2014年05月12日 発見、風流島
![]() かつて何回も通った道でありながら、いつも気になる場所が途中にありましたので、今回はそこに寄ることが大きな楽しみでした。目的の場所とは、熊本市から宇土市を経て、57号線が海沿いの道に変わる辺りにあるこんもりとした森です。そこに行って初めて分かったことは、そこには住吉神社があり住吉自然公園として整備されているということでした。 目の前の浜は、干潟の美しい模様で有名な御輿来海岸(おしおきかいがん)に近いせいか、汐が引き始めると、少しずつ海に砂地と海水の模様が現れ始め、砂地はムツゴロウの乱舞です。 岬のようになった遊歩道を歩いていると見えてきたのは、意外にも奇妙な形をした岩礁であり、その上には鳥居まで鎮座しています。近くに説明板があり、そこには初めて知る事が書いてありました。 要約すれば、この岩礁は風流島(たわれ島)と言い、平安時代から歌枕として有名なこと。何と、伊勢物語や枕草子にも出てくるというのですからビックリです。というのは伏線があり、かつて熊本には清少納言の父、清原元輔が国司として赴任していたことを知っていたからです。熊本駅の近くには本当にちっぽけな清原神社も残っています。 因に、枕草子では、 島は、八十島(やそしま)、浮島(うきしま)。 たはれ島。絵島、松が浦島。 豊浦(とよら)の島。籬(まがき)の島。 とありますが、たはれ島を実際に見た人は昔も今も皆無に近いのだろうと思いました。とまれ、また一つ地元の歴史的・文化的遺産を発見したという訳で、小旅行も悪くないなと思った次第です。 |
2014年05月07日 憧れのボンド・スタイル
![]() これまで作られた007の映画はほとんど見ていますので、連休中にBSで見た007映画製作の裏話番組は大変興味深いものでした。何しろ50年間も続いている映画シリーズは他にないのだそうです。邦画であれば、「フーテンの寅さん」や「釣りバカ日誌」を思い出しますが、確かにこれらは既にシリーズを終えています。 一方、007が今なお続いている秘密の一つは、主人公のジェームズ・ボンド役が映画ファンに飽きられないように、時々変わることなのでしょう。日本では、渥美清さんや三国連太郎さんの代わりがきっと見つからなかったのだと思いました。 ところで、最初のボンド役はショーン・コネリーですが、制作者との確執があって降板したとか、二人目は映画完成後に長髪したりしてボンドのイメージを損なったので1作で撮影終了したとかで、なかなか制作者も俳優も苦労が絶えなかったようです。特に、長髪で降板したという話は、映画製作者もイギリス国民もボンドのイメージを如何に固定して見たか分かるという点で面白く感じました。 つまり、ボンド・スタイルというものがあるのです。例えば、自分を紹介する時には、「ボンド、ジェームス・ボンド」と言うし、いつも短髪で、服はブリティッシュ・スタイル、女には圧倒的にもてるとかです。 昔、「スタイルとは同じパターンのリフレイン」という文章を発見して、感心したことを思い出しました。まさに、製作陣は007のスタイルを守りながらも、米ロ冷戦後の世界に合った映画を今も作り続けているようです。 現在のボンド役であるダニエル・クレイグははまり役と思っていますので、次回作が今から楽しみです。と同時に、次回作は裏話を思い出しながら見れそうですので、味わい方が変わるかもしれません。 |
2014年04月28日 柳絮との出会い
![]() 先日1年ぶりに中国の協力工場がある山東省に出かけた時のことです。 現地企業の貿易担当者が工場敷地内にある中食会場に連れ行ってくれました。レストランの前で何気なく柳の下に行くと、彼は流暢な日本語でアレルギーに気をつけてと言うのです。何事かと目を凝らすと薄い軽々として白い綿のようなものが、風に乗って右往左往しているのです。 その時はっと気づいたのは、これこそが漢詩に唄われる柳絮というものか、ということです。果たして、垂れ下がる柳の枝をよく観察すると、信じられないことに、多く連なる実が見る間に破れ、その中から本当に小さな種をつけた綿毛がもこもこと湧いてくるのです。そして、それらが風に乗り飛んでいくまでが、実に短い時間に起こるのです。 ネットで柳絮の関する漢詩を調べてみましたら、二編ほど見つけることができました。詩の一部はそれぞれ下記のごとくです。 二月の柳絮は軽やかに微かに 春風に揺れ、人の衣にまといつく 梨花淡白にして柳は深い青 柳絮飛ぶ時 花 城に咲く どうやら日本では柳の種類が違い、柳絮を見ることはまれのようです。そこで私も感動の気持ちを残そうと思い、句作に挑戦してみました。 手で追へば手風に逃ぐる柳絮かな |