芭蕉林通信(ブログ)

HOME > 芭蕉林通信(ブログ)

550件〜552件 (全 745件)   <前の3件     ・・・   180 | 181 | 182 | 183 | 184 | 185 | 186 | 187 | 188  ・・・   >次の3件

2013年08月27日 夏の終わりに

先日行った映画館で予告編があり、瀬戸内寂聴さんの「夏の終わり」というベストセラー小説が今月末には封切りになるということを知りました。タイトルそのままに、夏の終わりに封切りとは心憎い演出です。

宮崎駿監督の「風立ちぬ」もロマンチックなタイトルです。堀辰雄の同名小説の復刻版を古本屋から探して、40年ぶりぐらいに再読しましたが、レースのような繊細な愛の小説であることに、改めて感心しました。
「風立ちぬ、いざ生きめやも」というフランスの詩の翻訳も文語調で余韻があり素敵です。70歳を超えた宮崎監督がこの映画を作る1000日を追ったNHK番組「プロフェショナル」がたまたま昨晩放映されました。歳をとれば作りたい映画は変わる、との監督の発言が印象に残りました。それにしても、芸術作品を生み出す苦労は並大抵のことではないと感じました。

その点、1896年の8月27日に誕生した宮沢賢治がその37歳の生涯で生み出した作品の多さには感銘を受けます。童話、詩、評論など賢治自らの世界観を作り出していることに、今更ながら感動します。
地質学に興味を持った賢治は、その作品にも鉱物をよく表現に活かしていたことを、最近買った新刊書「賢治と鉱物」で知りました。
また、一方で、鉱物の持つ神秘性や美しさというものに私自身が目を開かれた本でもありました。

今、宮沢賢治の故郷である、岩手県の花巻や遠野に行って、その世界を自分の目で追体験したいと思っています。

2013年08月06日 お山の大将

最近、古本屋で見つけたのは、「西條八十・童謡全集」です。大正13年発行ですから、亡くなった父が生まれた1年前の初版本です。
この本に心引かれたのは、まず本の装丁にありました。

深緑色の表紙には、現代とは反対に右から左への字が流れています。もちろん、表紙と中の童謡は活版印刷です。最近のデジタル印刷に慣れた目には、活字の一文字一文字が個性を持った生き物のように見えてくるのです。

九州のある島で、今もなお活版印刷を守り続けている小さな印刷会社があることを雑誌で読んだことを思い出しました。その時はいつか自分の名刺を活版印刷で作ってみたいなと思ったものです。

「西條八十・童謡全集」を我が家に帰って読もうとした時、さらに驚いたことがありました。それは、立派な和紙で作られたページが裁断されないまま何ページもあったことです。つまり、初版本は誰にも読まれないままに、私の手元に来たという訳なのです。
そこで、バリ島で買ってきていたナイフをページの間に差し込み、裁断したのですが、その音の気持ち良さにしばし酔ってしまいました。

さらに、童謡集の一つに懐かしいものを見つけました。
それは、子供の頃に唄った「お山の大将」です。

お山の大将
俺ひとり
あとから来るもの
つき落とせ

ころげて 落ちて
またのぼる
赤い夕日の
丘の上

とさらに続いていくのですが、以下は省略します。ただ、私自身は最初の一節だけは覚えていて、その後に続く部分は知りませんでした。この童謡が最後はお月さまが登るところで終わる、極めて叙情的なものであることに感心しました。

2013年06月28日 阿蘇が「世界農業遺産」に

我が郷土の誇りである阿蘇が「世界農業遺産」に登録され、こんなに嬉しいことはありません。識者の中には、「世界自然遺産」の方が良かったという向きもあるにはありましたが、阿蘇には鉄道が走り、街や村があり、人々の日々の営みがあるのですから、所詮無理筋だったと思います。
むしろ、春になれば山焼きをし、害虫を駆除し牧草の新芽の成長を促し、肥後の赤牛を放牧するという自然循環型の農畜産業が評価されて良かったというのが今の率直な気持ちです。

阿蘇の魅力を一言で語れと言われても語る事ができる訳がありません。長年阿蘇に行き慣れている私にとっても、行くたびに新しい体験や発見が待っているからです。
福岡在住の財界人と話をしていましても、阿蘇は九州の阿蘇だ、という言われ方をします。これからは、阿蘇の自然と営みを守り、次の世代に引き継いでいけるよう、多くの関係者の努力を応援したいと思っています。

550件〜552件 (全 745件)   <前の3件     ・・・   180 | 181 | 182 | 183 | 184 | 185 | 186 | 187 | 188  ・・・   >次の3件