芭蕉林通信(ブログ)

HOME > 芭蕉林通信(ブログ)

517件〜519件 (全 745件)   <前の3件     ・・・   169 | 170 | 171 | 172 | 173 | 174 | 175 | 176 | 177  ・・・   >次の3件

2014年05月26日 マイルドヤンキーから大家族主義へ

 時々、大学に入学するために上京し、下宿生活が始まった頃を思い出します。大学が学生ストに突入したため一度の授業もないまま市中に放り出されたのですから、友達ができる訳もなく突然にひとりぼっちの寂しさに襲われました。郷里では、祖父母と両親、それに妹・弟ら8人家族でわいわいがやがやの生活をしていたのですから、一人暮らしが始まった途端に、寂しくなったのは当たり前です。
 当時は、大勢の家族で住むのが当たり前の時代でした。が、それから日本が高度成長期を迎え、農村から都市部へ人口の移動が始まり、核家族化が一挙に進んだのです。さらに、今日では少子高齢化によって、独身者や配偶者を亡くした人らを中心に、一人当たり世帯の増加が顕著になって来ています。大家族から核家族へ、そして独居へと時代の針が進んできたことが分かります。
 こうした時代背景の影響があるのでしょうか、一種の揺り返し、反動のごとき話があり、興味深く感じたことがありました。それは、今の若者に、「マイルドヤンキー」と呼ぶ傾向があるというNHKの特集番組での話です。

 マイルドヤンキーの特徴は、五つあります。
1 「絆」「仲間」「家族」という言葉が好き
2 地元(家か5km)から出たくない
3 車(特にミニバン)が好き
4 ショッピングモールが好き
5 EXILEが好き
 この中で、EXILEについて考えてみますと、多くのメンバーが集っているグループだからこそ、共感を得ていると考えられます。そういえば、AKB48だってそうです。
 確かに、最近の学生は、生まれ育った地域、つまり郷里で就職する志向が強いように見受けられますが、彼らこそマイルドヤンキーであるに違いありません。
 そして、私自身も今、子供や孫に囲まれた生活をしていると、かつての大家族主義の良さを実感するようになりました。つまり、高齢者は若い人からエネルギーをもらいながら、彼らの将来性を楽しみにしながら生きていくことができます。一方若い人は、特に幼児は、祖父母という人生の経験者から、深い知識や慰め、愛情を得ることができるという訳です。
 生活実感として、大家族に囲まれた幼児は、日々、複雑で多様な知識を四六時中得ていることが分かります。マイルドヤンキーの出現が、これからの大家族主義の流れを作ることを期待する所以です。

2014年05月19日 父子関係

 手元に、父が44年前、44歳の時に書き記した手帳が一冊あります。ですから父が生きていたならば今年88歳になったはずです。手帳を開いて読む度に、25年前に亡くなった父を身近に感じるのは、父の考え方が丁寧に整理され手書されているだけではないようです。
手帳には、経営哲学やリーダーシップ論が事細かに書いてあるのですが、それは現代を生き、事業経営に日々頭を悩ます私自身に、進むべき道を今なお指し示してくれているからに他なりません。もちろん、生前の父とは、一般的な父子と同様に、感情的になって口論したこともなきにしもあらずです。これは息子が父を乗り越える通過儀礼のようなものでしょうが、立場が変われば、私自身がそれを許容できるかどうかは自信ありません。父子の関係は、その時の外部環境にも影響を受けるものですし、父子の関係は嫁と姑の関係と同様に、永遠のテーマ性を持っていると思うからです。

 この3年間は、この手帳を思い出す度に繙いてきましたが、それは亡くなった父が最早口論する相手ではなく、いわば神話的で懐かしい存在になっているという背景もあるのでしょう。ということで、最近は、身内とも言うべき自社の幹部や社員に、何とかして父の思想や経営哲学を伝えたいと願ってきました。そしてやっと、この手帳を整理しなおし、「先人の教え」というタイトルで本にすることになりました。
次は、父の思い出を文章にして残してみたいと考えています。

2014年05月12日 発見、風流島

 5月の連休は、いわゆる安近短で済まそうと思い、国道57号線で天草まで小旅行をしてきました。国道57号線は、大分市を起点とし阿蘇市や熊本市などを経由し終点長崎市まで九州を横断する、観光ルートとしても重要な路線です。途中、島原湾を横断する海上区間を持つ珍しい国道でもあります。
かつて何回も通った道でありながら、いつも気になる場所が途中にありましたので、今回はそこに寄ることが大きな楽しみでした。目的の場所とは、熊本市から宇土市を経て、57号線が海沿いの道に変わる辺りにあるこんもりとした森です。そこに行って初めて分かったことは、そこには住吉神社があり住吉自然公園として整備されているということでした。
目の前の浜は、干潟の美しい模様で有名な御輿来海岸(おしおきかいがん)に近いせいか、汐が引き始めると、少しずつ海に砂地と海水の模様が現れ始め、砂地はムツゴロウの乱舞です。


岬のようになった遊歩道を歩いていると見えてきたのは、意外にも奇妙な形をした岩礁であり、その上には鳥居まで鎮座しています。近くに説明板があり、そこには初めて知る事が書いてありました。
要約すれば、この岩礁は風流島(たわれ島)と言い、平安時代から歌枕として有名なこと。何と、伊勢物語や枕草子にも出てくるというのですからビックリです。というのは伏線があり、かつて熊本には清少納言の父、清原元輔が国司として赴任していたことを知っていたからです。熊本駅の近くには本当にちっぽけな清原神社も残っています。
因に、枕草子では、

島は、八十島(やそしま)、浮島(うきしま)。
たはれ島。絵島、松が浦島。
豊浦(とよら)の島。籬(まがき)の島。

とありますが、たはれ島を実際に見た人は昔も今も皆無に近いのだろうと思いました。とまれ、また一つ地元の歴史的・文化的遺産を発見したという訳で、小旅行も悪くないなと思った次第です。

517件〜519件 (全 745件)   <前の3件     ・・・   169 | 170 | 171 | 172 | 173 | 174 | 175 | 176 | 177  ・・・   >次の3件