡くなった時にはさすがに歯止めがなくなり、当時流行っていた財テクに挑戦したり、ゴルフ会員権を高値買いしたことがあったのは身の不明としか言いようがない。

 ただ、その時は既にバブル崩壊の兆しがあり、早く終戦処置をし傷口を広げずに済んだのは幸いだった。あの頃は、大半の銀行が土地神話を元に融資競争に走り、バブル崩壊後は一転して貸出しの回収に邁進するという変節ぶりを示した。その変節ぶりを見た時に、私を育ててくれた興銀の良き時代は終わったと感じたのだが、その予感は後に現実化したのだった。

2017年06月27日 パッヘルベルのカノンを聴けば

 大学生だった時、近くにあった津田塾大学の文化祭に行ったことある。前年には、国立音楽大学の文化祭で大変な目に会ったというのに懲りずに行ったのである。国立音大の文化祭ではある宗教団体のサークルに一種の拉致をされ、年配の信者10人ぐらいの人達に缶詰状態で入信を強要された苦い経験があったのである。田舎の青年が親元を離れて最初に経験した事件であったが、何とか切り抜ける事ができたものの下宿のおばさん家族には大変に迷惑をかけた。

 津田塾大には中学時代の同級生がいて、弦楽合奏団でバイオリンを弾いていたのでその発表会を聴きに行ったのである。今でも鮮明に覚えているのは、サークル名が「アンサンブル・フィオリータ」であり、初めて聴いた「パッヘルベルのカノン」が実に美しい調べだったことである。当時の故郷の実家では音楽を聴くという習慣がなかったことを思い出す。朝市に面した商売屋では、クラシック音楽を聴くほどの心の余裕がなかったのであろう。もっとも父は美術には関心が強かったが。

 かくして、今でも「パッヘルベルのカノン」を聴くと、気持ちは一気に50年前にタイムスリップするのである。青春時代の感性は自分の実年齢を忘れさせてくれる魔法の薬でもあるようだ。そういえば、介護施設でリハビリ中の母も、若かりし頃のエピソードを話す時は目を輝かすのである。

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