芭蕉林通信(ブログ)

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2021年02月04日 我が行動変容

 新型コロナの世界的な感染が始まって1年がたとうとしている。日本国内では感染拡大の第三波を受けて、全国10都道府県で緊急事態宣言が延長されることになった。そして首相みずからあるいは感染症の専門家が盛んに訴えるのは行動変容するようにとの要請である。

 果たしてこの1年間で自分自身の行動がどのように変容したか、振り返ってみるのも意義があることと思い列挙してみたい。公私を分けて考えてみる。まず仕事面では、テレワークの強化、社内執務場所の個室化、オンライン決裁、社内外の会食の自粛、タクシー利用の大幅削減、来客の抑制、訪問活動の抑制、大都市への移動の自粛、交際費の不使用などがある。これでは外食産業やタクシー業、旅行業、輸送業への影響が出るのは必至だろう。

 次に個人的には、家族での外食機会の削減、旅行の自粛、整体の自粛、繁華街の回避、ネットでの購入増、家事機会の増加、読書時間の増加、テレビ視聴時間の増加、友人との会食の自粛、アパレル購入の減、孫と会う時間の削減等々がある。このようにかなり行動を抑制しているが、幸いコロナ鬱にかからずに済んでいるのは、会社があり家族があることで気分転換ができているからに違いない。結論的に言えば、新型コロナを逆手にとって、新しい生活様式、働き方改革を一挙に進める機会とすることである。

2021年01月27日 家の椅子

 あるカフェの本棚に「父の椅子 男の椅子」という本を見つけた。亡くなった父親が生涯をかけて集めた椅子の数々を、その長女が父親の思い出とともに語る本である。世間によく知られた椅子や面白いデザインの椅子を眺めながら、ふと我が家にはどんな椅子があるのだろうかという疑問が湧いた。

 さっそく我が家に帰り椅子を数えて驚いたのは、ソファを別にして16脚と多くの椅子があったことである。因みに我が家は二人所帯。近くに子供一家が住んでおり総勢集まると9人というのが最大数である。16脚とは9人に対しても余りが出る数である。もちろん椅子にはそれぞれの使用目的があるので、ある場所ある部屋が違う。

 16脚の椅子を分類すれば以下のごとくなる。玄関を飾る椅子1脚、食堂の椅子5脚、リビングルームのマイ・チェア1脚、書斎に3脚、洗面所に1脚、庭用に4脚、持ち運び用に1脚。その中で気に入っているのはやはり自分専用の椅子。写真の椅子はリビングルームに置いているマイ・チェアで、3年前に布製カバーが破れたので必死になって業者を見つけブラウン色の革で修理してもらったもの。もう一つは書斎の古い木製スツール。昔の小学校で使われていたものか補修跡や多くの傷が良い味になっており、座ってもいいしちょっとした物を載せるのに便利でもある。これからも愛着のある椅子に座りながら静かな時間を過ごしたいと思っている。(参考文献 「父の椅子 男の椅子」宮脇彩著)

2021年01月21日 月がきれいだな

 清少納言の枕草子風に言うと、「いとおかしきもの 日経新聞文化欄」である。日経新聞の最も好きなページは文化欄だが、連載中の小説が伊集院静氏の「ミチクサ先生」、私の履歴書が美術史家・辻惟雄氏であり、今はダブルで楽しめる(それに加えて、美の十選の切り抜きは相変わらず続けているからトリプルかも)。ミチクサ先生とは夏目漱石のことであり、五高に英語教師として赴任した漱石が熊本で鏡子夫人と新婚生活を送る日々が描かれ、郷土愛がくすぐられっぱなしである。

 紹介されている一つのエピソードが漱石の超訳である。五高の生徒が「I love you 」は汝を愛していると訳して良いかと質問した。漱石の答えは「月がきれいだな」が良いと。日本人は愛してるなどと言わないし、第一向いていないと言う。小説に出てくる小天(おあま)温泉もよく知った所であり、そこを舞台とした「草枕」は漱石の芸術論が披瀝されていることで知られている。これからは漱石の第一子誕生の場面が描かれるはずである。漱石は生涯多くの俳句を作りその半数は熊本時代に作られたと言われており、「安々と海鼠の如き子を生めり」という句が果たして小説に出てくるかどうかなど興味が尽きない。

 一方、辻惟雄氏が名著「奇想の系譜」で世に問うた江戸絵画、とりわけ岩佐又兵衛、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪らの作品に辻氏がいかにして出会い、それらをどう評価していったのか知りたくてうずうずしている。未だ知られていない優れた作品や作家を人よりもいち早く発見して正しい評価をするというのは、冒険そのもののようでドキドキワクワクする。しかもおまけまで付いていることに気づいた。漱石が小天温泉の床の間に掛けてある伊藤若冲の鶴の絵を見ていたく感心する場面がある。つまり、「ミチクサ先生」と「私の履歴書」がここにつながったのである。

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