2011年11月04日 フランス視察報告(第4回)
![]() ■ニース(Nice)
この地域の中心都市であるため 人口は34万7千人と多く、海辺にありながら立派な建物が多い。
ここで注目したのは、中心街を走る路面電車である。スタイリッシュなボディデザインで、電柱や架線は一切ないために、景観を損なうというより景観の一部として見事に解け合っている。警察官は、一人乗りのセグウェイで巡回しており、これまた観光資源かと見間違うほどである。
朝には、花や野菜、地元の雑貨を売る朝市が立つが、住民や観光客が集まる活気あふれる一帯となっている。色彩的にも美しく、周りの建物と調和しているのに感心させられた。
ここには、シャガール美術館があり、聖書を題材とした大作シリーズは見応えのあるものであった。他に、マティス美術館もあり、美術の好きな観光客には魅力的な都市となっている。 ![]() ![]() ![]() ■カンヌ(Cannes) 言わずと知れたカンヌ国際映画祭で有名である。ニースに比べるとやや小ぶりな感がするが、紺碧の海にはヨットハーバーがあり、隣接した映画祭会場のコンベンションホールでは、映画祭がない時には各種のイベントが開催されている。 ここも、ヨーロッパ北部の国であるイギリスやドイツ、オランダなどの国民が明るい太陽を求めて来る所であり、浜辺には肌を焼いている人が散見された。かつて、「南仏プロヴァンスの12ヶ月」という本がベストセラーになったが、まさにここらからエクス・アン・プロヴァンスにかけては、陽光あり自然あり美味しい食事あり、という遠い北方の人たちの憧れの地域なのである。人口は約7万人である。
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2011年11月03日 フランス視察報告(第3回)
![]() ■マントン(Menton)
人口2万8千人のマントンはジャン・コクトーが愛した町として知られている。紺碧の海に面して浜辺があり、取り囲むようにしてホテルや高級住宅が並んでいるのは、この地域の一環した形である。マントン郊外には、崖の上の村として著名なエズがある。いわゆる数多くある「鷲の巣村」と呼ばれるものの一つである。8世紀から10世紀にかけては、サラセン人の侵略が相次いだ地域であったため、住民は山の上へ、内陸へと移動し町を作らざるを得なかった。その名残がアルプスの山中や、地中海沿岸から少し入った所に散見される山や崖の上の町なのである。
なお、マントンは2月に開催されるレモン祭りが有名である。 ![]() ![]() ■モナコ(Monaco)
車中からモナコの海に夥しく点在するクルーザーやヨットの豪華さに目を奪われた。ヨットショーが開催されていた影響かも知れないが、一人当たりGDPが19万5千ドルという超リッチなお国柄を感じるには十分な光景であった。モナコ公国は、個人所得税はなく、タックスヘイブンの国と認定されている。世界の富豪が住み着いており、日本人ではサッカーの中田英寿やウォーキング術のデューク更家などがいる。
ここにも、豪華な建物のカジノがあり、F1のモナコグランプリなど世界中から観光客を集める仕掛けがある点には注目すべきである。
ただ、モナコ人というのは人口3万2千人の僅かに16%に過ぎず、フランス人が46%、イタリア人が16%という構成である。軍事、治安は契約により、フランスに依存している特殊性がある。
豪華な建物の周りに多くの見物客が集まっているのは、パリのオペラ座を手がけたガルニエ設計のカジノ「ル・カジノ・ドゥ・モンテカルロ」である。全面に駐車しているのは高級車ばかりであり、華やかな雰囲気がこの一画には漂っていた。
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2011年11月02日 フランス視察報告(第2回)
![]() ■ トリノ・リンゴット(Turin Lingotto)
北部イタリアの工業都市であるトリノはサボィア家の公国があった所でもある。旧市街には、サボィア家の宮殿など歴史的建造物が残されている。
当地のリンゴット地区には、1923年に自動車会社フィアット社の非常に長い生産ラインを持つ大変ユニークな工場が建設・操業された。しかし、1970年代には工場の陳腐化が始まり、1982年には閉鎖。その跡地が再開発され、今でではコンサートホール、劇場、コンベンションセンター、ショッピングモール、ホテルの入った近代的な複合施設に生まれ変わっている。
ホテルの部屋は家具や調度品までモダンなイタリアンデザインで統一され、センスの良さを感じさせてくれた。 ■ コート・ダジュール(Côte d’Azur)
フランス語で「紺碧の海」の意。地中海に面したマントン、モナコ、ニース、カンヌなど風光明媚な沿岸地域で、瀟洒な建物が並ぶ高級避寒地である。この地区は、歴史的にはイタリアやフランスに編入されたり、離脱したりした経緯を持っており、国境があるとはいえ民族的にも言語的にも入り交じっている。その上、モナコは世界で2番目に小さな独立国として国際連合に加盟しており、コート・ダジュールの特異性を際だたせる一因ともなっている。
地中海の彼方にはアフリカ大陸があり、古代から今日まで幾多の文明の衝突があったと思えば、感慨深いものがある。
因みに、リビエラとはイタリアの地中海沿岸からフランスのこの地区にかかる地域を指す総称である。
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