芭蕉林通信(ブログ)

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2008年05月19日 西日本新聞に寄稿しました。

5月19日付けの朝刊「潮流」に掲載された表題は次の通りです。
「困難さ増す食料調達 急がれる担い手論議」

 「社員みんなで夕顔を植えよう。」と提案したのは今年の四月。隠れ里を旅し、希代の目利きであった白州正子さんのように風流が目的ではない。白州さんは、夕闇に浮かぶ夕顔の白い花を愛でたそうだが、私たちの目的は夕顔を実らせ干瓢を作ることにある。というのも、中国の工場で加工した味付け干瓢が突然輸入ストップしたからである。
 今、食品業界では製品の量的確保と相次ぐ値上げに頭を悩ましている。その背景には、世界全体の人口増加や原油価格の高騰、地球環境の悪化などがあるが、昨年来の急激は変化は、世界の食料事情が新たなステージに突入したことを物語っている。
 即ち、一つにはBRICs諸国の旺盛な需要、二つめはバイオエタノール生産のための穀物利用、最後に投機資金が穀物市場に流入したことが挙げられよう。さらに追い打ちをかけたのが中国の冷凍ぎょうざ事件であり、事態を一層複雑化した。実際、多くの加工食品で値上げが続いており、バターやチーズなどは供給量の不足が深刻である。また中国から輸入する業務用食品においては、中国当局の検疫強化により通常の一~二ヶ月遅れとなっている。
 そうした中、九州経済調査協会が3月に報告書「フード・アイランド九州の現状と新たな可能性に関する調査」を発表したのはタイムリーであった。そこでは、日本の食料自給率は先進国でも最低に近い39%だが、フードマイレージ(食料輸入量に輸送距離を乗じたもの)や仮想水(食料生産に必要な水量の推計輸入量)の観点からしても、日本は地球環境に大きな負荷をかけていると指摘している。
 最近ブームの感がある地産地消の考え方は、逆に環境負荷を最小にする方法と考えられよう。そこで問題になるのが、果たして今後食料自給率を引き上げることができるかである。
 思い出すことがある。平成11年に施行された「食料・農業・農村基本法」について意見を陳述する機会に、生産品目別の自給率目標設定について、私は反対意見を述べた。理由は、新規就農者が伸び悩んでいる状況下にありながら、担い手論が決定的に不足していると思ったからである。果たしてその後は、基本計画には反し、国内の自給率は下がり続けたのである。
 従って、今でも農業の担い手論は避けて通れない課題だと思っている。直近の統計では、国内の農業就業者は312万人でピーク時の四分の一以下に減っている。さらに深刻なのは高齢化率である。65歳以上が59%というのだから、普通の企業では定年退職した人たちが主力の労働力なのである。
 もちろん、農業法人の育成や企業の参入も制度的には認められ始めている。私も約10年前に、農業を新規ビジネス分野と捉えて挑戦したことがある。それは、工場形式による水耕栽培であり、中山間地域にある自治体の長や篤農家に新規事業を持ちかけたのであった。結果は無関心か冷たい反応だった。わずか200坪の土地を貸すとしても、村全体の歴史を変えるような事件であったのかも知れない。
 しかし、企業活動とはいえ、食料調達の困難さに日々直面していると、これからの日本はいつまで安定した食料輸入が続けられるか素直に言って不安でもある。低価格志向の強い消費者に、食料調達の困難さや少々割高の国産品を許容してもらえるような消費者啓蒙も必要であろう。
 農業が政治と関係が深いだけに、政治的リーダーシップを発揮してもらい、真の担い手が誰なのか徹底した議論が急がれていると思っている。

2008年04月26日 頭の中に鳥を飼う

一橋大学の米倉誠一郎教授は著作「経営改革の構造」の中で、今日までイノベーションを主導してきた起業家達は、頭の中に鳥を飼っていた、と紹介しています。

様々な歴史やエピソードが興味深く著述されたこの本は、産業革命以来のビジネスモデルの変遷が分かるという意味でも、大いに参考になりました。
さて、「頭の中に鳥を飼う」という意味については、本の文脈上では何となく分かった気がしたのですが、他人に説明するとなると厄介です。そこで、私は次のように解釈しました。
「頭の中に鳥を飼う」人の反対は、「石頭」の人だという解釈です。「石頭」というのは、頑固で保守的、柔軟性に乏しいという意味でしょう。「石頭」に鳥を住めません。とすれば、「頭に鳥を飼っている」人とは、まさに柔軟な発想を持ち、挑戦のための行動を起こす人と言えるのではないでしょうか。
私の場合は、仮に鳥を飼っているとしても、きわめて小さい鳥のようです。せめて、若い社員には、大きな鳥を養ってもらい、変化への対応を主導してもらいたいと思っています。

2008年03月26日 国内農業による自給率向上のチャンスだが

中国からの加工食品の輸入に時間がかかっており、在庫手当に工夫が必要な情勢となりました。国内農業を再生させるチャンスなのですが、大きな動きにならないのにジレンマを感じています。

日本の農業従事者は312万人、しかも65才以上の割合が59%ということでは、将来の担い手不足は明らかです。たぶんお隣の中国では農民は10億人ぐらいいるのですから、労働力の差は歴然であり、日本の中食・外食産業がその原材料の大半を国外からの調達に頼らざるを得ない背景にもなっています。
しかし、今後地球人口の増大や地球温暖化の影響等を考えると、世界規模で食糧争奪戦が始まるおそれがあります。そうした時に、これまでの食料輸出国が輸入国に転じるばかりでなく、自国民への食糧供給を優先するために輸出抑制の政治判断をする可能性もあります。そのとき、先進国で真っ先に影響を受ける国が、自給率が低い日本という危険性があるのではないでしょうか。
国内では耕作放棄地という農地が余っていますが、農地法の影響もあり、所有から利用へという国策の大転換が遅れているのが現状です。
地産地消、身土不二、四里四方、医食同源など様々な言い方がありますが、自給率を上げるための担い手不足の解決がその前提になることを忘れるわけにはいかないと思っています。

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