芭蕉林通信(ブログ)

HOME > 芭蕉林通信(ブログ)

562件〜564件 (全 745件)   <前の3件     ・・・   184 | 185 | 186 | 187 | 188 | 189 | 190 | 191 | 192  ・・・   >次の3件

2013年02月01日 トルコの細密画

塩野七生さんの本に、コンスタンチノープルがオスマン帝国の攻撃に破れさるという場面が登場するのは、開戦三部作の一つ「コンスタンチノープルの陥落」です。
ビザンツ帝国の最後の皇帝が、白い馬に緋のマントを着て最後を遂げる場面は、その色の鮮やかさもあって、まるで目の前に見るかのような印象でした。

昨年トルコに行った際に手に入れたかったのが、オスマン朝からの伝統芸術である「細密画」でした。機中に、オルハン・パムクの著書「私の名は赤」を読んでいたせいかも知れません。この本は、オスマン朝のおかかえ絵師、細密画を描く人たちの物語だったのです。
そして、泊まったホテルのギャラリーで偶然に見つけたのが、メフメト2世がコンスタンチノープルを陥落させる際の有名な逸話の場面を描いた一枚の絵でした。

大学の講師が描いたというのですから古いものではないのですが、馬に乗ったメフメト2世の凛々しい姿、山越えに船を金角湾に運ぶ群像が細密画の手法で描かれているのに感動しました。後でしまったと思ったのですが、その時は一切値切ろうとする気にはなれず、とにかく絵を手に入れたい一心でした。
難攻不落と詠われた三重の堀を巡らした旧都を、裏側から攻略するオスマン軍のテントや大砲、大地には糸杉や可憐な花、空には星の数々が細密に描かれていて、小説の一シーンが鮮やかに突然に現れた感じがしたものです。
かくして、オスマンからトルコ共和国に至る勉強が今日まで続いています。

2013年01月21日 父の年齢

自分の年齢を自ら語るというのは、自慢か卑下か判断が難しいところです。私の場合は、23年前に亡くなった父の年齢と同じになるということが自分の年齢を気にしている由縁です。
父の亡くなった歳に近づいて実感するのは、父が亡くなった時感じていたであろう心境の一端です。ゴルフが好きで休日には近くの山を歩いて体力維持に気を使っていた父が、病気の進行を知った時の驚きは想像するに余りあります。私にしても、この歳でもう不治の病ですと申告されたならば、心は千々に乱れるはずです。あまりに早い死だったと思います。
父は残念であったろうし、悔しくもあったはずです。その父は今、熊本でも古い町並みが残っている唐人町近くに静かに眠っています。

かくいう私にも確実に心境の変化があります。それは若い世代に事を託すお手伝いをしたいという思いです。
トルコのノーベル文学賞受賞作家オルハン・パムクは、受賞式のスピーチで「父の鞄」について話ました。彼の著書「イスタンブール」を読むと、両親の不仲や父の事業の相次ぐ失敗などが克明に描写されており、それらがイスタンブールの憂愁と溶け込む様子がよくわかります。つまり、父と子の関係はそう簡単なものではなかったはずなのですが、オルハン・パムクは懐かしそうに父の思い出を語るのです。
父と息子というのは大人になるに従って、男同士の複雑な関係になります。父は息子にいろいろと期待をしますが、息子は父に反発するようになります。反発は決して悪い訳ではなく、社会人として自立する通過儀礼の意味があります。父は息子に言葉で伝えるのではなく、体や行動で伝える方が良いように思えます。
同じように、私の世代は自分よりも若い人や次の世代に、経験や志を伝えることが大事であり、使命であろうと思います。
できれば父の年齢を超えて長生きするばかりではなく、父が果たせなかった夢や使命を父に代わって果たすことができればいいなと思っています。




2012年12月30日 新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
勇ましい辰年が終わり、新年はニョロニョロの蛇年。
新年は、一体どんな年になるのでしょうか?

蛇といえば思い出すのが、台湾の道教寺院に詣った時のことです。
その寺には、占い師が大勢いて、その一人に筮竹で占ってもらいました。
その結果は、「恐れを抱いていれば、暗闇で枯れ枝を踏んでも、蛇を踏んだかのように感じてしまう」というものでした。

つまり、自信を持って事に当たりなさい、という教えだと解釈し、しばらくは中国語で書かれたお札を保管していたぐらいです。
いずれにしても、蛇は恐れられる存在なのです。

とはいえペットショップでは、蛇は音を立てない、場所も取らないという理由で飼いやすいとのことで、若い女性が買っていくと聞いたことがあります。今でも本当かなと思うのですが、確かにペットショップには多くの種類の蛇が売ってあり、私には気持ち悪くて仕方ありません。

昔、楳図かずおさんのマンガに「へび少女」があり、いつもこわごわ読んだことを思い出しました。
新年は、縁起の良い白い蛇に出てもらい、日本経済が再生して欲しいものです。

562件〜564件 (全 745件)   <前の3件     ・・・   184 | 185 | 186 | 187 | 188 | 189 | 190 | 191 | 192  ・・・   >次の3件