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当地熊本は郊外型SCの新設ラッシュで、その有様が全国放送で取り上げられる程である。その光と陰が明らかになろうとしている。
今年になって県南の拠点都市八代に2店目の大型SCができた。車で5分程度の距離にイオンとイズミの巨艦店が一年の間隔を置かずにできたのである。
そもそも八代市は八代港という県内屈指の貿易港を抱え、セメントや紙などの工業都市として発達してきた歴史がある。最近まで工場の閉鎖縮小などがあり、人口は10万人内外で推移してきた。(最近の市町村合併で14万人に市人口が増加した。)
そのような古い歴史を持った八代には当然ながら、地元の食品SMも数多く出店し競い合ってきた。そうした状況のなかでの大型店2店の出店は、まさに黒船来航の趣で捉えられたに違いない。
また喩えて言えば、小さな池に突然鯨が2匹迷い込んだようなものであり、鯨も餌をとるのに苦労するが今までその池に住んでいた鯉や鮒・ザリガニも大変な目にあっているということだろう。外来種が巨体を利用して勝ち残るのか、在来種が雑草の強さを活かして生き残るのか注目が集まっている。
熊本市内では10月に嘉島のダイヤモンドシティがオープンする。そして、イオングループは熊本空港インター近くの砂土原にも進出を表明した。ここで地元の商工業者の懸念は一挙に吹き出した感がある。というのは、嘉島のSCは御船インターへの幹線道路を渋滞で塞ぐ懸念があり、砂土原は熊本中心部から熊本空港への幹線道路をこれまた渋滞させる危険性を内包しているからである。
特に後者の不安は大きく重大である。なぜかならば、6年後に全線開通する予定の九州新幹線のための街作りを根底から破壊する可能性があるからである。
一つに、上通りや下通りといった熊本の中心商店街の空洞化の懸念がある。二つ目に、熊本駅と熊本空港のアクセスが今でも不安視されているのに、砂土原にSCができた場合渋滞は深刻化し熊本空港の利用に重大な悪影響をもたらす可能性がある。
21世紀は地方の時代になると思われるが、小売業が地域密着産業であるのならば進出する地域との会話なくしては社会的使命を果たしたとは言えないのではないだろうか。消費者側も、便利だから小売店は多ければ多いほどがいいという短絡的な見方ではなく、未来の地域のあるべき姿を描いて議論してほしいと思う。
そうでないと、今のところは郊外SCの陰ばかりが目に付くのが熊本の現実なのである。
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