芭蕉林通信(ブログ)

HOME > 芭蕉林通信(ブログ)

496件〜498件 (全 723件)   <前の3件     ・・・   162 | 163 | 164 | 165 | 166 | 167 | 168 | 169 | 170  ・・・   >次の3件

2014年05月19日 父子関係

 手元に、父が44年前、44歳の時に書き記した手帳が一冊あります。ですから父が生きていたならば今年88歳になったはずです。手帳を開いて読む度に、25年前に亡くなった父を身近に感じるのは、父の考え方が丁寧に整理され手書されているだけではないようです。
手帳には、経営哲学やリーダーシップ論が事細かに書いてあるのですが、それは現代を生き、事業経営に日々頭を悩ます私自身に、進むべき道を今なお指し示してくれているからに他なりません。もちろん、生前の父とは、一般的な父子と同様に、感情的になって口論したこともなきにしもあらずです。これは息子が父を乗り越える通過儀礼のようなものでしょうが、立場が変われば、私自身がそれを許容できるかどうかは自信ありません。父子の関係は、その時の外部環境にも影響を受けるものですし、父子の関係は嫁と姑の関係と同様に、永遠のテーマ性を持っていると思うからです。

 この3年間は、この手帳を思い出す度に繙いてきましたが、それは亡くなった父が最早口論する相手ではなく、いわば神話的で懐かしい存在になっているという背景もあるのでしょう。ということで、最近は、身内とも言うべき自社の幹部や社員に、何とかして父の思想や経営哲学を伝えたいと願ってきました。そしてやっと、この手帳を整理しなおし、「先人の教え」というタイトルで本にすることになりました。
次は、父の思い出を文章にして残してみたいと考えています。

2014年05月12日 発見、風流島

 5月の連休は、いわゆる安近短で済まそうと思い、国道57号線で天草まで小旅行をしてきました。国道57号線は、大分市を起点とし阿蘇市や熊本市などを経由し終点長崎市まで九州を横断する、観光ルートとしても重要な路線です。途中、島原湾を横断する海上区間を持つ珍しい国道でもあります。
かつて何回も通った道でありながら、いつも気になる場所が途中にありましたので、今回はそこに寄ることが大きな楽しみでした。目的の場所とは、熊本市から宇土市を経て、57号線が海沿いの道に変わる辺りにあるこんもりとした森です。そこに行って初めて分かったことは、そこには住吉神社があり住吉自然公園として整備されているということでした。
目の前の浜は、干潟の美しい模様で有名な御輿来海岸(おしおきかいがん)に近いせいか、汐が引き始めると、少しずつ海に砂地と海水の模様が現れ始め、砂地はムツゴロウの乱舞です。


岬のようになった遊歩道を歩いていると見えてきたのは、意外にも奇妙な形をした岩礁であり、その上には鳥居まで鎮座しています。近くに説明板があり、そこには初めて知る事が書いてありました。
要約すれば、この岩礁は風流島(たわれ島)と言い、平安時代から歌枕として有名なこと。何と、伊勢物語や枕草子にも出てくるというのですからビックリです。というのは伏線があり、かつて熊本には清少納言の父、清原元輔が国司として赴任していたことを知っていたからです。熊本駅の近くには本当にちっぽけな清原神社も残っています。
因に、枕草子では、

島は、八十島(やそしま)、浮島(うきしま)。
たはれ島。絵島、松が浦島。
豊浦(とよら)の島。籬(まがき)の島。

とありますが、たはれ島を実際に見た人は昔も今も皆無に近いのだろうと思いました。とまれ、また一つ地元の歴史的・文化的遺産を発見したという訳で、小旅行も悪くないなと思った次第です。

2014年05月07日 憧れのボンド・スタイル


  これまで作られた007の映画はほとんど見ていますので、連休中にBSで見た007映画製作の裏話番組は大変興味深いものでした。何しろ50年間も続いている映画シリーズは他にないのだそうです。邦画であれば、「フーテンの寅さん」や「釣りバカ日誌」を思い出しますが、確かにこれらは既にシリーズを終えています。
一方、007が今なお続いている秘密の一つは、主人公のジェームズ・ボンド役が映画ファンに飽きられないように、時々変わることなのでしょう。日本では、渥美清さんや三国連太郎さんの代わりがきっと見つからなかったのだと思いました。

 ところで、最初のボンド役はショーン・コネリーですが、制作者との確執があって降板したとか、二人目は映画完成後に長髪したりしてボンドのイメージを損なったので1作で撮影終了したとかで、なかなか制作者も俳優も苦労が絶えなかったようです。特に、長髪で降板したという話は、映画製作者もイギリス国民もボンドのイメージを如何に固定して見たか分かるという点で面白く感じました。
つまり、ボンド・スタイルというものがあるのです。例えば、自分を紹介する時には、「ボンド、ジェームス・ボンド」と言うし、いつも短髪で、服はブリティッシュ・スタイル、女には圧倒的にもてるとかです。
昔、「スタイルとは同じパターンのリフレイン」という文章を発見して、感心したことを思い出しました。まさに、製作陣は007のスタイルを守りながらも、米ロ冷戦後の世界に合った映画を今も作り続けているようです。  
現在のボンド役であるダニエル・クレイグははまり役と思っていますので、次回作が今から楽しみです。と同時に、次回作は裏話を思い出しながら見れそうですので、味わい方が変わるかもしれません。

496件〜498件 (全 723件)   <前の3件     ・・・   162 | 163 | 164 | 165 | 166 | 167 | 168 | 169 | 170  ・・・   >次の3件