|
先日、「船を編む」というDVDを借りて見ましたが、なるほどと目から鱗が落ちることがありました。この映画はそもそも、ある出版社が辞書を作るという話です。その中に、「右」という言葉を如何に説明するかという場面が出てきます。主人公は賢明にも、西を向いた時に北にあたる方角と言うのですが、私自身答えられそうにないので、ひどく感心したのです。
そこで、実際私も試してみようと思い、身近のスタッフ数人に「右ってなあに?」と質問をした結果、二人から「心臓のある側の反対の方」という答えが帰ってきました。それは、どうやら子供の頃に親から教えられたことのようです。私などは、右とはご飯の時に箸を握る手の方向と教えそうですから、親失格です。
言葉と言えば、こんな失敗もありました。それは、東京での銀行勤務を終えて、故郷熊本の食品問屋に転職した時のことです。会議に出席する度に、チョーアイが取れたとかチョーアイを失くしたという議論が続きます。私は、チョーアイとはてっきり、玄宗皇帝が楊貴妃を寵愛した、その寵愛とばかりに思い、食品業界は随分と難しい漢字を使うなと驚いていたのです。寵愛という漢字を書けと言われてもすぐには書けそうにもありませんでしたから。
この勘違いが判明するのに約半年の月日がかかったのですから、私も余程鈍感だったのでしょう。とは言え、言葉が持つ意味は、人それぞれに違うというのも真実であり、コミュニケーションが大事な時代という今日は、言葉の意味を確認することが、仕事を遂行する上で欠かせない基本的なことではないかと感じています。
|