芭蕉林通信(ブログ)

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2004年12月17日 営業フロアに席を移動して

手狭になっていた営業フロアのスペースを拡張するにあたり、私の机をその一角に設置して約一ヶ月。

欧米の企業を訪ねると、マネージャークラスは当然のこと多くのスタッフが立派な個室で仕事をしているのに驚かされます。それに比べると、日本では大部屋に上司から部下まで一緒に机を並べ仕事をしているのが大半です。この点、日本で進んでいるのは最近ブームの漫画喫茶でしょうか。ここではお客様は個室で漫画を読んだり、インターネットをしたり、DVDを見たり、さらには昼寝、泊まり込みまでできるのですからびっくりです。
話がそれました。私が大部屋で仕事をして一ヶ月経ち気が付いたことを列記してみます。
1.幹部・社員の日々の動きが一部始終目で確認できる
2.即、疑問点を正すことができる
3.即、指示ができる
4.新たなアイデアが生まれる
5.緊張感が生まれる
ここまで書くと良いことばかりのようですが、裏を返せば私から声を掛けられる幹部や部下はいい加減疲れるかも知れませんね。もっとも、これまで放し飼いにしてきた責任も当方にあるのですが・・

2004年11月29日 文化と効率性について

11月は縁あって唐津おくんちを堪能したばかりか晩秋の金沢を旅することができました。文化と経済合理性について考えるいい機会となりました。

熊本の経済団体のメンバーと一緒に、晩秋の金沢を視察したのは11月始めのことです。「弁当を忘れても傘は忘れるな」と言われる雨の多い土地柄ですが、秋晴れの下で秋の北陸路を堪能することができたのは幸いでした。
二泊三日の主な旅程は、地元経済団体との意見交換会、兼六園と成巽閣、金沢城、大樋焼き、金城楼、武家屋敷、ひがし茶屋街、近代文学館、21世紀現代美術館、山中塗り人間国宝・川北先生のお話、ホテル百万石、石川県九谷焼美術館などです。
前田藩が徳川幕藩体制になって武力を控え文化を興隆させることで藩の安泰を図ろうとしたこと、第二次大戦で米軍の爆撃を免れたことなどが今日の金沢の街を物心両面から形作っていると思いました。加えて、金沢の経済人が「文化がまずあって、経済は後から付いてくる」と言い切るあたりに、400年のDNAを見る想いがしました。
文化はある意味では、経済合理性では計ることのできない領域にあります。最近、自由経済を唱える識者や消費者は多いのですが、彼らや彼女達の視点は自由経済万能の哲学に偏り過ぎているのではないでしょうか。正直に申しますと、そういう方達とは街作りに関して議論が全く噛み合わないのには閉口します。
文化すたれて経済あり、なのでしょうか。かつて細川熊本県知事が、畢竟後世に残せるものは文化である、と言われたことが懐かしく思い出されます。私ども食文化に携わる人間としては、文化を守り育てることに大いなる使命感を持って進んで行きたいと思います。

 

2004年10月08日 アテネオリンピックのメダリストの陰で

あるオリンピック選手の物語です。

 17日間に亘り、日本中を熱狂させたアテネオリンピックが終わりました。過去最多のメダルを取ったのは東京オリンピックだということは、今回のテレビ報道で再三伝えられて知ったことですが、今となっては中学校の教室に突如テレビが持ち込まれ、授業そっちのけで応援したことのみが思い出されます。
 今回のアテネオリンピックでは金メダル16個、銀メダル9個、銅メダル12個という好成績でしたが、メダルの数以上に感動的なシーンに出会うことができました。また、そのためには深夜まで柔道、競泳、マラソンなどの実況中継につき合ったのですが、寝不足もなんのその、その甲斐があったと喜んでいます。 
 しかし、メダル争いの華やかな報道合戦の陰に隠れて多くの出場選手が闘いに敗れ、涙を流したという事実は見えてきません。私は一人の女性選手の活躍に注目していたのですが、もちろん彼女の姿はテレビに一度も出てきませんでしたし、競技の結果は新聞紙上で確認するしかできなかったのです。その選手とは、ヨット競技の一種、女子ミストラル級の今井雅子さんです。
 今井さんに注目したのには当然理由がありました。5年前にくまもと未来国体が開かれた際、私どもの社員として大いに活躍してくれたからです。宇土マリーナ沖であった女子ミストラル級の競技には当社の社員が大挙して応援に行ったのですが、あいにくのベタ凪で競技は再三中止されました。しかし日程の都合で強行して実施された競技は、ベタ凪の海上で選手達に過剰なまでの苦労を強いたものの、今井さんは実力を発揮して見事優勝を果たしたのです。
 今でも、私どもの会社には今井さんが風を一杯に受けて、ボードの上のセールを力強く握り海上を疾走しているポスターが飾ってあります。鍛え抜かれた彼女の背筋と肩から腕にかけて盛り上がった筋肉は、後ろからは男性と間違えられると言った彼女の言葉を実感させるものです。
 ある時、今井さんに競技生活について語ってもらったことがあります。
彼女は正真正銘の日本の第一人者、つまり日本のチャンピオンであり競技生活は世界規模です。当時のスケジュールは、来週はギリシャの海で、その後はメキシコで、その後はまたヨーロッパに戻って世界選手権に出場といった感じでその過密なスケジュールに驚いたものです。それにしても、世界の一流プレーヤーと競い合う人などとはそう簡単にお目にかかることはできないので根ほり葉ほり質問を試みました。 
 彼女の夢は限界を知りません。まず、県内でナンバー1になった時、次は日本でナンバー1になろうと決意しました。そして日本選手権で優勝した時、世界選手権での優勝を夢見て再び挑戦を開始したのです。世界で挑戦するというのはどういうことか実感は湧かないのですが、練習ぶりを聞いて驚きました。要は、1年365日一日として海で練習しない日はないのです。なぜかと聞けば、本番を迎えた時に良い成績を残せなかったならば、練習が不足したと反省しなければならない。そんな悔いのあることはしたくないと言うのです。
 そして、一度だけ世界選手権で優勝した時は自分でも信じられないぐらいに全てがうまくいったのだそうです。スタートダッシュ、コース取り、他の選手のとの駆け引きなどが無心の状態でできました。そうのような常人では想像できないような努力を積み重ね、海外での競技に経験を積んだ今井さんでさへ、アテネではメダルには遠く及ばない17位。
 それでは、頂点を極めたあのアスリート達は一体どういう人間達なのか逆に考えると、とんでもない人間像が浮かび上がるのです。
才能に恵まれているばかりではなく、超人的な努力を積み重ね、そして最後には運が微笑む。不幸にも勝利の女神に見放された選手の皆さん方には、アテネでの借りを北京ではらしてもらいたいもです。 

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