2021年06月02日 六中観(りくちゅうかん)について
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一、忙中閑あり
四、壺中天あり |
2021年05月27日 見番(けんばん)があった頃の話
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そうした芸者さんの中では若い方の一人、Yさんははきはきした元気の良い女性だった。そのYさんの思い出である。Yさんは芸者仕事だけではなく、夜はスナック経営をしており、ある時そこに仲間数人で遊びに行ったことがある。Yさんは一回り以上も若い我々に警戒感をなくしたのか、あるいはサービス精神を発揮したのか、突然に自分の乳房は歳の割には白く奇麗で青筋まで見える、見たいならば見せてやっても良いと宣(のたまわ)ったのである。 我々は酒の勢いもあり、一斉に見ると叫んだのだった。果たして、Yさんが着物からむき出しにして見せてくれた乳房は、大理石の如く白く血管が青い筋となって見えたのである。この話はもはや時効だと思いつつこうしてつぶやいているのだが、初夏(はつなつ)の乳房が名句になると言うのは、こうした体験はわれわれだけのものではなかったと思わせてくれるのに十分なのである。 |
2021年05月17日 絵を描く趣味
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ある時近くに住むパリ帰りの洋画家のアトリエを訪ねたことがある。随分歳上の先生は、絵は鑑賞するもので自ら描かない方が良いよとアドバイスをくれた。しかし今思えば、一枚の絵を完成させるのに先生本人が悪戦苦闘していたという当時の事情があったのだ。何しろ奥さんがこの1年1枚の絵も完成させてないと嘆いていたぐらいだから。 そうして時が移るに従い、私もいつしか水彩画やイラストなどを描くようになった。旺盛な創作意欲の賜物というよりは無聊を慰めると言った方が正しい。自動二輪車や自動車のメーカーであるホンダの創業者本田宗一郎さんが会社引退後に始めたのが油絵である。ある時取材した伝記作家城山三郎さんが「本田さん、油絵は楽しいですか?」と質問した。声を落として耳元で答えたのは「やっぱり仕事が一番だな」。私も趣味は社会的活動とのバランスがあってこそ楽しめると思っている。 |