芭蕉林通信(ブログ)

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2011年11月08日 フランス視察報告(第8回)

■ブールジュ(Bourges)

 中部の都市ブールジュは人口7万人余りで、古代ローマ時代からの歴史を持つ。
1255年に完成したゴシック・スタイルのサン・テチエンヌ教会は、1992年に「ブールジュ大聖堂」の名で世界遺産に登録された。
教会の周囲は旧市街が広がっており、路地に入れば石畳の道、花や緑に飾られた広場、歴史を感じる住居があり、中世の街に迷い込んだ感がある。公共の場には、至る所に花が飾られており、フランス国内共通していることだが、美観に対する配慮に大変感心させられた。花を飾ると言う点では個人の家も例外ではなく、玄関や庭に季節の花々が見られるのも観光客にとってもたまらない魅力といえよう。
 

■ロワール渓谷(Loire valley)

  ロワール川沿いに優美な中世の城が点在する。ブドウが栽培されており、有名ワインが作られている。
アンボワーズは,イタリアからレオナルド・ダ・ビンチが招かれ終焉を迎えた場所である。近くにあるシャンボール城の二重らせん階段はダ・ビンチの設計したものと伝えられており、ダ・ビンチの多才ぶりがここでも伺える。
 代表的なものだけでも、アンボワーズ城、ブロワ城、シャンボール城、シュノンソー城があり、他にも数多くの城が残されている。個人的にはルイ15世の愛妾で芸術家のパトロンとして活躍したポンパドール夫人の瀟洒な居城に心惹かれた。
そのうち、シュノンソー城は内部見学したが、前庭に野生の紫色した小さいシクラメンが群生して咲いているのに感動した。城内は5人の貴婦人が住んでいたという来歴から、各部屋に豪華な調度品が残されているばかりではなく、生花が惜しげもなく活けられており、歴史的のみならず美術的にも興味の尽きない城であった。因みにこの城は、世界的な食品メーカーであるネスレ社から某チョコレート会社に持ち主が変わったそうである。


コラム Column 

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《フランスのエネルギーについて》
フランスは原発大国である。電力の約8割を原発に依存しており、イタリアやドイツに現在も電力の輸出をしている。
3月に東日本大震災で福島第一原発の事故が起きて以来、日本国内のエネルギー政策が曲がり角に来ている。その際、フランスの原発依存を推進理由に挙げる場合があるが、今回のフランス視察を通じ、両国の原発環境に大きな相違点があると思った。
日本は国土の割りに平野部が狭く、地震の巣とも言える弓状列島である。一方フランスの国土面積は日本の1.4倍、人口はほぼ半分、平野部が広いために自ずと日本に比べ人口密度は低い。おまけに活発に活動している火山が少ないことを考えれば、日本よりも格段に立地環境に恵まれていると感じた。ドイツは脱原発を決めたが、火力発電に使用する石炭が国内で調達できるという点で日本とは多いに異なるということを認識しておく必要がある。
加えてフランスは、省エネルギー政策の一環としてレンタルサイクルやレンタルEV(電気自動車)、また太陽光発電などに積極的に取り組んでいる。日本においては、国民の節電意識を高めつつ、エネルギー政策の根本的な改革に一歩踏み出さなければならない。

 

2011年11月07日 フランス視察報告(第7回)

■リヨン(Lyon)

 




都市圏人口164万人を誇るフランス第二の都市である。古来から物資の集散地、交通の要衝として発展してきた。今日でもパリや隣国スイスのチューリッヒまで約4時間半で行くことができる。
中世では絹織物業で発達したが、最近は重化学工業や金融センターとして発展、活気あふれる都市に変貌した。
他地域と同様、旧市街と新市街に分かれており、旧市街は昔ながらの面影を残すよう努力されているのはさすがである。旧市街は歴史地区と呼ばれ、古代ローマ時代の遺跡に始まり、中世の石造りの街並みが保存されている。この地域の特徴として、絹織物業者や住民が使ったトラブールという建物内の抜け道がある。200カ所を超えるのは、リヨンだけとかで、不思議な空間は一度体験する価値がある。(ここも世界遺産)
街のどこからでも見えるフルヴィエールの丘には、リヨンの象徴である白亜のサン・ジャン教会が建っている。ローヌ河越しに見る教会は、丘の下にある建物群と川面に映って美しい。
街中にはレンタサイクルコーナーがあるが、住民は登録さえしていれば、クレジットカードで使用できるという。ここにも環境に優しい街作りの一環を見た。

 
コラム Column 
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《フランスの川について》
 ロワール河やセーヌ河、ローヌ河という大河がある。スイスやイタリア国境付近のヨーロッパ・アルプスやスペイン国境のピレネー山脈を除くと、フランスは概して平坦な国土と言える。そのため川の勾配はゆるやかで、洪水防止のための護岸工事は少ないように感じた。ドイツ同様に、多少の洪水を恐れて護岸工事をするよりは、景観を重視するという国民性があるのかも知れない。

 

2011年11月06日 フランス視察報告(第6回)

■アヴィニヨン(Avignon)

人口9万人の城壁に囲まれた中世都市である。1309年に教皇庁がこの地に移転し、カソリックの本山として繁栄した。これは、時のフランス王がローマの法王に対抗し、政治的に教皇を擁立すると共にフランス国内に留め置こうとした結果である。
従って、教皇庁の威容がそのまま残っており、中世の面影を随所に感じることができる。旧市街の街並みと共に世界遺産に登録されているのも当然である。
さらに童謡「アヴィニヨンの橋」で有名なサン・ベネ橋がある。ローヌ河の度重なる氾濫で、22あった橋脚の内、現在残っているのは4つのみである。
ローヌ河沿いのレストランで郷土料理を食したが、屋外の席は観光客であふれていた。
対岸には、世界遺産となった中世の街並みが望見され、フランス料理とワインをリバーサイドという最高の環境で堪能できた。

 
コラム Column 
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《フランス料理について》
源流は16世紀にもたらされたイタリア料理である。かつてメディチ家からフランス王家に嫁いだ姫君が、当時の野蛮な食事方法に革命を起こした。その後フランス国内で洗練され、今日の世界的な名声を得ることとなった。 ソース体系が高度に発達していることが特徴で、各国の外交儀礼の正餐として採用されることが多い。
2008年にサルコジ大統領がユネスコに登録推進することを発表。2010年に世界無形文化遺産として登録された。登録内容は「フランス人のガストロミー的食事(美食術)」で、ガストロミーとは一般的には、みんなで楽しく会食、人生の重要な時の食事、祝い事の食事、各地での食事を大切にするという儀式的なものをさしている。
 なお、日本政府は本年9月には、日本の食文化を世界無形文化遺産として登録するために調査団をフランスに派遣した。メンバーの中には、味の素(株)の山口範雄会長らがいる。

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