芭蕉林通信(ブログ)

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2011年01月28日 思い出のエッセイ

こうしてこの欄で時たま独り言をつぶやいていますと、過去や現在に読み触れている名エッセイを思い出しました。

今でも強く覚えていますのは、寺田寅彦のハスの花がいかにして咲くかというもの、栄久庵憲司の「幕の内弁当の美学」、團伊玖磨の趣味とは時間をかけるものとしてコーヒー栽培に乗り出す話などです。

ハスは、夜の内に水面までの距離を測った後に沈み、改めて水面できれいな花を咲かせるとの観測記事は衝撃でした。また、幕の内弁当は一種の小宇宙であり、日本古来の箱庭にも似てそれぞれの料理が見事に配置されている様は美学そのもの、という慧眼に目から鱗が落ちる思いでした。

昨年のことですが、行きつけの古本屋に團伊玖磨のエッセイ集「パイプのけむり」がうずたかく積んであるのを見た時は感激しました。大学時代に読んだ一つのエッセイが頭に浮かんできたからです。

それは趣味としてのコーヒーがあり、こりに凝って八丈島でコーヒーの木の栽培を始めたというエッセイでした。感動しやすい性格であった私は、コーヒーの栽培までは手が出ないとあきらめ、それでもコーヒー専門店で焙煎された豆を購入し、これまた買ったばかりのコーヒーミルとサイフォンで本格的なコーヒー作りに挑戦したのです。悪戦苦闘すること2時間余り、できあがった琥珀色のコーヒーをわずか20秒で飲み終えた時に、私のコーヒー作りの挑戦は終わりました。あまりにばかばかしく思えたのです。

今、團伊玖磨氏の最後の一冊「さよなら パイプのけむり」が手元にあります。突然の奥様の死が語られた一冊は、改めてエッセイのすばらしさ、書く努力のすごさを感じさせてくれます。

そして、この本を手放された持ち主の書き込みが胸を打ちました。
H13.3.1. 読了 長年読み歓んだ「パイプのけむり」よ。さようなら。

2011年01月18日 時計

時計が時を告げる道具であることは間違いないのですが、生活が豊かになると、フャッションや最新技術に興味が深まるのは人間のサガというものでしょう。野生の動物は、体内時計に従って何の不便をも感じていないようですから。

40歳代には小遣いに余裕ができたせいもあり、一年の会社決算が無事に終わると、自分自身へのご褒美だとばかりに時計を買っていたものです。腕につける時計はまるで最新技術とアーティストが創り上げた小宇宙の感がありました。
そして携帯電話が普及する時代を迎え、時刻を知るという行為はますます容易になりました。携帯電話で時刻はもちろん、目覚まし機能もついているのですから、何度かJRでの乗り越しを防いでもらったこともあったぐらいです。
とはいえ、基本的にアクセサリーの類に縁のない九州男児としては、腕時計は数少ないおしゃれの道具ですから、まったく無視できる訳ではありません。むしろ最近は、身の回りは多くの種類の時計に囲まれている有様です。
特に気に入っているのは、ベッドサイドに置いているデジタル時計です。誰かからいただいたものですが、真夜中に真っ暗闇の中で手探りしてボタンを押せば、明かりがつき正確な時間を知らせてくれます。最近は加齢による目覚めが頻繁なので、二度寝をするには今やなくてはならない相棒といえます。
上等な時計では笑えない修理代の請求があり、それ以来はできるだけお蔵入りさせることにしています。何しろ15万円の修理代がかかったのですから、時計の油が固まらない程度に仕事をしてもらおうと思っている昨今です。

2011年01月04日 新年のご挨拶

皆様、あけましておめでとうございます。
ウサギ年の本年、一層の飛躍ができますように一生懸命がんばりますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

新年の休みの期間中、中曽根総理時代に官房長官を務めた藤波孝生氏の追悼集を読む機会に恵まれました。「含羞の人」というタイトルのこの本は、生前に氏と交流の会った方々が寄稿し自費出版したというものです。

一人の政治家の人柄がいろいろのエピソードによって浮き彫りになってくるのですが、私にとっても初めて聞く話があり、かつまた参考になる点が多々ある一冊となりました。

いくつか感銘を受けた言葉を拾ってみます。
「低姿勢は正姿勢」
「政治は鎮魂」
「日本がとるべきは小日本主義」
「莫妄想、莫煩悩」

藤波さんは俳人としても著名な方でしたが、五七五の世界にこそ、氏の心情が吐露されているという思いがしました。

この貴重な本は、たまたま熊本で勤務されている長男さんに無理を言っていただいたものです。その長男さんが父上から結婚の時送られた一句が本に紹介されていました。

「誠実に若葉の道を進むべし」

素晴らしい一人の人物に、心からご冥福を祈ります。

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