芭蕉林通信(ブログ)

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2014年11月11日 充電と放電

「雀百まで踊り忘れず」という言葉がありますが、多感な青春時代に教えてもらったことはいつまでも忘れないものです。自分でもふと昔のことを思い出し、驚いたり苦笑したりすることがしばしばです。若い時の吸収力は無限ですから、一定の時期にどのような家庭環境で育ったか、どういう仕事現場で働いたかは人生において重要な人格形成の時期となるのです。
 父は戦前から戦中にかけて、海軍兵学校から海軍中尉として活躍した後、20歳で終戦を迎えました。ですから戦後も一生涯海軍精神そのままに生きていました。背広はネイビーブルーを好み、営業車には帝国海軍の戦艦、巡洋艦などの名前を付けていたほどです。会社から営業に出る車を目で追いながら、父は大和出撃、武蔵帰還と言っていました。
 さて、私の場合は大学入学のため上京した後、帰郷するまでの13年間が人格形成に大きな影響を与えた時期であったように思います。書ききれないほどの経験をしたことは他の人と同じですが、時々思い出す教えの一つが「充電と放電」です。
 私が社会人になってから初めて強烈なショックを受けたのが、自分は全然勉強をしてこなかったと言う思いです。仕事場の上司、先輩、同僚が何とも賢くかつ偉大に見えたものです。

 そうした時に「充電と放電」という言葉に出会いました。知識や経験を積む事が充電であり、それらを使用して何か事を成すことが放電という訳です。つまり、充電と放電のバランスが必要なのです。それ以来、私はいつも今は充電しているのか、あるいは放電しているのか自らに問う癖がつきました。最近は充電過多であることに反省しきりです。


2014年11月05日 良い牛乳を作るには

 ある時聞いた、酪農団体の幹部の言葉を今でもしばしば思い出します。
「良い牛乳を作るには良い牛を育てなければならない。良い牛を育てるには良い草を育てなければならない。良い草を育てるには良い土を育てなければならない。良い土を育てるには良い人間を育てなければならない。」

 最近は、私の使命の一つは人材教育・後継者の育成と思い定めているのですが、簡単ではないということが徐々に分かってきました。一般的には、少子化の環境で生まれ育った若者は両親から甘やかされて育てられているので打たれ弱く、社会人になってからは精神を病む人が多いと解説されたりしています。自分自身の経験では、家庭がさほど豊かではなく兄弟が多い場合は、できる限り早く自立して親を楽にするのは当然という時代環境であったと思います。「家貧しくして孝子出ず」という言葉にいつも真実味を感じているのです。
 つまり議論の行方はこうです。子弟の教育が難しいと思うのは、現代の若者気質によるというより県民性に由来しているという点です。我が熊本県は「尚武の県」として知られていますが、一方では「もっこす」「肥後の議論倒れ」「一人一党」「出る杭は打たれる」「肥後の中将」など芳しい県民性とは言えない面があります。もっとも、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が熊本スピリットとして掲げた「簡易・善良・素朴」といった面がない訳ではありません。しかしなお、熊本の県民性が教育に必要な「素直さ」を不十分な状態にしている気がしてなりません。またこうした状態の背後には、肥後54万石という恵まれた風土から来る内向き思考・行動様式が、世間を狭くしているという点もありそうです。
 とは言え、そうした事を含めての子弟の教育であり後継者の育成ですので、これからも自分自身の勉強の足りなさを自覚しつつ知識を増やす努力を怠らず、所期の目的を果たしたいと願っています。


2014年10月30日 目病み女に風邪ひき男

 美しい女性を喩えて、「明眸皓歯」「傾城」などと学んだのは中国の歴史本からだったと思います。「夜目、遠目、傘の内」の喩えは、過日富山県の風の盆を見に行った時に実感しました。「秘すれば花」という世阿弥の言葉がありますが、美人というものは男が想像を働かせた時がより美しく感じるものなのです。小林秀雄風に言うと、美人の美しさというものはなく、美しい女性は世に多いということになるのでしょうか。

 図らずも、また秋の風邪を引いてしまいました。週末にまとめてテニスの試合をしたことが体力の消耗を招いたようです。病院で点滴を打ち、薬をまじめに飲んでいるのですが、なかなか治らないのはきっと歳のせいです。それにしても、昨今の朝晩の冷え込みは厳しく、日中の寒暖差の激しさには驚かされます。先日高速道路のサービスエリアで、紅葉を始めた楓の葉っぱを数枚拾ってきましたが、秋は確実に深まりつつあります。
 ところで風邪で思い出したのは、「目病み女に風邪ひき男」です。これは眼病にかかっている女性は目が潤んで見えて奇麗だし、風邪を引いている男は声が低くなって男らしいと意味ですが、私の場合は単なる顔色の悪いオジさんという点がつらいところです。ついでに、「東男に京女」という言葉も思い出しました。古今東西、男女についての表現は多種多様にあるものだと改めて感心させられます。


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